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聞き間違えたか、それかフェラには何か違う意味の言葉が存在するのかな、なんて、俺はフル回転で他の可能性を考えた。
フェラーリ、乗りたい、とかさ。
フェラガモの靴、買えとかさ?
どっちにしろ、俺の小遣いでどうにかできるもんでもなくて。
笑うところ、かな、と思ったけど。
本郷の目は、真剣だった。
「オレさ、もしかしたら女の子より、男が好きなのかもしんなくて。つーのはさ、なんか、どんな可愛い子とヤッても、みんなおんなじに思えてくんだよな。顔とか髪型とか違っても、結局最後やること一緒じゃん?」
「おまえそれ録音して昼の放送で流すぞ。」
「別にいーけど。てゆうか、みんなそう思ってんだろって思ってたんだよ、最近まで。別に相手とか、誰でもいいっつか、誰でも一緒つか。でも他のやつはそうじゃないらしいってなんとなくわかってきて、そんじゃ結局、オレは女の子が好きじゃないのかなって思ってさ。」
贅沢な悩みを吐き散らかした本郷は、隣に座る俺の股間に目を向けた。
「だから、ちょっと一回、試しにフェラさしてほしいんだよね。」
なんでそんな思考回路なんだよ、と思ったけど、本郷は絶句した俺になんかお構いなしで、ベルトに手を伸ばしてきた。
「でもさ、それだとおまえはまず間違いなく気持ちいいはずだから、ずるいと思うわけ。」
「…… は?」
「だって、負けたのはおまえだし。」
「いやま、そーだけどさぁ…… 」
「だから、基本的には、フェラされてる間は、オレのすることに抵抗しないこと。おけ?」
ベルトを外し、ニヤリと笑った本郷の顔に、俺は一抹の不安を覚えた。
「か…… 噛んだり、するなよ…… ?」
「…… やぶへびって言葉、知ってる?」
「ちょ、怖い無理やめろ脱がすなぁっ!」
俺は本気で恐ろしくなって、ジッパーを下ろしにかかる本郷の魔手から逃れた。そしたらあいつは、素直に手を引っ込めて、俺から拳2つ分離れたところに座り直した。
「じゃあさ、まずセーフワードを決めよう。」
「セーフワード?」
聞いたことのある響きではあった。たぶん、どっかで。学校で?テレビで?誰から?どんなシチュで?…… わからない。
つまり俺にとってそれは、聞いたことはあっても全く馴染みのない言葉だった。
「オレもされたことは多くてもしたことはないからさ、」
ここで本郷はさり気なく自慢を挟んだ。
「オレが暴走したり、行きすぎたりしたら、おまえがそれを止められる、呪文を決めよう。オレを強制的に機能停止にする、最後の手段的な。」
「…… ラピュタの、『バルス』みたいな?」
「うーん、そうだなぁ。いや、犬夜叉の、『おすわり!』の方が近いかな。」
本郷がそう言って、ちらりと視線を投げてきた。
俺はなぜかドキッとして、ベッドに座っている腰がそわそわした。
「そんなんで、止まんの?」
「止まるよ。…… オレは、Domだから。」
顔を背けて目を伏せた本郷の横顔は、男の俺から見ても整っている。その顔がふいにこっちを向いて、真顔で呟いた。
「…… 好きだよ。」
一瞬、時間が止まったかと思った。
目が合ったまま、動けなくて。窓の外から、チリンチリン、と自転車のベルの音が聞こえて、あぁ、止まってるのは俺たちだけだ、と気づいたとき。
「…… とかいう、普通にポロッと言っちゃいそうなのはダメなんだよ。」
そう言って、本郷がにやっと笑った。
フェラーリ、乗りたい、とかさ。
フェラガモの靴、買えとかさ?
どっちにしろ、俺の小遣いでどうにかできるもんでもなくて。
笑うところ、かな、と思ったけど。
本郷の目は、真剣だった。
「オレさ、もしかしたら女の子より、男が好きなのかもしんなくて。つーのはさ、なんか、どんな可愛い子とヤッても、みんなおんなじに思えてくんだよな。顔とか髪型とか違っても、結局最後やること一緒じゃん?」
「おまえそれ録音して昼の放送で流すぞ。」
「別にいーけど。てゆうか、みんなそう思ってんだろって思ってたんだよ、最近まで。別に相手とか、誰でもいいっつか、誰でも一緒つか。でも他のやつはそうじゃないらしいってなんとなくわかってきて、そんじゃ結局、オレは女の子が好きじゃないのかなって思ってさ。」
贅沢な悩みを吐き散らかした本郷は、隣に座る俺の股間に目を向けた。
「だから、ちょっと一回、試しにフェラさしてほしいんだよね。」
なんでそんな思考回路なんだよ、と思ったけど、本郷は絶句した俺になんかお構いなしで、ベルトに手を伸ばしてきた。
「でもさ、それだとおまえはまず間違いなく気持ちいいはずだから、ずるいと思うわけ。」
「…… は?」
「だって、負けたのはおまえだし。」
「いやま、そーだけどさぁ…… 」
「だから、基本的には、フェラされてる間は、オレのすることに抵抗しないこと。おけ?」
ベルトを外し、ニヤリと笑った本郷の顔に、俺は一抹の不安を覚えた。
「か…… 噛んだり、するなよ…… ?」
「…… やぶへびって言葉、知ってる?」
「ちょ、怖い無理やめろ脱がすなぁっ!」
俺は本気で恐ろしくなって、ジッパーを下ろしにかかる本郷の魔手から逃れた。そしたらあいつは、素直に手を引っ込めて、俺から拳2つ分離れたところに座り直した。
「じゃあさ、まずセーフワードを決めよう。」
「セーフワード?」
聞いたことのある響きではあった。たぶん、どっかで。学校で?テレビで?誰から?どんなシチュで?…… わからない。
つまり俺にとってそれは、聞いたことはあっても全く馴染みのない言葉だった。
「オレもされたことは多くてもしたことはないからさ、」
ここで本郷はさり気なく自慢を挟んだ。
「オレが暴走したり、行きすぎたりしたら、おまえがそれを止められる、呪文を決めよう。オレを強制的に機能停止にする、最後の手段的な。」
「…… ラピュタの、『バルス』みたいな?」
「うーん、そうだなぁ。いや、犬夜叉の、『おすわり!』の方が近いかな。」
本郷がそう言って、ちらりと視線を投げてきた。
俺はなぜかドキッとして、ベッドに座っている腰がそわそわした。
「そんなんで、止まんの?」
「止まるよ。…… オレは、Domだから。」
顔を背けて目を伏せた本郷の横顔は、男の俺から見ても整っている。その顔がふいにこっちを向いて、真顔で呟いた。
「…… 好きだよ。」
一瞬、時間が止まったかと思った。
目が合ったまま、動けなくて。窓の外から、チリンチリン、と自転車のベルの音が聞こえて、あぁ、止まってるのは俺たちだけだ、と気づいたとき。
「…… とかいう、普通にポロッと言っちゃいそうなのはダメなんだよ。」
そう言って、本郷がにやっと笑った。
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