3 / 10
ヒート
しおりを挟む
図書館に借りていた本を返した帰り。
αも通るここの廊下を通るときは、いつも気を張っている。この間の寮まで来たαの事もあって、より一層緊張する。
心なしか、心拍数も上がっている気がする。
いつもよりドクドクとうるさい心臓に、違和感を覚える。
違う。これは、ヒートだ。
こんな時に、来るなんて……!
手足に力が入らなくなり、上手く歩けない。
ようやく曲がり角を曲がったところで、蹲り動けなくなってしまった。
非常にまずい。見えにくい物陰とはいえ、決してバレないとは言えない。
もしも、この状態をαに見られたりしたら、そのまま襲われて俺の人生は終わりだ。
とりあえずどこかに移動しなければ。
「どうした!」
最悪だ。
「……ッやっぱりヒートか」
よりにもよって一番見つかりたくない奴に見つかってしまった。
声の方に目をやると、やはりグレイヴとかいうあの、αだった。
「行くぞ」
ヒート中のΩがαに見つかり、連れて行かれる。
それが指し示すことはただ一つ。
「ぃ、やだ……」
抱き上げられればもう、そこに待っているのは絶望だけだ。
だるい体に力を込めて必死の抵抗をするが、グレイヴはそれを物ともせずに歩いていく。
「少しの辛抱だから、我慢してくれ」
嫌だ、今すぐに逃げ出したい。
「すぐに楽にしてやるからな」
お前とシたって楽になんかならない。
そうこうしていると、保健室につく。
あそこから一番近いベッドのある場所か。
一番奥のベッドに寝かされる。
グレイヴが、離れたと思うとすぐにコップに入った水を持って帰ってきた。
「薬は持ってるか?」
避妊薬でも飲ませる気なのか?妙なところで冷静なのが本当に腹が立つ。
「ない……」
「は?常備してないのか?」
何を言っているんだ。常備なんかする訳ないだろ。
「……すまない」
何か考え込んだあと、おもむろにこちらに手を向けた。
「……やっ」
その手は俺の胸を撫でた。
腕を掴んで抵抗するが、気にも留めていないようだった。
ひとしきり弄ぶと満足したのか、今度は腰の辺りを撫で始める。
「は、ぁ……」
腰から股の辺りまで、決して中心を触らない。その焦らすような手つきに熱が高まっていくばかりだった。
「……仕方ない」
「んん……ぅあ」
グレイヴがベルトに手をかけた。嫌な予感がした。
その予感の通り、遂にズボンを脱がされた。
「ひぃうっ」
喉の奥から掠れた空気の音がした。
ぽろりと涙が出てこめかみを流れていく。
αに何の抵抗も出来ずに犯されそうになっているのに、それでも感じてしまうこの体に嫌気が指す。
「辛いだろう。すぐ治るはずだから、大丈夫だ」
いつの間にかグレイヴの手には錠剤があった。
そんなもの絶対に飲んでたまるかと、口を結ぶ。
「お願いだから、飲んでくれ」
口を無理矢理開かせようとしてきたので、顔を横に逸らす。
鼻をつままれ、息が出来ずに口を開けたところに錠剤が放りこまれる。
そのまま水も流し込まれ、口を押さえられる。
息も出来ず、吐き出すことも出来ない。
ほとんど反射的に薬を飲み込んでしまった。
あぁ、もう、最悪だ。
「ちゃんと飲んだか?」
また口をこじ開け、舌の下まで確認してくる。
口内を滑る指先に少し感じてしまっているのが憎い。
指を引き抜かれ、少し寂しいとも思ってしまった。ふざけるな。
「……っ俺は外に出てるから、楽になったら君も出てきてくれ」
あいつはそのまま出て行った。
αも通るここの廊下を通るときは、いつも気を張っている。この間の寮まで来たαの事もあって、より一層緊張する。
心なしか、心拍数も上がっている気がする。
いつもよりドクドクとうるさい心臓に、違和感を覚える。
違う。これは、ヒートだ。
こんな時に、来るなんて……!
