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晴天の霹靂
6.
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(俺って、ホントだめだな…… )
家族を失い、津田の心の奥底にはずっと、αを憎む気持ちが泥濘のように横たわっていた。自分がαに救けられるなんて、考えたこともなかった。
(あの状況でずっと、俺から離れてて……
佐伯、凛花…… 俺、知らなかったよ。あんなαも、いるんだな…… )
乾は、仕事をしているのだろうか。
いつものスーツで。いつもの顔で。
(今日はもう、来ないのかな…… ?)
午後には、またゆり子が律を連れて来てくれることになっている。面会時間は夜の7時までだから、乾がいつも通り仕事をするなら、間に合う時間ではないだろう。
紙袋の中の、パーラメントを見る。
吸いたいが、喫煙室まで行くのが億劫だ。点滴台を引いて行かなくてはならないし、この手の状態で、うまく火をつけられるだろうか。
(ここに主任がいれば、一緒に行って、火をつけてもらえるのにな…… )
津田は吸っていない煙草の煙を吐くように、細く長く、上空に息を吐きだした。
乾が見舞いに来たのは、退院する土曜日の朝だった。
初めて見る私服姿とラフな髪形のせいで、津田は戸口に立つ彼が誰なのか、一瞬分からなかった。
包帯だらけの痛々しい姿の津田に顔をしかめたのを見て、初めて乾だと分かったのだ。
(俺の脳がこいつを認識するのは、眉間のしわなのか…… )
そう思うとなんだかおかしくて、津田はふっと吹き出した。
しかめっ面だった乾も微笑み、ベッドの脇まで歩み寄る。
「おはようございます。朝からすみません」
乾は持ってきた大きな紙袋を足元に置き、脇に畳んであったパイプ椅子を開いた。津田はまだ入院服で、斜めにしたベッドに背をもたれて楽に座っている。乾が椅子に腰かけると、目線がちょうど同じ高さになった。
「今日退院予定と聞きましたが、変わりありませんか?」
家族を失い、津田の心の奥底にはずっと、αを憎む気持ちが泥濘のように横たわっていた。自分がαに救けられるなんて、考えたこともなかった。
(あの状況でずっと、俺から離れてて……
佐伯、凛花…… 俺、知らなかったよ。あんなαも、いるんだな…… )
乾は、仕事をしているのだろうか。
いつものスーツで。いつもの顔で。
(今日はもう、来ないのかな…… ?)
午後には、またゆり子が律を連れて来てくれることになっている。面会時間は夜の7時までだから、乾がいつも通り仕事をするなら、間に合う時間ではないだろう。
紙袋の中の、パーラメントを見る。
吸いたいが、喫煙室まで行くのが億劫だ。点滴台を引いて行かなくてはならないし、この手の状態で、うまく火をつけられるだろうか。
(ここに主任がいれば、一緒に行って、火をつけてもらえるのにな…… )
津田は吸っていない煙草の煙を吐くように、細く長く、上空に息を吐きだした。
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(俺の脳がこいつを認識するのは、眉間のしわなのか…… )
そう思うとなんだかおかしくて、津田はふっと吹き出した。
しかめっ面だった乾も微笑み、ベッドの脇まで歩み寄る。
「おはようございます。朝からすみません」
乾は持ってきた大きな紙袋を足元に置き、脇に畳んであったパイプ椅子を開いた。津田はまだ入院服で、斜めにしたベッドに背をもたれて楽に座っている。乾が椅子に腰かけると、目線がちょうど同じ高さになった。
「今日退院予定と聞きましたが、変わりありませんか?」
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