為田康介ごくらくへゆく

もっちり羊

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元はリネビ

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「冗談はやめていただく」
 光の指導霊を操る為田家父の隣に、突如目の細い男が現れる。彼はその場で体を急速に回転させると、強烈な裏拳を為田家父の頬へと抉りこませた。
 為田家父は瓦礫のなかへと吹き飛ぶ。それらは先程まで為田家を構成していた瓦礫である。
「《オーバーステイ》!」
 目の細い男が光の指導霊を呼び出す。
 指導霊が手を翳すと、そこから為田康介の姿が浮かび上がった。
「じょ?」
 為田康介の目に映ったのは、近所の団地に住む謎の在日少年、とろ和の姿であった。
「為田康介略してためこう、逃げるぞ。大戦の生き残りに勝てるわけないニダよ」
「なんじょ、とろ坊かい。逃げるなんて徳島男児の恥YAKEN」
「かっこつけてんじゃねえこの野郎!(アウトレイジ) 死んだら元も子もないニダ。ごくらく行くけんごくらく」
「ごくらく行きたいじょ」
「旨いキムチ食うけん」
「小童共なに喋ってる」
 父の埋まった周辺の瓦礫が吹き飛ぶ。
 見ると、そこでは父が再び徳島県民の殺気と光の指導霊を発生させ、立ち上がっていた。
「おとんタフやなー」
「さっさと立って逃げるニダよ。《オーバーステイ》で無敵状態にするけん。何発か致死量来ても大丈夫ニダ」
「ほんとにいけるんかい」
 為田康介は疑惑混じりに立ち上がり、とろ和と共に父に背を向け走り出す。
「康介ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
 父の光の指導霊の瞳が禍々しく煌めくと、そこから為田康介へとエネルギーがレーザー状に走って行く。
「《オーバーステイ》!」
「じょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
 レーザーを浴びた為田康介の体が高温により焼け焦げていく。塩鮭の気持ちになるんぜよ。
「じょ?」
 しかし為田無事である。まるで何ごともなかったかのように無傷。
「《オーバーステイ》は運命を強制的に延長させる能力をもつニダ。運命側からのアプローチがかかった魂は現実の事態からの影響を受けん」
「とろ坊いきっとんなー。短時間で二回も使ってもうキムチエネルギーないやろ」
「ないニダね」
「ガキ共が……!」
 父の光の指導霊が天を仰ぎ、自らの頭上に巨大な球状のエネルギー体を発生させる。
「康介死ねえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」
 指導霊が迷いなく両手を振り下ろす。明らかに不可避と思われるサイズのエネルギー体が二人へと緩慢なスピードで近付いていく。
「じょおおおおおおおおお!?」
「ニダアアアアアアアアア!」
 
 二人の池沼が叫んだその時。

「私がお相手しよう」
 
 一人のカリスマがエネルギー体の前に立ちはだかった。

「消し飛ばせ、《ハッピーサイエンス》──!」
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……!』

 男の光の指導霊は雄叫びをあげ、エネルギー体へと細い拳を突き出した。
 エネルギー体と拳がぶつかる。
 猛烈な爆風を引き起こしたその永遠とも思える衝突は、やがてカリスマの指導霊へと軍配が上がった。
 場に静寂が降りる。
 
 為田康介、とろ和、父、母、為田家のペットのピツジ。そこに居るすべての者達の視線がカリスマへと集まる。
 そこにあったのは先の大戦の英雄、現成の仏陀の姿であった。

 皆が口を揃えて男の名を呼ぶ。

『オーカワ!?』 
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