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逡巡
18.
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鋭い痛みで、現実に引き戻された。
自分がどこにいるのか、どんな状況にあるのか、甘く痺れたような靄の中にいるようで、すぐには分からない。
その靄の中で、唯一ハッキリとした感覚を持つ右肩に触れると、濡れた感触と痛みを覚えた。気だるい動きで指先を見る。そこには鮮やかな血がついていた。
「あ…… っ」
腰の奥で、生暖かい何かが広がった感覚に、津田は思わず声を上げた。すっかり慣らされて蕩けたそこに、挿入されている異物感はもうない。ただそこには心地よい熱と充足感が満ちていた。
「…… すみません、堪えきれなくて…… 」
うなじの髪を、乾の息が揺らす。その苦しげな声に、津田はようやく状況を思い出した。
(やべぇ…… 最中だった…… )
まさか途中で寝てしまったわけではないだろうが、意図せず寝落ちして目覚めた時に似た感覚に戸惑う。
「ぅあ…… っ」
再び腰の奥が温められる感じに襲われた。それと同時に後ろから乾に抱きしめられ、小声で謝られながらぐっと腰を押しつけられる。
背中に密着した乾が息を乱して震えるのを感じ、ようやく状況が掴めた。
αの射精は長い。
Ωの発情に煽られたヒートの状態なら30分近く続くという。抑制剤で抑えているとはいえ、津田のフェロモンにあてられた乾の身体が、長く熱を放出するのも無理ないことだ。
断続的に、腰の奥に熱いものが放出される。
その度にその熱は、津田を快感で包み込んだ。初めて味わう、酩酊するような多幸感に溺れそうになる。
「あ…… まだ…… ?」
ずっと終わらないでほしいと思いながら互いに息が整ったところで振り向くと、その瞬間にまた熱を感じた。
「分かりません。でも、もう少し、このまま…… 」
自分がどこにいるのか、どんな状況にあるのか、甘く痺れたような靄の中にいるようで、すぐには分からない。
その靄の中で、唯一ハッキリとした感覚を持つ右肩に触れると、濡れた感触と痛みを覚えた。気だるい動きで指先を見る。そこには鮮やかな血がついていた。
「あ…… っ」
腰の奥で、生暖かい何かが広がった感覚に、津田は思わず声を上げた。すっかり慣らされて蕩けたそこに、挿入されている異物感はもうない。ただそこには心地よい熱と充足感が満ちていた。
「…… すみません、堪えきれなくて…… 」
うなじの髪を、乾の息が揺らす。その苦しげな声に、津田はようやく状況を思い出した。
(やべぇ…… 最中だった…… )
まさか途中で寝てしまったわけではないだろうが、意図せず寝落ちして目覚めた時に似た感覚に戸惑う。
「ぅあ…… っ」
再び腰の奥が温められる感じに襲われた。それと同時に後ろから乾に抱きしめられ、小声で謝られながらぐっと腰を押しつけられる。
背中に密着した乾が息を乱して震えるのを感じ、ようやく状況が掴めた。
αの射精は長い。
Ωの発情に煽られたヒートの状態なら30分近く続くという。抑制剤で抑えているとはいえ、津田のフェロモンにあてられた乾の身体が、長く熱を放出するのも無理ないことだ。
断続的に、腰の奥に熱いものが放出される。
その度にその熱は、津田を快感で包み込んだ。初めて味わう、酩酊するような多幸感に溺れそうになる。
「あ…… まだ…… ?」
ずっと終わらないでほしいと思いながら互いに息が整ったところで振り向くと、その瞬間にまた熱を感じた。
「分かりません。でも、もう少し、このまま…… 」
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