手足に力が入らなくなり、上手く歩けない。
ようやく曲がり角を曲がったところで、蹲り動けなくなってしまった。
非常にまずい。見えにくい物陰とはいえ、決してバレないとは言えない。
もしも、この状態をαに見られたりしたら、そのまま襲われて俺の人生は終わりだ。
とりあえずどこかに移動しなければ。
「どうした!」
最悪だ。
「……ッやっぱりヒートか」
よりにもよって一番見つかりたくない奴に見つかってしまった。
声の方に目をやると、やはりグレイヴとかいうあの、αだった。
「行くぞ」
ヒート中のΩがαに見つかり、連れて行かれる。
それが指し示すことはただ一つ。
「ぃ、やだ……」
抱き上げられればもう、そこに待っているのは絶望だけだ。
だるい体に力を込めて必死の抵抗をするが、グレイヴはそれを物ともせずに歩いていく。
「少しの辛抱だから、我慢してくれ」
嫌だ、今すぐに逃げ出したい。
「すぐに楽にしてやるからな」
お前とシたって楽になんかならない。
そうこうしていると、保健室につく。
あそこから一番近いベッドのある場所か。
一番奥のベッドに寝かされる。
グレイヴが、離れたと思うとすぐにコップに入った水を持って帰ってきた。
「薬は持ってるか?」
避妊薬でも飲ませる気なのか?妙なところで冷静なのが本当に腹が立つ。
「ない……」
「は?常備してないのか?」
何を言っているんだ。常備なんかする訳ないだろ。
「……すまない」
何か考え込んだあと、おもむろにこちらに手を向けた。
「……やっ」
その手は俺の胸を撫でた。
腕を掴んで抵抗するが、気にも留めていないようだった。
ひとしきり弄ぶと満足したのか、今度は腰の辺りを撫で始める。
「は、ぁ……」
腰から股の辺りまで、決して中心を触らない。その焦らすような手つきに熱が高まっていくばかりだった。
「……仕方ない」
「んん……ぅあ」
グレイヴがベルトに手をかけた。嫌な予感がした。
その予感の通り、遂にズボンを脱がされた。
「ひぃうっ」
喉の奥から掠れた空気の音がした。
ぽろりと涙が出てこめかみを流れていく。
αに何の抵抗も出来ずに犯されそうになっているのに、それでも感じてしまうこの体に嫌気が指す。
「辛いだろう。すぐ治るはずだから、大丈夫だ」
いつの間にかグレイヴの手には錠剤があった。
そんなもの絶対に飲んでたまるかと、口を結ぶ。
「お願いだから、飲んでくれ」
口を無理矢理開かせようとしてきたので、顔を横に逸らす。
鼻をつままれ、息が出来ずに口を開けたところに錠剤が放りこまれる。
そのまま水も流し込まれ、口を押さえられる。
息も出来ず、吐き出すことも出来ない。
ほとんど反射的に薬を飲み込んでしまった。
あぁ、もう、最悪だ。
「ちゃんと飲んだか?」
また口をこじ開け、舌の下まで確認してくる。
口内を滑る指先に少し感じてしまっているのが憎い。
指を引き抜かれ、少し寂しいとも思ってしまった。ふざけるな。
「……っ俺は外に出てるから、楽になったら君も出てきてくれ」
あいつはそのまま出て行った。
185
あなたにおすすめの小説
上手に啼いて
紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。
■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
奇跡に祝福を
善奈美
BL
家族に爪弾きにされていた僕。高等部三学年に進級してすぐ、四神の一つ、西條家の後継者である彼が記憶喪失になった。運命であると僕は知っていたけど、ずっと避けていた。でも、記憶がなくなったことで僕は彼と過ごすことになった。でも、記憶が戻ったら終わり、そんな関係だった。
※不定期更新になります。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる