三日坊主の幸せごっこ

ただ人慣れするだけの期間

　喋りかけてくれる人が増えた。

　ってことはやはりパッと見、私は危険人物には見えないのだ。「月澄狸さんはおとなしい人だとみんなに思われている……」みたいなことを文脈内（？）でポロッと言ってくださったりもした。おとなしくしているつもりなので、おとなしく見えてて良かった。

　あとは第一印象（？）をどこまで保てるか。口を開けば失言、言葉選びミス多いからなぁ……。パッと見穏やかな人なら、いつまでもそのイメージでありたいものだが……。身の丈以上に良い人を演じると、窮屈で息が詰まるしなぁ。

　私は無神論者だが、カミサマを信じているとすれば。カミサマが私にそこまでひどい試練を与えるとは思えない。「今は人慣れ期間だよ～」って言ってくれてはるんちゃうやろか。
　気の利いたことを言おうとか、良い人だと思われようとかしなくていい。ただ人に慣れるだけ。っていうかそれ以外できない。身の丈以上に演じようとしない。

　正直すごい緊張するので、職場でもどこでも、適度に放っておいてもらった方がリラックスするかもしれない。
　でもなんか……今度こそ逃げずに踏みとどまるべきじゃないかと思う。
　別にそこまで重いことではなく。ただ、逃げたり閉じこもったりしすぎずに、人が自然に声をかけてくるような位置に居座り、構ってもらったりする（別のエッセイ連載では「引きこもりたい」って言ってたけど？）。

　今まで私は人慣れしていないから逃げてきただけなんだけど。勇気を出して話しかけた結果逃げられるって、相手からすればけっこうショックなんじゃなかろうか。
　逃げる、顔を合わせないようにする、拒絶する……身を守るためにそういう振る舞いをしてきたかもしれないけど。あとほんの少し、上手にやれないかな（極力ハードルを上げたくないが）。

　多分他の人の方が、学生時代から友達もいて、コミュニケーション上級者だろうから、私がコミュ障なのは見ていれば分かるのではなかろうか。私は最近自我が目覚めたばかりなので（流石に自我くらいは昔からあったぞ）、胸を借りる感じで、ありがたく構っていただこう。

　この幸せがいつまでも続けばいいなぁ……。人間関係のバランスってのは、どっかで崩れると、もう元には戻せないかもしれないからなー……。それに人は動くから、いつまでも同じ人が近くにいてくださるわけじゃなし。
　今、まわりにいてくださる人が好きだなーと思うから、今はその幸せに浸っていたい。やっぱり人間不信みが強くて、怯えてしまったりもするんだけど。ちょっぴり緊張を乗り越えよう。

　今最優先なのは師匠（いつもお世話になっている先輩。86歳くらい？）との関係だろう。
　人との繋がりは有限。いや、もちろん本質は無限なんだけど。その上で、今、まわりの人と一緒にいられる時間は有限。好きに動ける時間も有限かも。

　限りある人生、嫌なことを我慢したくはないけれど、嫌じゃないことを嫌だと思い込んでいる可能性もあれば、嫌だったことが嫌じゃなくなる可能性もある。
　時に疑心暗鬼になりつつも、ただただ優しい人に構ってもらえる環境に甘え、じわじわと人慣れしてみる。