ただΩというだけで。

さほり

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睦月のむつごと

7.

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  驚いて目を上げると、津田は子どもをあやすような顔で微笑んでいる。その額に、いくつもの爪痕がくっきりと浮き出ていた。

  体が震えて、自分の両手が、まだ津田の手首を掴んだままだったことに気がついた。それを離すと、了解を得たと思ったのか、彼が裸の上体を起こしかけた。

「いやです…… っ!」

  乾は覆いかぶさるように、津田の細い身体をシーツに押し戻した。背中に回した腕が余るほど、彼の身体は薄い。「俺の身体なんか」と言った彼が、どんな気持ちで身を預けてくれたのか、分からないわけじゃないのに。

「いやだっ!いやだ津田さん!そんなのいやだ!」

  これではまるで駄々っ子だと思いながらも、乾は津田にすがりついて彼を引き止めることしかできなかった。

  自分に自信はないのに、プライドの高いΩ。
ここで離したら、仕切り直しなどないと分かっていた。感情のまま、力任せに抱きしめる。腕を緩めて、逃げられるのが怖かった。

  ふと、乾の頬が温かいもので包まれた。津田の両手が、挟むように顔に添えられている。  
  恐る恐る顔を上げると、下から唇を重ねられた。啄ばむような、優しいキス。軽い水音を立てて、何度も、何度も触れる、柔らかい唇。
  目を閉じて貪るように触れるだけのキスを繰り返す津田に堪らなくなり、乾は彼の濡れた唇を吸った。

「ん…… 」

  津田の両手が、首に回される。吸い付くように応えてきた積極的な口唇と、長く濃厚なキスを交わした。
  津田の喉がごくりと鳴るたびに、飲ませているという征服感に胸が高鳴る。αの体液を摂取すると興奮するはずの彼の身体は、発情期でなくてもそれを感じてくれるだろうか?
  しつこいほどに貪り濡れた唇を離した時、津田は潤んだ瞳で艶やかに微笑んだ。

「じゃあ、もう…… 意地悪は禁止な?」
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