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第九話 研修・再びその5
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住田を呼び戻す――。
株式会社HEの伊藤さんからの指令は上記のモノだった。住田は研修に復帰し、SSOTが再び立ち上がるのか!? しかし俺は、住田の様子からは前向きな意見が来ないというコトを予測してしまっていた。
「ゴメン、今日は行けそうにない……」
案の定、住田は研修に参加しようという俺達の意見に対して、拒否反応を示して来た。行けそうにないっつったってと、モッさんは必死になり住田を説得しようと試みるが……。
「――」
住田は只々、虚空を見上げていた。
「俺らは伊藤さんに、住田を連れてくる様に言われたの!」
あーと、頭を掻きむしりそうになりながらモッさんは住田に言うが、住田はゴメンの一点張り。俺は現社長として、少ない脳みそをフルに使い、事を収めようとした。少ない脳みそから振り絞った案は……?
「住田、これ!!」
俺は住田にその辺にあった紙を渡した。本当はキッチリとした用紙を渡したかったのだが……。俺はその紙に謝罪文を書くよう、住田に言った。せめて、社会人らしく責任を取らせようとした。モッさんは少々驚いた様子だったが、糸賀は納得した様子だった。
さて、住田にこれを書かせている間にと、ポスターの原案を造ろう。俺を含める3人は、会議室(仮)に足を運んだ。会議室(仮)で、冊子を読んでみる。と、そこで糸賀が口を開いた。
「住田君とは仲良くなれそうにないな」
はっ!? 言ってはいけないコトを言うなよ、コイツ! 俺はハッとなる。モッさんはそれを聞いてか聞かないか、ただ「うーん」と空返事をしていた。お前もうんじゃねぇよ!
『チームワークのいい会社です』
自社の特徴は、ますます嘘で塗り固められたモノとなっていく。しかしながら、思いの外早く進んで行く時間に逆らう様に、ポスター原案を振り絞っていくコトとなる。
株式会社HEは、社風が新しい!
モッさんが冊子から得た印象を言う。確かにと、2人は続いた。爽やかなポスターにしよう! 少しづつ意見が溢れてくる。
「HEから光の『ヒ』とエレクトロニックの『レ』を取って『開かれる、光の扉』ってどうだろう!?」
俺は半ばやけっぱちになりながら言った。しかし2人はいいね、確かにそれはアリかもと、答えてくれた。中身がまるで無い原案が出来上がっていく。と、そこへ――。書いてきたよ……。住田が謝罪文を書き終えた様だった。糸賀からはタメ息が聞こえてきそうだった。最低限、これでいいハズ――。
「行くぞ、皆!」
『シャア!!』
俺達は社員が4人から3人に減ってしまったが、意気揚々と株式会社HEヘ乗り込んで行く。
――、またいつもの調子にコンコンコンとノックし入室した。株式会社HEの伊藤さんは、開口一番に痛いところを突いてきた。
「あの住田ってのは?」
どうしても、連れて来られませんでしたと、ただ答える。
「言ってた事と違うよね?」
伊藤さんは、俺らのガラスのハートに鈍器をぶつけてくる様に畳みかけて来た。俺はどんよりとした空気を一掃する為、先ほどの策を打って出た。
「申し訳ございません。代わりと言っては何ですが……」
「?」
虚を突かれたのか、伊藤さんはハテナ顔で俺から差し出された一切れの紙を手に取った。フーンと、伊藤さんは無表情でその紙を眺めていた。
「まあいいや、他社にもポスターの事提案されてるけど、他社と比べてどんな利点があるの?」
伊藤さんはそう言って切り込んできた。モッさんが口を開く。
「御社の新しい社風をより世間に知ってもらう様、他社よりも爽やかなポスター作りができます!」
「そう……スローガンとかあるの?」
そこでもモッさんは果敢に声高に言った。
「はい! 株式会社HEにあやかって、『開かれる、光の扉』といったものを掲げています!」
すると伊藤さんは顔を渋くして口を開いた。
「それはダジャレか?」
!!!
株式会社HEの伊藤さんからの指令は上記のモノだった。住田は研修に復帰し、SSOTが再び立ち上がるのか!? しかし俺は、住田の様子からは前向きな意見が来ないというコトを予測してしまっていた。
「ゴメン、今日は行けそうにない……」
案の定、住田は研修に参加しようという俺達の意見に対して、拒否反応を示して来た。行けそうにないっつったってと、モッさんは必死になり住田を説得しようと試みるが……。
「――」
住田は只々、虚空を見上げていた。
「俺らは伊藤さんに、住田を連れてくる様に言われたの!」
あーと、頭を掻きむしりそうになりながらモッさんは住田に言うが、住田はゴメンの一点張り。俺は現社長として、少ない脳みそをフルに使い、事を収めようとした。少ない脳みそから振り絞った案は……?
「住田、これ!!」
俺は住田にその辺にあった紙を渡した。本当はキッチリとした用紙を渡したかったのだが……。俺はその紙に謝罪文を書くよう、住田に言った。せめて、社会人らしく責任を取らせようとした。モッさんは少々驚いた様子だったが、糸賀は納得した様子だった。
さて、住田にこれを書かせている間にと、ポスターの原案を造ろう。俺を含める3人は、会議室(仮)に足を運んだ。会議室(仮)で、冊子を読んでみる。と、そこで糸賀が口を開いた。
「住田君とは仲良くなれそうにないな」
はっ!? 言ってはいけないコトを言うなよ、コイツ! 俺はハッとなる。モッさんはそれを聞いてか聞かないか、ただ「うーん」と空返事をしていた。お前もうんじゃねぇよ!
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自社の特徴は、ますます嘘で塗り固められたモノとなっていく。しかしながら、思いの外早く進んで行く時間に逆らう様に、ポスター原案を振り絞っていくコトとなる。
株式会社HEは、社風が新しい!
モッさんが冊子から得た印象を言う。確かにと、2人は続いた。爽やかなポスターにしよう! 少しづつ意見が溢れてくる。
「HEから光の『ヒ』とエレクトロニックの『レ』を取って『開かれる、光の扉』ってどうだろう!?」
俺は半ばやけっぱちになりながら言った。しかし2人はいいね、確かにそれはアリかもと、答えてくれた。中身がまるで無い原案が出来上がっていく。と、そこへ――。書いてきたよ……。住田が謝罪文を書き終えた様だった。糸賀からはタメ息が聞こえてきそうだった。最低限、これでいいハズ――。
「行くぞ、皆!」
『シャア!!』
俺達は社員が4人から3人に減ってしまったが、意気揚々と株式会社HEヘ乗り込んで行く。
――、またいつもの調子にコンコンコンとノックし入室した。株式会社HEの伊藤さんは、開口一番に痛いところを突いてきた。
「あの住田ってのは?」
どうしても、連れて来られませんでしたと、ただ答える。
「言ってた事と違うよね?」
伊藤さんは、俺らのガラスのハートに鈍器をぶつけてくる様に畳みかけて来た。俺はどんよりとした空気を一掃する為、先ほどの策を打って出た。
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