DANCING・JAEGER

KAI

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第3章

【出迎え】

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「「「ご苦労様です!!!!」」」


 おびただしいスーツ姿の群れが、龍敏に向けて腰を折った。


 ざっと数えて一〇〇人ほどはいる。


 耳が尖っている者から見知った喧風一家の者まで。


 黒塗りの高級な車がずらりと並び、通りは千石組構成員で埋め尽くされていた。


 圧巻の光景に、龍敏も目をパチクリさせている。


 脳が状況に追いついていないのだ。


「親父ィィィ!! 待ってましたぁぁぁ!!!!」


 走り寄ってくるのは鬼道とケン。


 六年の間に多少老けたが、一目でヤクザ者と分かる貫禄のようなものがついていた。


 早速、鬼道が胸ポケットからハイライトの箱を取り出す。


 龍敏は六年前には見たことがない『タバコは身体に悪い』などという警告文に驚かされた。


 ンなこたぁ言われなくとも分かっている。


 龍敏が茶色いフィルターを咥える。


 バカバカ吸っていた頃は気がつかなかった、微かなラム酒のようなタバコの葉の香りを、今は確かに感じる。


 横からジッポの小気味よい音を立てながら、ケンが火をつけにくる。


 フゥ~


 スー


 フゥ~


 数年越しの一服は格別の味・・・・・・肺から脳髄まで染み渡るッッ!!


 不思議なもので、たかがタバコで感動すら覚えるのだった。


「鬼道・・・・・・ケン・・・・・・苦労かけたな」

「親父。お元気そうで何よりです」

「親父ィ・・・・・・また会えて・・・・・・嬉しく・・・・・・」


 鬼道は涙から鼻水までだらだら垂れ流している。汚い。


「兄弟・・・・・・」


 鈴の音色のような声。


 龍敏は疲労感から目を薄くしていたが、その眼がカッと見開く。


「・・・・・・兄弟」

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