DANCING・JAEGER

KAI

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第2章

【シャバの空気】

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 仮釈放の条件は一般人にとっては簡単なこと。


 まずは法律に抵触するようなことをしない。


 もししたら、刑務所にカムバック。


 残り二年の刑に服すこととなる。それと国外には出られない。当たり前だ。


 刑務所の出所前の準備室で、龍敏はビシッと綺麗なスーツに身を包んだ。


 頭は丸坊主で、ジャリジャリジョリジョリ。


 無精ヒゲも生えているが当人は気にしていない。


「準備オッケーだす」

「そうか・・・・・・お前には手を焼かされたぞ」

「ご迷惑おかけしました」


 クインから賄賂をもらっている刑務官が、無言で帽子を差し出した。


 龍敏のトレードマークの中折れ帽。クインが用意したのだろう。


 高級そうな肌触りで、囚人臭バリバリのボウズ頭を隠すことができる。


「そんじゃあ・・・・・・シャバに出ますか」

「・・・・・・もう戻ってくるなよ・・・・・・マジで」

「そのつもりだす・・・・・・ゲホッ」

「大丈夫か?」

「・・・・・・シャバの風は喉にくるのぉ」

「・・・・・・あのこと、クインさんに本当に言わなくていいのか?」

「言うな・・・・・・もし言ったら、塀の外からぶち殺してやるからの」

「わ、わかった・・・・・・では」


 ギィ・・・・・・


 春の陽気が、ほんわかと疲れの溜まった身体を包み込んだ。


 そしてーーーー


「「「ご苦労様です!!!!」」」


 おびただしいスーツ姿の群れが、龍敏に向けて腰を折った。

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