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一章 聖女と守護者達
十七話「命の加護」✳
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馴れた気配に手を伸ばしながら目覚める。
「……ん」急な動きに、眠ったまま繋がるイオが、中で蠢いた。
窓のないから分からないけど、まだ夜なんだろう。
「お帰りなさい」疲れた顔のタリーに微笑むと、額に優しく口付けてくれる。
「ヒビスクス、場所空けて」服を脱いだタリーがベッドに乗り上げてきた。ヒビスクスの寝ぼけた唸り声がして、背中の熱が離れる。
「重い……」小さな呟きが聞こえたから、その後ろにはタッカがいるのね。
タリーの膝枕で樹の実を数個食べて、聖水を口移しで飲ませて貰う。他の守護者に食べさせられるとすぐに体が熱くなるのに、今はお腹が満たされる感じがする。
「僕は命属性だから。聖女の身近に生まれて、その成長を助ける役割を担うんだって。だからだよ」首を傾げる私を見て、タリーが笑う。
「それもあって、光の精霊には結構怒ってるんだけどね」頬を撫でながら続ける。
「光の御子の誕生を急がされる遠因は、イーストフィールドの命の守護者にある。彼は彼の国の聖女と、先代巫女長である君のお母上とは幼馴染みだったらしい。聖女とお母上の結婚後に、出奔してしまったそうだ」タリーはため息を吐いた。
「今回の事で、僕もパクレットも色々調べてみたんだ。彼は多分、聖女とお母上に恋をしている。事情はあるだろうけど、二人とも選べない内に各々が相手を見つけてしまった。それでも聖女を支えようとしたけど、聖女の伴侶の嫉妬で役割を果たすことができず、王宮を出たらしい」命の守護者の役割。私、タリーがいなかったら、どうしようもないわ。
「命属性の守護者が補助しなければ、精霊の加護は保てない。聖女の伴侶は王族で、誰も意見できなかったらしいね」タリーの手が気持ち良くて、頬を擦り寄せる。
「加護が薄れた為、聖女も伴侶も子どもを置いて夭逝してしまった。お母上が後悔しておられたのは、聖女の伴侶を諌められなかったことかな」二人で思わず、深いため息を吐いた。
私に食事をさせたタリーは自分も食事を取りながら話して、背中側に潜り混んできた。
「挿入ってもいい?」優しいタリーの声に頷くと、私を片手で抱きしめたまま後ろを解し始める。
「僕が彼の立場でも絶望したと思う。君の側にいられなくなるなんて、考えたくないよ」タリーは少し震えている。
「私だってタリーが居ないなんて考えられないわ。今は守護者みんなもだけど。タリーがそうさせてくれたんでしょ?」タリーの腕を握ると、耳に優しく口付けられた。
「みんなが君を好きだって知ってたからね。殆どが守護者になると予想できてたし。そうでなかったら、拐って逃げちゃったかも」囁かれて、花の香りが漂う。
「僕が考えただけじゃ、達成できなかったよ。君に魅力があって、みんなが君を想い続けたから。それと代々の聖女や守護者達の努力のおかげかな」
ゆっくりと入ってくるタリーの温かな体に幸せを感じる。中で刺激を受けたらしく、イオが目を開ける。ずっと私と繋がったままで、イオも疲れているだろう。
「タリーが帰って来たの。寝てていいわよ?」イオに言うと、ふわっと微笑んで口付けられて、中に温もりが広がった。
「ヴェロニカ、愛してます」抱きしめながら、すぐに眠りに落ちるイオが愛しかった。
「ね、みんなに愛されてるでしょ?」タリーが耳元で優しく囁いて、緩やかに動き続ける。
「この国に生まれて、タリーやみんなに会えて本当に良かったわ」私も答えて笑い合い、一緒に達して穏やかに眠った。
夢の中で、若い頃の母が笑っていた。はっきり姿は分からないけれど、側に三人いるようだ。
王宮? 神殿かしら。中庭に座って楽しそうに話している。光の精霊達の祝福だろう、辺りが輝きに満ちていた。
そんな時もあったのね。守護者に選定され、伴侶になったのだから、きっと素晴らしい若者達だっただろうに。
亡くなる前の母の寂しげな顔を思い出して悲しくなる。
「お母様、光の御子は大きく育っています。イーストフィールドにお送りできるよう、頑張りますから」夢の中で笑う母に誓った。
私達も気を付けよう。母の『大切な人に気持ちを隠さないで』という教えは、とても重い。
「おはようございます」目を開けると、私を抱きしめたイオが微笑んでいた。その唇に軽く口付けて、
「イオ、私も愛してるわ。長い間、好きでいてくれてありがとう」と囁くと、泣きそうな顔で、激しい口付けを返してくれた。私はみんなが好き。
