アパート管理人はダンジョンマスターを兼務する

深香月玲

文字の大きさ
41 / 47

第41話 お主も悪よのう

しおりを挟む
「それで私たちはこれからどうするんですか。」

「そうですね。この辺り一帯をもう少し安全な状態にしようと思っているんですが、お手伝いをお願いできますか。」

「怪物化しているところを殲滅して回るんですか?」

「それは後回しでもいいと思ってます。先に副署長さんにお願いしたことと同じことをやっておこうかと思いまして。」

「ふうん。また手に穴でも開けて手っ取り早く済ませて私に治させようというわけですね。」

「それはあくまでも最終手段です。私としては穏便に済ませたいと思っているんですよ。」

「そういうことにしておきます。恵理ちゃんも一緒に連れて行きますよね。」

「腹黒いことを考えている人を見せしめにしちゃうってことなのですわね。」

「ほっほっほっ。お主も悪よのう。」

「何を仰いますことやらなのですわ。お代官様こそ人が悪いのですわ。」

「代官山だけにのう。」

「「ほっほっほっー。」」

一体、何を見せられているんだろう。

「気が済んだなら行きますよ。」

「ワシも一緒に行こうか。金で済むことがあるなら少しは力になれるかもしれん。」

ということで何人集まっているかは知らないが、押江さんの所に向かうことにした。
これで思惑通り事が運んで少しでも怪物化したダンジョンの広域連携を妨害出来て、各個撃破出来るようになればしめたものと思ってはいるものの果たしてどれだけの人が素直に協力してくれることやら。

押江さんのところに行くと驚くことにそれなりの人が集まっていた。
ざっと見て3~40人ぐらいはいるようだが、タワマンの住人も何人か混ざっているようだ。

「てめぇ、さっきはよくもやってくれたな。」

問答無用でお部屋にお帰りいただいた中にいた一人のようだ。
今はお前の相手をしてる場合じゃないんだよ。

「痛い思いをしたいのか、部屋の中の物を減らしたいのか、好きな方を選ばせてあげますけどどっちがいいですか。」

「やっぱりお前がやったんだな。痛っ。」

「貴方たちが先に仕掛けてきたんでしょうに。私は大人しく殺されてやらなきゃいけない義理はないと思うんですが。それに貴方たちはもう私に危害を加えることはできませんけどね。」

「何ぃ!?」

激高して殴りかかろうとしてくるが、その腕を振り抜くことはできなかった。
改めて位階序列に由来する力を目の当たりにした面近さんと樋渡さんが何故か静かに拍手している。

「何で殴れねえ!?」

「控えるのですわ。このお方をどなただと心得ているのですわ。」

「お判りいただけて大人しくしているなら、その穴は後で治してあげますよ。」

何の茶番だ。
周りにいた人たちはこのやり取りにちょっと引いていたが、面近さんと樋渡さんに加えて金垣内さん、押江さんも私が設定変更の仕方を発見してSNSで拡散した張本人なんですよーとか消えたマンションを元に戻す方法も知ってるんですよーとか言い包めたことでなんとか話を聞いてくれる雰囲気になった。

「そう、うちの周りでもいくつも建物が消えて空き地になってるんだが、その建物を戻せるってのは本当なのか?」

「うちんところもだ。まったく気味が悪いよ。」

「実際に見てもらった方が早いでしょう。押江さん、皆さんを屋上に案内をお願いできますか。」

「皆さん、こっちです。」

順次、屋上に出てきて遠くを見渡すと東京の夜景に少しだけ酔いしれるみたいだが、この付近を見下ろすと愕然とした感じになる。

「こんなに建物が消えてるのか。」

「なんで、あそこら辺だけ明るくて建物も消えていないんだ。」

「本当にうちの周りだけ明るいんだね。」

「というか周りが暗いところが多いのだと思うのですわ。」

「あそこら辺はお嬢さんたちの住んでる辺りなのかい?」

「そうなのですわ。そして、こちらが私たちの安全を守ってくれているご主人様の多田さんなのですわ。」

なんか周りからの視線が少々痛い。
誤解を生みそうな言い方はやめてもらえませんかね。
ここから見えている範囲に自分の住んでるところがあるダンジョンマスターに協力を募ってみるとほぼ全員がそうだった。
なので、下にいる時に一番最初に話しかけてきた人に確認してみる。

「うちはあの辺りだ。あの小学校のグラウンドの向こう側の五階建ての建物が二つ並んでいる手前がうちだ。」

見てみると確かにその周りには空き地がいくつもあるようだ。

「子供が窓から見ていたようなんだが、だんだん建物が減っていってるって言ってて何を馬鹿なことをと思って最初は相手にしてなかったんだ。しばらく後になって自分も見てみたらこんなことになってるじゃないか。薄気味悪いけど、どこにも相談できないし、もし自分の所も消えたらと困ってたら押江さんから連絡貰って来てみたってわけだ。」

この人は押江さんとはスポーツジム仲間らしい。
なら押江さんに対して降伏してもらおうかな。
できるよね。

『位階序列が降伏対象の下になります。位階を上げるにはポイントが必要になること以外は特に支障がありません。』

ふーん。ということは誰にでもダンジョンマスターを降伏させられるけど、位階序列の低い人に降伏させられるとさらに位階が下がっちゃうってことね。
そして位階って上げることもできるんだ。そして上げられるなら多分下げることも。
あれかなぁ、極端に言うと下っ端の兵隊を将軍に引き上げるみたいな感じなのかもね。
位階を上げるのにポイントが必要ということは、それによって何か得られるのかもね。
それも後で検証しないとだな。

「それじゃあ早速、実証実験してみましょうか。貴方、押江さんに降伏してください。」

「え!?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました

チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。 完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。 【捕食】 それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。 ゴブリンを食べれば腕力を獲得。 魔物を食べれば新スキルを習得。 レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。 森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。 やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。 これは―― 最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

処理中です...