せめく２

あとずさり

定期的に思い出さないと
思い出はなかったことのようになってしまう

定期的に思い出すと
嫌だという気持ちは強固なものになってしまう


苦手な人
そこまで苦手じゃなかった

嫌なこと
そこまで嫌ではなかった


海へ行った
遊園地へ行った
お婆ちゃんちへ行った

帰りのバス
電車の中
トンネルとオレンジの光
美味しいご飯

変わりゆく
忘れゆく
なかったかのようになる


過去に執着するのは良くないかもしれない
思い出ばかり美化するのは逃げかもしれない
でも怒りや疲れにまみれた今も良くない


若かった
自由だった

悲しくなってしまうのも良くない
変わるのはしょうがない
でも


思い出に浸って
取り返しに行く

今は「良いか」「悪いか」
ジャッジばかりするけど
以前はそんなんじゃなかったんだ