せめく

月澄狸

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家族幻想

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今ひとつ分からないことがある
ママはなぜ、何のために俺を生んだんだ?


「ねぇ、犬を飼いたいんだけど」
「無理よ」

「ほら工作したの」
「ガラクタ増やさないでくれる?」

「絵本が読みたいな」
「買えません」

「こんな面白い実験があるんだって」
「部屋が汚れるからやめなさい」

「おうちに友達呼んでもいい?」
「面倒だからやめて」

「見てみて! 今日ね、賞を取ったんだよ」
「そんなの大したことないわよ」

「大学行きたい」
「無理よ諦めて」


「ちょっとどいて、テレビが見えないじゃない」
「なんでママの邪魔するの」
「やめて、ママを困らせないで」
「お金がないって言ってるでしょ」
「余計なことしないでくれる?」
「いい加減にしなさい、しつこい」
「まとわりつかないでよ鬱陶しい」
「あなたって本当にパパにそっくり」


幸せはお金じゃないとは言う
貧しくても幸せだとか
学歴なんかで人間の価値は変わらないとか

けどどうもそう思いこませようと
洗脳されているように思えてならない


お金も覚悟も愛情も知識もなく
世間知らずで無責任に子どもを産む
それは少子高齢化より危険じゃないのか?
人間に人間を育てるだけの知能はあるのか?
人間に愛や理性はあるのか?

質より量で
人を増やそうとしていないか
世の風潮や世間体
交尾欲に飲まれていないか
なんとなく流されて今があるんじゃないか

人並みに結婚して
子育てするステイタスのためか?
それ以外の意図は⋯⋯?

俺には分からない
ただ
一刻も早く世界が滅べば良いのにと思う


誰かが叫ぶ
「一生懸命やっている人を馬鹿にしないで!」

俺のママはどうだろう
必死だけど一生懸命じゃないかもな

一生懸命って何だろう
頑張りの内容じゃなく頑張ることが偉いのか?


ある人は言った
「男のくせに情けないわね!」
「食べ物がもらえなかったわけじゃなし」
「暴力振るわれてもないんでしょ」
「私なんか、父に暴力振るわれたけど感謝してるわよ」

別に暴力父に感謝しようがしまいがアンタの勝手だが
それと俺の気持ちになんの関係があるんだ?
我慢自慢か?

「親には感謝すべきよ」
それはアンタの持論だろ


「良い歳してママを恨んでるだって?」
知人が呆れ顔で嘲笑した

「精神年齢低すぎだろ」
「もう大人なんだから」
「自分の身の丈を理解して」
「自分の人生くらい自分で⋯⋯」


プツンと何かが切れる音がした


そうだ、俺は生まれたくなかったんだ
俺を産んだ世界への反逆


気持ち悪い?
間違っているのは俺の方なのか?

ママはいつだって
「自分の時間がない」と泣いていた
俺と過ごす時間は?

本音を言えよ
生まれた瞬間から俺は必要とされていない
愛する価値もない出来損ないだと言うんだろ?


ああ、普通の家族に生まれたかったなぁ

普通の良い家族なんてほぼ存在しないのか?
それでも「理想」の家族が良い
絵に描いたように幸せで、安心感のある家族


返してくれ、俺の子ども時代を
それがちゃんとありさえすれば
こんなはずじゃなかったんだ
人並みに生きられたんだ


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