三日坊主の幸せごっこ

儚いからこそ

　愛情深い皆さんから、優しく接してもらえて幸せだ。
　そのことに気づく時期もあれば、鈍くなる時期もある。

　過ぎ去った日々は戻ってこない。中学生の頃には返れない。あのときまわりにいた人と、今の人間関係は違う。そしてこれからも、身近な人が亡くなったり、距離が遠くなることがあるかもしれない。

　何も残らないこと、あるいは残してしまうかもしれないこと、色々恐れて憂いた。
　それでも幸せなんだ。きっと。
　永遠じゃないからこそ、噛みしめなくてはならない。鮮明なうちに刻みたい。

　軽く見るようなことじゃない。一声かけてくださるだけでも、それ以上でも。思っている以上に人って、愛してくださっているんだなということ。
　分かってはいるつもりだけれど、うまく返せない。鈍い日もある。コミュニケーションが苦手だ。

　いつかどこか……走馬灯の中とかで……出会った人たちのすべて、一言一句、知らぬうちに受けた愛情、忘れていた日々を鮮明な記憶として見るのだろうか？　いつか思い出と触れ合えるのだろうか？

　消えた記憶が二度と戻らないならば、過去とは、人生とは、何のためにあるのだろう。
　わずかな欠片を写真に焼き付け、文章に書き留め、手がかりを元に呼び起こす。

　愛情深い人たちに、うわべだけの態度など取るもんじゃないな。汚したくないな。
　ずっと後ろ向きであるために。ちょっぴり前向きになりたい。