異世界の冒険と日本の夏

あかつき

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異常(船)

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 詩音との楽しい談笑が終わり、島に着いてから自由時間になるまでの行動を伝えた後、詩音は俺達の席に戻っていってしまったため、俺は静かにデッキの脇で水平線を見つめていた。

「………」

 ここには俺を変えてもらえるようなものがあるだろうか?俺はそのような思いを抱き、船尾の方に歩き始める。
 話が変わるが現在、この船には俺と詩音以外には乗組員12人と乗客が二人組が二組と三人組が一組のそこそこのクルーズ船くらいの人数だ。そして今、二人組の乗客は船首デッキにいる。ということは…

「船の探検が出来るぞ!」
 ↑この男、考えが小学生並

 ということで俺は船尾デッキを見た後、客室以外の場所を出来るだけ探索しようと思う。
 
「そうして、船尾デッキに着いたわけだが…何にもないな」

 そう、船頭デッキには日除けのためにパラソルや椅子があったのだが、こっち側には柵以外には何もなかった。くそっ、出来そうだったらタ〇タニックの奴やろうと思ったのに!…え?不吉な事をやるんじゃないし、タ〇タニックのは船首だって?そんなの知らねえ!俺はやりたいように動く!
 そう思いながら船尾デッキの先端に向かう。が、途中で後ろに気配を感じたため足を止め、後ろを振り向く。

「?」

 そこには何も無く、少し不気味さが残っただけであった。誰かが怪談を話してたりしてるのか?
 そう思い、船の探索を再開する。

 十数分後、俺は廊下の端で壁にもたれかかって休憩していた。
 何だここ…広すぎるだろ!
 俺はあの後、デッキ下の廊下や操縦室の周り、果てはトイレまで通ったが、まだまだ部屋はありそうで困った。本当に何なんだよここ!外見からじゃ分からないほど広すぎる…見た目はちょっと大きな中型クルーザーだと思ったのに全ッ然大型船並に部屋がありやがる!

 そう思いながら立ち上がり、疲れたので目の前の部屋を最後にしようと思い、ドアノブに手をかける。
 その部屋はどうやら大きな倉庫であった。なぜこんな迷い込んでしまいそうな所にあるのか分からないがとにかく広くてそんな考えはすぐに飛んでしまった。
 とにかく、俺は目の前にある大きな箱に近づき、中を覗いてみる。そこには保存食のクッキーやご飯系、海が近くにあるせいかサバ缶やツナ缶などが多かった。その中の一つを手に取り、見つめる。
 保存食についてはよく分からないが、何か違和感を感じた。そうすると、俺の興味が限界突破し、手に取ったサバ缶を開けてしまう。そこには当たり前だが、サバの水煮があった。だが、俺の興味センサーが何かおかしいと叫んでいる。その為、近くでプラスチックのスプーンを見つけたので、それを使い、水煮に口をつけるのだが…

「味がしない…?」

 何度も思っていたおかしさが確信に変わる。口からスプーンを取り出すとそこには食べたはずの水煮があった。

「これは…明らかにおかしいな…」

 嫌な汗が頬を伝う。瞬間、後ろから声が聞こえた。

「お前、そこで何をやっている」

 声が高く、子どものようだ。だが、声の威圧感がすごく、すぐに振り向くことができない。それどころか、強圧的な空気に跪きそうになる。

「もう一度聞こう、何をしていた?」

 次は明らかな殺気であった。その俺を突き刺すような強大な殺気は全方面から向けられているような感覚だった。そして、俺は恐る恐るそして、やっとという思いで答える

「お、俺…は、偶然っ、ここに迷いっ、込み…ここでっ、この鯖缶にっ、違和っ、違和感を感じ…そのっ、違和感の…理由っ、を、探して、居ました!」

 俺は恐怖で息が詰まりそうになったが、何とか言いきった。その瞬間、殺気などのものが何もなくなる。

「ふむ、なるほど。それならば仕方ないか」

「分かってくださり、ありがとうございます…」

 息を整え、いつもの調子に戻った。声がいつも通りに出るのを確認した後、話し始める。

「それで、いきなりだがそっちを向いていい、か?」

「いきなりだが、まあよいぞ。今の我は上機嫌と言うやつだからな」

そう言われたので俺は躊躇せず後ろを振り向く。そして、目を見開く。そこに居たのは想像していた通り少女であったが、一つだけ異常な部分があった。

「何だよ、それ…」

俺は少女の背中から伸びているものに指をさす。それは紛うことなき羽であった。
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