三日坊主の幸せごっこ

月澄狸

文字の大きさ
131 / 437

恵まれないのも毒、恵まれすぎるも毒、それらが混在するも毒か

しおりを挟む
 私も相当ダメ人間だけれど、リアルなまわりの人(というより見聞きする情報?)も、けっこう偏っているというか、ダメ人間かもしれないと思った。

 たとえば四六時中、あの人がどう、この人がどう、これがいけない、文句言うとか。
「結婚しなさい」とまわりに言いつつ、そしてご自身が結婚しているわりに、夫婦・家庭破綻(?)しているとか。あんまり人格がよろしくないとか。


 もっと建設的な(?)まともな世界があり、しかしまともということは、厳しい世界なのだ。誰かにズルズル頼ったり甘えたりしない、干渉しない、グダグダグチグチや無駄を許さない、ハイレベルを求め取捨選択する個人主義の世界。わりと完璧な世界。

 私の人生、まわりはいじめっ子みたいな人が多い(というより目立つ)。倫理観の狂った人が多い(というより目立つ)。私も普通じゃないけど、私がフォーカス・認識している、「これが世界だ」と思っている世界も、まともな方ではないのだ。つまり偏った世界を信じている。

 私の世界は、私に変に厳しい部分も、変に甘い部分も多い。ほんの些細なことで、無意味にキツい言い方で長時間叱ってきたり、かと思えば甘い理想論を言われたり。私自身もだけど、支離滅裂で気まぐれで無責任で見通しが甘く、行き当たりばったりなような。私が信じている「世界」自体がそういう態度のような。
 私はそれらの、やや世間知らずな意見に、べったり甘えてしまっていた。多分、まわりの感覚(金銭感覚・道徳観など)もちょっと異常なのだ。

 狂った部分と、甘やかされている部分。やはり、私も私の世界も、変に偏っている。


 私は友達がいないし、身内もちょっと特殊だったと思う。世間一般的な考えではなかったと思う。人間、「一生懸命」ではあっても、見当違いなこともある。
 なんというか私もまわりも、感情的で身勝手、要約すると「幼い」かも。ちょっとズレた考えを平気で信じ、押し付けるような。

 私もこの世界観を基準にしていた。ちょっとした家庭崩壊・虐待家系かもしれない。過保護・過干渉も、無関心も、世間知らずも、行き当たりばったりも、情報弱者も、色々な問題が少しずつ入っていそう。

 身内の一人は障がいで(?)、言葉は通じるけど会話ができない。会話ができないと言うより、性格がめちゃくちゃ悪く、すごくこだわりがあり、人の言うことを聞かない。
 で、それとは別に祖母も、似たような感じで、すごくワガママで「こうじゃダメ、ああじゃダメ」と人を振り回す。死んだ祖父はもっとひどい暴力野郎だったらしい。
 他の身内も、異常な身内に振り回されたせいか、ちょっと感覚が異常な気がする。話の通じない身内が多い分、話の通じる者同士で、共依存に入っているのかもしれない。


 けどおかしい人が多いせいか、私がダメ人間である理由ももはや分からない。
 私が元から無能なのか? それともちょっとしたストレスや無知が積み重なって、精神病でも発症している? いや、実はさほど問題などなく、世の中こんなもんで、私の適応力とメンタルが弱すぎる? 自意識過剰?
 私が虫だファンタジーだと脳内お花畑になる現実逃避癖も、マジで現実から逃げたくてこうなったのか、生まれつきこのようなトンチンカンな役立たずなのか。

 なんか祖母が介護施設でギャーギャー文句言って暴れて、「もう手に負えません」みたいな状況になりかけているみたいだけど、介護……私がすることになる? できるんだろうか?
 っていうか他の障がいのある身内も将来、私が養うことになるのか? 私の未来どうなるんだろ。

 身内がどうとか以前に、私はこの先、私の力で生きていけるのか? こんなダメ人間なのに。


 私も、「人間界に興味がない」とか、「生き物やファンタジーが好き」とか、現実逃避ばかりしていて生きていけるならいいけど。
 人間なのだ。人間に生まれてしまったのだ。まともにならないと。

「まとも」ってのは多数派について行くことじゃなく、筋が通っていることなんだろう。
 迷惑をかけないこと。誰かに負担をかけることを当然と思わず、できるだけ負担をかけないようにし、現状至らず人に頼っている部分があっても、それを自覚し、正しい方向性の「成長」を目指していること。人の親切を当然と思って不満ばかり言わないこと。

 正しく助け合い、依存しないこと。借りを返そう、平等であろうとすること。


 選ぶ必要のない苦労、というより私にはできない選択もあると思う。たとえば結婚、子育てとか。
 結婚していても、子どもがいても、性格おかしい人はいっぱいいる。それで「人としての成長……」とか聞いても。完璧に自立してバリバリ働いて、でも愚痴を撒き散らすってのは、「できる人」だとしてもどうなの? 人って一長一短かも、と思っていた。