タリーは大切だし伴侶の方が近しいのは当然だけど、守護者達は家族だ。彼らを大事にしようと心に誓った。
「……ん」急な動きに、眠ったまま繋がるイオが、中で蠢いた。
窓のないから分からないけど、まだ夜なんだろう。
「お帰りなさい」疲れた顔のタリーに微笑むと、額に優しく口付けてくれる。
「ヒビスクス、場所空けて」服を脱いだタリーがベッドに乗り上げてきた。ヒビスクスの寝ぼけた唸り声がして、背中の熱が離れる。
「重い……」小さな呟きが聞こえたから、その後ろにはタッカがいるのね。
タリーの膝枕で樹の実を数個食べて、聖水を口移しで飲ませて貰う。他の守護者に食べさせられるとすぐに体が熱くなるのに、今はお腹が満たされる感じがする。
「僕は命属性だから。聖女の身近に生まれて、その成長を助ける役割を担うんだって。だからだよ」首を傾げる私を見て、タリーが笑う。
「それもあって、光の精霊には結構怒ってるんだけどね」頬を撫でながら続ける。
「光の御子の誕生を急がされる遠因は、イーストフィールドの命の守護者にある。彼は彼の国の聖女と、先代巫女長である君のお母上とは幼馴染みだったらしい。聖女とお母上の結婚後に、出奔してしまったそうだ」タリーはため息を吐いた。
「今回の事で、僕もパクレットも色々調べてみたんだ。彼は多分、聖女とお母上に恋をしている。事情はあるだろうけど、二人とも選べない内に各々が相手を見つけてしまった。それでも聖女を支えようとしたけど、聖女の伴侶の嫉妬で役割を果たすことができず、王宮を出たらしい」命の守護者の役割。私、タリーがいなかったら、どうしようもないわ。
「命属性の守護者が補助しなければ、精霊の加護は保てない。聖女の伴侶は王族で、誰も意見できなかったらしいね」タリーの手が気持ち良くて、頬を擦り寄せる。
「加護が薄れた為、聖女も伴侶も子どもを置いて夭逝してしまった。お母上が後悔しておられたのは、聖女の伴侶を諌められなかったことかな」二人で思わず、深いため息を吐いた。
私に食事をさせたタリーは自分も食事を取りながら話して、背中側に潜り混んできた。
「挿入ってもいい?」優しいタリーの声に頷くと、私を片手で抱きしめたまま後ろを解し始める。
「僕が彼の立場でも絶望したと思う。君の側にいられなくなるなんて、考えたくないよ」タリーは少し震えている。
「私だってタリーが居ないなんて考えられないわ。今は守護者みんなもだけど。タリーがそうさせてくれたんでしょ?」タリーの腕を握ると、耳に優しく口付けられた。
「みんなが君を好きだって知ってたからね。殆どが守護者になると予想できてたし。そうでなかったら、拐って逃げちゃったかも」囁かれて、花の香りが漂う。
「僕が考えただけじゃ、達成できなかったよ。君に魅力があって、みんなが君を想い続けたから。それと代々の聖女や守護者達の努力のおかげかな」
ゆっくりと入ってくるタリーの温かな体に幸せを感じる。中で刺激を受けたらしく、イオが目を開ける。ずっと私と繋がったままで、イオも疲れているだろう。
「タリーが帰って来たの。寝てていいわよ?」イオに言うと、ふわっと微笑んで口付けられて、中に温もりが広がった。
「ヴェロニカ、愛してます」抱きしめながら、すぐに眠りに落ちるイオが愛しかった。
「ね、みんなに愛されてるでしょ?」タリーが耳元で優しく囁いて、緩やかに動き続ける。
「この国に生まれて、タリーやみんなに会えて本当に良かったわ」私も答えて笑い合い、一緒に達して穏やかに眠った。
夢の中で、若い頃の母が笑っていた。はっきり姿は分からないけれど、側に三人いるようだ。
王宮? 神殿かしら。中庭に座って楽しそうに話している。光の精霊達の祝福だろう、辺りが輝きに満ちていた。
そんな時もあったのね。守護者に選定され、伴侶になったのだから、きっと素晴らしい若者達だっただろうに。
亡くなる前の母の寂しげな顔を思い出して悲しくなる。
「お母様、光の御子は大きく育っています。イーストフィールドにお送りできるよう、頑張りますから」夢の中で笑う母に誓った。
私達も気を付けよう。母の『大切な人に気持ちを隠さないで』という教えは、とても重い。
「おはようございます」目を開けると、私を抱きしめたイオが微笑んでいた。その唇に軽く口付けて、
「イオ、私も愛してるわ。長い間、好きでいてくれてありがとう」と囁くと、泣きそうな顔で、激しい口付けを返してくれた。私はみんなが好き。
タリーは大切だし伴侶の方が近しいのは当然だけど、守護者達は家族だ。彼らを大事にしようと心に誓った。
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