4 / 5
在・日
しおりを挟む
「なんてことだ……」
為田父は眼前に広がる光景と、己が息子の愚かさに絶望する。
「此奴、本当に徳島人か?」
流石は為田康介、天なる父エル・カンターレをもドン引きさせるアホさである。
阿波踊り中の儀式変更宣言ですら徳島ではタブー中のタブーであるのに、それに加えてあろうことか徳島の歴史上で最も邪悪な踊りである塩鮭音頭を彼は宣言したのである。
「なんで? 塩鮭音頭が第三次世界大戦のトリガーだったことぐらい幼稚園でも習うでしょう!?」
為田母もまたドン引きである。一体どこで育て方を間違えてしまったのか。為田母よ、自分を責めてはいけない。池沼はどう足掻いても池沼である。
『ジョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……!』
地上に発生した魔法陣から邪悪なオーラを纏った巨大なすだちくんが現れる。全長は優に40メートルを超えている。
《ハッピーサイエンス》を呼び出し、オーカワはすだち王と同じ目線の高さへと上昇する。
「久方振りよの、すだち王」
『エル・カンターレェェェェェ……!』
────────────────
「盛り上がってきたああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
地上でただ一人テンションが上がっているのは、あのサイコパス池沼野郎の方の為田である。
「ワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオ!」
「徳島をどげんかせんといかん」
とろ和の細い目が鋭く輝く。
「とろ坊、いけるか?」
「いけるわけないじゃろ日雇い野郎」
「おもんない在日やなー」
しかし何も出来ないことは事実である。とろ和の冷静な思考は当然のこと、為カスのイカれた思考もまた抜本的な解決案に辿り着くことはなかった。
「あばれてえ」
為田のその一言に答えるように、為田家の瓦礫の一部が小さく崩れる音を立てた。
康介はふと音のした方を見る。
「ピ……! ピ……!」
「おいとろ坊、ピツジがなんかやっとるじょ」
「ニダ?」
為田家のペット、まるまると肥えた羊、ピツジが瓦礫に向かい警戒するように吠えている。
「なんか光ってるニダ」
瓦礫の奥から何かがピツジの顔を煌々と照らし出している。とことこと池沼二人が近付くと、そこでは奇跡的に生き残った康介のパソコンのディスプレイが画面を白く光らせていた。
「不思議じゃけ」
「ためこう、なにも見えないニダか?」
「なんじょ?」
「なにも聞こえないニダか?」
「塩鮭」
「そうか……」
しかしとろ和には見えていた。
『私はハイパーエージェント、キムチマン!』
テレビに映るハイパーエージェントの姿が。
とろ和には聞こえていた。
『とろ和、急いでくれ! この徳島に危機が迫っている!』
彼が自分の名を呼ぶ声が。
とろ和の直感が彼自身を導いていく。
『在留期限満了はすぐそこに迫っている!』
「キムチマン、TOROを呼んだよな!?」
為田父は眼前に広がる光景と、己が息子の愚かさに絶望する。
「此奴、本当に徳島人か?」
流石は為田康介、天なる父エル・カンターレをもドン引きさせるアホさである。
阿波踊り中の儀式変更宣言ですら徳島ではタブー中のタブーであるのに、それに加えてあろうことか徳島の歴史上で最も邪悪な踊りである塩鮭音頭を彼は宣言したのである。
「なんで? 塩鮭音頭が第三次世界大戦のトリガーだったことぐらい幼稚園でも習うでしょう!?」
為田母もまたドン引きである。一体どこで育て方を間違えてしまったのか。為田母よ、自分を責めてはいけない。池沼はどう足掻いても池沼である。
『ジョオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……!』
地上に発生した魔法陣から邪悪なオーラを纏った巨大なすだちくんが現れる。全長は優に40メートルを超えている。
《ハッピーサイエンス》を呼び出し、オーカワはすだち王と同じ目線の高さへと上昇する。
「久方振りよの、すだち王」
『エル・カンターレェェェェェ……!』
────────────────
「盛り上がってきたああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
地上でただ一人テンションが上がっているのは、あのサイコパス池沼野郎の方の為田である。
「ワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオワオ!」
「徳島をどげんかせんといかん」
とろ和の細い目が鋭く輝く。
「とろ坊、いけるか?」
「いけるわけないじゃろ日雇い野郎」
「おもんない在日やなー」
しかし何も出来ないことは事実である。とろ和の冷静な思考は当然のこと、為カスのイカれた思考もまた抜本的な解決案に辿り着くことはなかった。
「あばれてえ」
為田のその一言に答えるように、為田家の瓦礫の一部が小さく崩れる音を立てた。
康介はふと音のした方を見る。
「ピ……! ピ……!」
「おいとろ坊、ピツジがなんかやっとるじょ」
「ニダ?」
為田家のペット、まるまると肥えた羊、ピツジが瓦礫に向かい警戒するように吠えている。
「なんか光ってるニダ」
瓦礫の奥から何かがピツジの顔を煌々と照らし出している。とことこと池沼二人が近付くと、そこでは奇跡的に生き残った康介のパソコンのディスプレイが画面を白く光らせていた。
「不思議じゃけ」
「ためこう、なにも見えないニダか?」
「なんじょ?」
「なにも聞こえないニダか?」
「塩鮭」
「そうか……」
しかしとろ和には見えていた。
『私はハイパーエージェント、キムチマン!』
テレビに映るハイパーエージェントの姿が。
とろ和には聞こえていた。
『とろ和、急いでくれ! この徳島に危機が迫っている!』
彼が自分の名を呼ぶ声が。
とろ和の直感が彼自身を導いていく。
『在留期限満了はすぐそこに迫っている!』
「キムチマン、TOROを呼んだよな!?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる