64 / 132
”記憶に残る一日篇”
【二人きり】
しおりを挟む・・・・・・気まずい。
女性の部屋に入ったのも初めてだ。
さらに、そこで女子と二人だけ・・・・・・何を話せばいいのか・・・・・・
出前はすぐに到着し、カレーライスを食べた。
芥川は山崎と話し合いをした後、なにやらひとりきりになりたいようで、部屋に籠もっている。助けは来ない・・・・・・
カレーを食べているときも、セツナは何を考えているのかさっぱり分からない。
・・・・・・と、思っていた。
しかし、よくよく見ていると・・・・・・たとえば、カレーのニンジンを食べた瞬間に口角がやや上がった。
その代わり、ジャガイモを食べると、眉が下がり咀嚼数が下がる。
肉に当たると・・・・・・うん。かなり機嫌が良くなる。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
キュキュッ・・・・・・
『見過ぎ』
バレてた!?
「いや、ハハハ・・・・・・」
『私が・・・・・・やっぱり気に食わない?』
シュンとした顔で、マジックを握るセツナ。
『私がいると・・・・・・嫌?』
「そ、そんなことはない!」
『本当に?』
もう首が千切れるほど頷く新樹。
『それなら・・・・・・よかった』
ほころぶ笑顔。
キュン・・・・・・
女子の部屋というのは、なんでこうも良い匂いがするのだろうか?
座っているだけでそわそわしてしまう。
しかもしかもだ・・・・・・このセツナは数十年に一度なんてレベルじゃない美少女。
出逢いこそ最悪だったが、今や部屋で食事をする仲だ。
・・・・・・そりゃぁ・・・・・・当たり前だよ。
同期の桜・・・・・・同じ釜の飯を食う・・・・・・それが門下生ってもんだ。
特別、仲が深まった男女だからとか、そんなんじゃない。
それに・・・・・・セツナの過去を聞いた後では・・・・・・
芥川は隙を見つけて、新樹に説明をしてくれた。
その壮絶な歴史・・・・・・自分の人生なんて、虫ケラレベル。
だからこそ、これ以上傷つけたり、苦しめたくない。
偽善だと思われてもいい。
芥川同様に、新樹はセツナの幸せを願っている。
強くて優しい・・・・・・この娘のために。
「なあ・・・・・・」
『なに?』
「そ、その・・・・・・母さんがさあ・・・・・・またおいでって言ってるんだ。今日とか・・・・・・別にいつでもいいんだけどさ・・・・・・どう?」
『行きたい』
「本当?」
『でも・・・・・・電車とかバスとか、詳しくない』
「大丈夫! 金ならある!! タクシーで送り迎えするから!!」
『・・・・・・それ、あまり胸を張って言うことじゃない気がする』
「ハハハ・・・・・・」
やっちまったぁぁぁ!!
自慢が『学歴』と『金』って、なんか男としてあまり良くないんじゃない!?
どっか、嫌みったらしいお坊ちゃんぽくてさぁぁぁ!!
明らかに空席あるのにのび太を拒否ってしずかちゃんを誘うスネ夫じゃん!!!!
頭を抱えている新樹に、セツナがツンツンとつつく。
『でも、お金を稼ぐのもすごいこと。尊敬する』
「いや、親の金だからね? マジでスネかじりですから・・・・・・」
『立派な親を持ったことを、誇ったらいい』
「セツナ・・・・・・」
『私も誇りに思ってる。両親に恵まれたこと』
「・・・・・・そうだね」
決めたぞ・・・・・・
ウチの両親は、正直言って、めちゃくちゃ過保護だ。
甘々で、鬱陶しいくらいだ。
だが、セツナにはそれくらいがちょうどいい!
セツナに、たくさんの親の愛情を注がせようパパ&ママに!
「じゃあさ、早速家に行かない?」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・あ
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる