アパート管理人はダンジョンマスターを兼務する

深香月玲

文字の大きさ
12 / 47

第12話 初めての制圧

しおりを挟む
「痛い!痛い!何で手に穴が開いてるんだい?」

「降伏するなら二回目の死を迎えなくて済むかもしれませんよ。降伏しないならその痛みをもっとたくさん味わってもらって死んでもらうだけです。どうしますか?」

「アンタがやったのかい。ひぃ、殺さないでおくれ。助けておくれ。降参でもなんでもするから。」

と、言ってるけど実際に降伏を受理するにはどうするんだろう。

『敵陣を制圧したのでポイントを獲得しました。』

どうやら「天の声」がうまく処理してくれたらしい。
だが降伏したとは言っても、後で反抗されても面倒臭いなあ。
裏切られて寝首を掻かれては堪ったものではない。

『制圧したダンジョンは位階が自動的に下位になります。位階序列は絶対であり下剋上は不可能です。』

ふーん。
眷属がダンジョンマスターに攻撃できないのも位階序列の所為なのかな。
取り敢えず、ババアに念押ししておくか。

「まだ何が起きてるか分かっていないみたいだけど、これからは私の言うことは絶対です。逆らえば死ぬよりつらい体験をさせて差し上げますのでちゃんと覚えておいてくださいね。」

「うぅ~、分かったから医者に連れてっておくれよ。死んじまうよ。」

「樋渡さん、お手数ですが治癒を試してもらえますか。」

「いいですよ。向こうに行っても大丈夫なんですよね。」

「はい、北野ハイツは自領になったので問題ないです。」

樋渡さんが塀を乗り越えるのを手伝って、ババアの治癒を試みてもらう。

「多田さん、コイツどうする?っていうか、何回も言霊使ってたらレベルが上がったみたい。」

「私もです。読心のレベルが上がりました。」

尾茂さんも面近さんもレベルが上がって何よりだ。
何かしら能力が向上したことだろう。
さて、通り抜け男はどうしようか。
ババアが痛がっているのを目の当たりにしていたので一応大人しくはしているようだが居心地が悪そうだ。

「君も分かってるだろうけど、私を含めてうちの住人には絶対服従ですからね。問題を起こしたら酷いよ。」

「はいぃっ!分かりましたぁ!ところでこの変なのとか動けなかったのとか説明してもらえたりしますか?」

通り抜け男は、ゴーレムを指さして恐る恐る疑問をぶつけてくる。
一応、うちの先兵というか盾になってもらわなきゃなので説明というか教育は必要だろうということで簡単に情報を提供しておく。

「マジっすか。そんなことになってたんすか。しっかし、俺のスキルの失念ってなんすかね。」

それぐらい自分で考えろよ、とは思うけど一応私の考えたことぐらいは伝えておく。

「言葉の意味のままなら「忘れる」ことが力じゃないでしょうか。自分が忘れて力を得ることは難しいので、他人に対して何かを忘れさせることでその力を発揮するのだと思います。例えば、今何をしようとしたかを忘れさせることで行動を阻害するとかじゃないでしょうか。」

「へー、頭いいっすね。」

「そちらの住人の誰かが帰ってきたら、お互いにスキルの効果を確かめ合うといいでしょう。ちゃんと自分の能力を把握しておかないと駒にされるだけですよ。」

「了解っす。」

通り抜け男は馬鹿だけど裏表はなさそうだ。
面近さんも特に何も言ってこないのはそういうことだろう。

「多田さん。苦労しましたがレベルも上がったおかげかなんとか元通りに治療できました。」

「それはおつかれさまです。すごいですね、手に空いた穴を治しちゃうなんて。きっとブラッド・ジャックもびっくりですよ。」

「なんです、それ?」

「ご存じなかったですか。凄腕の外科医のお話ですよ。」

「あー、はいはい。言われれば名前は聞いたことあります。読んだことはありませんけど。」

医療界隈では今でも有名作品だと思ったんだけどな。
こういうところで感じるジェネレーションギャップが結構堪える。
まあいい。今はそれどころじゃない。
ババアに全部を説明して理解させるのは難しいと判断し、要点だけ伝えて身を守るように言い聞かせた。
あと、できれば家具を買い足しておくようにとも。
ババアは頷いていたがどれだけ分かっているか怪しいものだ。
とりあえず防壁としてはかなり薄い壁だがないよりマシだろう。
あと、上位者の権限でババアの初期ポイントを使って、うちと同様に郵便受けミミックを設置しておいた。

ここまでで既に23時を過ぎていたので今日のところは解散となった。
皆さんは明日も学校やお勤めがあるからね。
しかし、ダンジョン化一日目の出来事はまだまだ終わっていなかったのだ。
なんてったってこの周辺は一軒家より集合住宅の方が多いのだから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件

月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ! 『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』 壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。

七億円当たったので異世界買ってみた!

コンビニ
ファンタジー
 三十四歳、独身、家電量販店勤務の平凡な俺。  ある日、スポーツくじで7億円を当てた──と思ったら、突如現れた“自称・神様”に言われた。 「異世界を買ってみないか?」  そんなわけで購入した異世界は、荒れ果てて疫病まみれ、赤字経営まっしぐら。  でも天使の助けを借りて、街づくり・人材スカウト・ダンジョン建設に挑む日々が始まった。  一方、現実世界でもスローライフと東北の田舎に引っ越してみたが、近所の小学生に絡まれたり、ドタバタに巻き込まれていく。  異世界と現実を往復しながら、癒やされて、ときどき婚活。 チートはないけど、地に足つけたスローライフ(たまに労働)を始めます。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

異世界配信〜幼馴染みに捨てられた俺を導く神々の声(視聴者)

葉月
ファンタジー
コルネ村で、幼なじみであり恋人でもあったユリアナと、ささやかな幸福を分かち合って生きていたロイド。 だがある日、ユリアナは女神の愛子として目覚め、国王の命により王都へと連れ去られる。 突然、日常を奪われ、運命に引き裂かれたロイドは、抗う術も持たぬまま、否応なく大きな流れへと呑み込まれていく。 これは、奪われたものを取り戻すため、そして理不尽な運命に抗おうとする、一人の少年の物語である。

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

処理中です...