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エル・カンターレ復活祭
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「オーカワ様……いえ、エル・カンターレ様なのですか?」
為田父は四国の焼け野原を駆けたオーカワの面影をその男に見る。
一騎当千の修羅。
徳島のナポレオン。
英雄オーカワの面影を。
「いかにも、私がエル・カンターレである」と男は言う。「しかしそなたこそ、そのかぼす色の覇気、見覚えがあるな」
為田父は即座に腰を落とし、頭を下げる。
「はッ! 自分は先の大戦で徳島第十一師団の団長を勤めさせていただきました為田中将であります! 憶えてはおられないでしょうが、戦場では一度エル・カンターレ様に危機を救っていただきました。あなた様には一度こうして感謝の意を示したいとずっと考えておりました。理由はわかりませんが、参上していただきありがとうございます」
「おお! 思い出したぞ為田中将。大分出身であるにも関わらず、本来劣等オーラであるかぼす色の覇気をすだちのそれのように操り、徳島のため存分に力を振るった戦士がおったわ。香川うど~ん軍の進軍を満身創痍の状態の一個師団で食い止めたのが確かそなたのところではなかったか? 大義であったな」
「そんな勿体ないお言葉……あのような戦場を知らない突貫工事の引きこもり部隊、むしろ手間取ってしまった方でございます」
「ほっほっほ。謙遜はよい」
「なんでオーカワがここにおるんじょ?」とバカの方の為田が口を開く。
「そうです。何故エル・カンターレ様がここにおられるのでしょうか。大鳴門橋の戦いで深手を負い、意識不明の状態のはずでは……」
「いかにも。しかしそなたは私がどこの医療施設で療養しているかは知らない。違うか?」
「ええ。極秘事項ですから」
「徳島病院ぞ」
「めっちゃ近所だじょ!」とアホの為田。
「そんなにも近くにおられたなんて……」
「ほっほっほ。幸福とはいつでも近くにあるものよな」
為田父、ここで大変なことに気がつく。
徳島病院は既に彼の攻撃により崩壊しているのである。
「……まさか、私が?」
「気に病むでない。これもまた運命じゃ。世界中の不幸が再び私を呼んだだけのことだ。そなたの行為はきっかけでしかない。むしろあれで目が覚めたのだ。そなたは救世主と言ってもよいかもしれんの」
天なる父、エル・カンターレは高らかに笑う。
「さあ皆の者! 我の復活を祝い、踊るのじゃ!」
エル・カンターレのご指導の通り、焼け野原のなか皆で阿波踊りを踊る。
えらいこっちゃえらいこっちゃよいよいよいよい
えらいこっちゃえらいこっちゃよいよいよいよい
えらいこっちゃえらいこっちゃよいよいよいよい
「塩鮭音頭だじょ」
為田康介のマヌケなひと言により、聖なる踊りである阿波踊りは中断され、それは死の踊りである塩鮭音頭へと変換される。
『ジョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……!』
塩鮭音頭によりすだち王が召喚された。
為田父は四国の焼け野原を駆けたオーカワの面影をその男に見る。
一騎当千の修羅。
徳島のナポレオン。
英雄オーカワの面影を。
「いかにも、私がエル・カンターレである」と男は言う。「しかしそなたこそ、そのかぼす色の覇気、見覚えがあるな」
為田父は即座に腰を落とし、頭を下げる。
「はッ! 自分は先の大戦で徳島第十一師団の団長を勤めさせていただきました為田中将であります! 憶えてはおられないでしょうが、戦場では一度エル・カンターレ様に危機を救っていただきました。あなた様には一度こうして感謝の意を示したいとずっと考えておりました。理由はわかりませんが、参上していただきありがとうございます」
「おお! 思い出したぞ為田中将。大分出身であるにも関わらず、本来劣等オーラであるかぼす色の覇気をすだちのそれのように操り、徳島のため存分に力を振るった戦士がおったわ。香川うど~ん軍の進軍を満身創痍の状態の一個師団で食い止めたのが確かそなたのところではなかったか? 大義であったな」
「そんな勿体ないお言葉……あのような戦場を知らない突貫工事の引きこもり部隊、むしろ手間取ってしまった方でございます」
「ほっほっほ。謙遜はよい」
「なんでオーカワがここにおるんじょ?」とバカの方の為田が口を開く。
「そうです。何故エル・カンターレ様がここにおられるのでしょうか。大鳴門橋の戦いで深手を負い、意識不明の状態のはずでは……」
「いかにも。しかしそなたは私がどこの医療施設で療養しているかは知らない。違うか?」
「ええ。極秘事項ですから」
「徳島病院ぞ」
「めっちゃ近所だじょ!」とアホの為田。
「そんなにも近くにおられたなんて……」
「ほっほっほ。幸福とはいつでも近くにあるものよな」
為田父、ここで大変なことに気がつく。
徳島病院は既に彼の攻撃により崩壊しているのである。
「……まさか、私が?」
「気に病むでない。これもまた運命じゃ。世界中の不幸が再び私を呼んだだけのことだ。そなたの行為はきっかけでしかない。むしろあれで目が覚めたのだ。そなたは救世主と言ってもよいかもしれんの」
天なる父、エル・カンターレは高らかに笑う。
「さあ皆の者! 我の復活を祝い、踊るのじゃ!」
エル・カンターレのご指導の通り、焼け野原のなか皆で阿波踊りを踊る。
えらいこっちゃえらいこっちゃよいよいよいよい
えらいこっちゃえらいこっちゃよいよいよいよい
えらいこっちゃえらいこっちゃよいよいよいよい
「塩鮭音頭だじょ」
為田康介のマヌケなひと言により、聖なる踊りである阿波踊りは中断され、それは死の踊りである塩鮭音頭へと変換される。
『ジョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……!』
塩鮭音頭によりすだち王が召喚された。
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