 けどもっとまともな人が大多数なのだ。そして「まとも」はズルズル・ダラダラしていない。厳しそう。整っていそう。だから人にも厳しいのだ。

 私の見ている人(フォーカスしている人、身近な人)は特殊。

 ネットでまともな人のエリアを見ると、私のような怠惰な感覚の人が「人としてどうかと思います。自分に問題があると思わないの?」と叩かれている。けど私はまわりも無法地帯だし、あんまり(世間一般的に)「正しい」理屈に触れる機会がなかったもので、私は私でダメ人間でも、目立たない方だった。親の親が虐待親だとか、もっとダメ人間だったから。
 学校も荒れていて、ヤンキーだらけだったし(小学校の頃、隣のクラスの担任の先生がストレスで辞めた? ような。あと高校の先生は生徒に手を出して逮捕? 辞職? されたような)。私はダメ人間の中でもおとなしい方だったのだ(多分)。


 うちの職場も、ちょっと問題のある人ばかり雇ってくれているのかもしれない。そこには感謝。だけど何にせよ当たり前じゃない。身の回り、そして「目立つ世界」が当たり前じゃない。

 職場の人が「◯◯さんがこう言った……」とか仕事仲間の悪口言ってるけど、うちの倫理もへったくれもないクソ親族どもに比べたら、職場で悪口言ってる人も言われてる人も、だいぶマシなのかもしれない。
 でもやっぱちょっとでも、堪えるものは堪えるな。言うのも聞くのも言われるのもキツい。

 なんか職場で嫌われたりして、「あの人と仕事したくない」と言われている人と、私が時々組まされている気がする。
 私自身ダメ人間なので(主に仕事が遅い)、人様のこと言えないと思うし、私は「あの人嫌い、苦手」とか職場ではあまり言わないようにしている(仕事できない上に文句言いまくったら、クビにされるか、状況悪くなるんじゃないかと恐れて)。まだ言語が通じそうな人間に対しては、うまく共存する方法をなんとなく探っている。


 私がダメ人間なのは、正直私のせいだけとは思えない。けど、そんなこと言っていてもしょうがない。何もなくても私は結局、怠惰で夢想家なだけのダメ人間だったかもしれない。まわりが勤勉でも、私だけ落ちこぼれだったかもしれない。

 過去の不幸は養ってくれない。反面教師だけでは導かれないと思う。導きを求めているところが既に依存的だが、まわりがまともな方向に育ててくれず、変に甘やかしたり変に厳しくワガママなら、私が私を導かないと。

 私はファンタジーの住人ではないから、年を取るのも、税金の手続きも、普通に人間として、これから先、起こることは起こるのだ。


 人は私を単体のダメ人間としか見ない。過去がどうとか関係ない。会ってみて印象が悪かったら「とんでもないダメ人間ね」としか思わない。私は私、人は人、常に単品なのだ。
 だから人は自立的で、個人としての意思がなければならない。「家族が、過去が、こうだったから……」なんていつまでも言っていても、バカだと思われるだけなのだろう。


 ああ、でも、なんか、もう、本当に人ってそれぞれ、好き勝手なこと言うよな。あっちはああ言い、こっちはこう言い、全部足並み揃わない。誰も満足していなさそう。……それは私が不満ワールドにいるせいか?

 うん、そりゃ、私が人の5倍稼いで、障がいのある身内にも全部金を出せるほどの財力を持てれば、良い施設を見つけてあげるなり何なりできたかもしれないけどね。で、「人それぞれで良いんだよ」「命とは宝物だ」と、仏のような満面の笑みで言えるほど寛容なら良かったんだけどね。


 私も意地汚く、同列の、いや、結果的に我が一族で一番最低かもしれない落ちこぼれなんだわ。
 最低は、ろくに働きもせず酒を飲んで暴力ばかり振るっていたらしい祖父かと思うけど、もう死んではるし。

 他の人は、倫理観はちょっとアレだけど、仕事ができて稼いでいたりする。
 仕事できない、働きたくない、怠惰な私が、存命中の者の中で、一番最低扱いなのかもしれない。


しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

BL認定児童文学集 ~これ絶対入ってるよね~

松田夕記子
エッセイ・ノンフィクション
「これは児童文学だ。でも絶対にBLだよね!」という作品を、私の独断と偏見をもとに、つらつらとご紹介していきます。 「これ絶対入ってるよね」は、みうらじゅん氏の発言としてあまりにも有名ですが、元のセリフは「この下はどうなっていると思う? オレは入ってるような気さえするんだけど」が正しいです。 BL小説をご覧になって頂き、誠にありがとうございました。このエッセイはクリスマスの25日に完結します。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...