7 / 36
出会い編
7.食育
しおりを挟む
響也が息子の尊と話をしている間、俺は作り掛けのスイーツ作りを再開していた。
生地を練っている最中なのに話が長くなりそうだったからな。元々は2人で作っていたが、続きを1人でやる位どって事ない。
って事でスイーツの基礎は作り終えた所で響也も話が終わったみたいだ。
「すまないね。残りの飾り付けは私がやろう」
「おう。任せた」
下の名前で呼び合う仲なのに他人行儀なのもなー、と素の俺で接したけど問題はないみたいだ。寧ろ一瞬軽く目を見張ってから嬉しそうに、それはもう嬉しそうに可愛く笑ってくれちゃったりなんかして……。いかん、思い出して照れる。
「よう尊。悪いな、折角来たのにようわからんおっさんがいてビックリしたろ」
場所を入れ替えて今度は俺が尊と相対する。
「構わないよ。僕の方が後から来たんだし。それよりあれは何をしているの?」
響也に負けず劣らずのポーカーフェイスで視線だけで響也を見た。
「ちょっと前に食べた店のスイーツが美味くて、再現できないかって話で盛り上がってさ。試しにやってみてるのさ」
何事も経験だっていう俺の方針と、勉強熱心な響也の性質が合わさった結果の今日。
ここに来てずっと崩すことが無かったポーカーフェイスが崩れた。少年特有のワクワクとした顔を滲ませた尊。子供らしい所もあるんだな。良かった。
「父さんが料理をするなんて信じられない」
うん。どうやら俺が思ってたのと違う方向性に感性が触発されたらしい。
「甘いのは好きか?」
「甘ったるいのは苦手。特に母さんのは胃が死ぬ」
どんなだ。
生姜焼きの件から料理は不得手そうだとは思ったけど、こりゃ食育に悪そうだ。
「今日はおじさんが旨い晩飯作ってやるからな」
ホロリと涙した俺。悪くない。急遽晩飯を作る予定が入ったが問題なし。何故なら彼女いない俺の時間は余裕しかない。寧ろ今は響也を息子と2人残していく方が不安だ。斜め前に爆走しそうで。
そこで何で驚愕するんだ尊。
「おじさん料理出来るの?」
んんんっ!やっぱ尊は響也に性格似たんだな!基本無表情なのにくそ可愛いか!
「好きなの作っちゃる!」
「え。本当?なら……ハンバーグ」
チラリと上目遣いに「無理なら良いよ」と言わんばかりに心配気な光を感じる。
「やっぱり難し」
「よし。直ぐに材料買いに行こう」
何かを言い掛けた尊の腕を掴んで立たせると、いそいそと財布を手に取る。俺が絶対旨いの作ってやるからな!普通のが良いか?子供ならチーズ入りが良いか?
「待て」
そんな事をワクワクしながら考えていたら響也に止められた。
「スイーツ食べてからだ」
おっふ。忘れてた。
2人分のつもりで用意してたから、1人分を尊に。残りを俺と響也で分け合って食べた。
うむ。再現には至らなかったがこれはこれで良し。何より……。
「もぐ……。!?モグ……!!」
無表情で一口食べて目を開き、もう一口食べてスイーツと響也を見比べ、更にもう一口食べて俺と響也を見たあとキラキラした目で完食した尊が可愛かった。その様子に誇らし気な響也も可愛かった。
改めて買う物買って帰って来て、手伝うと言った響也を久し振りの再会だろと断り作った晩飯。ご飯とコンソメスープと尊の希望で普通のハンバーグとグラッセとサラダ。テーブルに並べたそれを見てまたもや驚愕する尊。俺と料理を交互に見てる。
「ほら、座って。食べよう」
促せば信じられない物を見ている雰囲気で恐る恐る座って「いただきます」をした。きちんと教育が行き届いていて感心。そして恐る恐る口にしたハンバーグ。ソースはハンバーグを焼いた後のフライパンでケチャップとソースを混ぜただけの簡単なもの。なのに尊はまたもや目を見開いた。
「!……!……!」
何か言いたげに視線をハンバーグと俺に行ったり来たりさせて、そして響也を見た。
響也は全てわかっていると言いたげな表情で深く頷いた。
その後は無言で、けれども上品に全て平らげた尊。満足そうに深く長く息を吐き出した。
「もうさ……。父さんはこの人と結婚しようよ……」
ぶっほぉ!!!
……食後のコーヒー鼻から吐き出すかと思った。
多分恋かもって自覚してまだ数時間しか経ってないのにこの不意打ち。ビビるわ。大体そんなん言われた響也が困惑するだろうよ。
そう思って苦笑を作って振り向いた響也は……。
無表情なのに耳だけ赤かった。
生地を練っている最中なのに話が長くなりそうだったからな。元々は2人で作っていたが、続きを1人でやる位どって事ない。
って事でスイーツの基礎は作り終えた所で響也も話が終わったみたいだ。
「すまないね。残りの飾り付けは私がやろう」
「おう。任せた」
下の名前で呼び合う仲なのに他人行儀なのもなー、と素の俺で接したけど問題はないみたいだ。寧ろ一瞬軽く目を見張ってから嬉しそうに、それはもう嬉しそうに可愛く笑ってくれちゃったりなんかして……。いかん、思い出して照れる。
「よう尊。悪いな、折角来たのにようわからんおっさんがいてビックリしたろ」
場所を入れ替えて今度は俺が尊と相対する。
「構わないよ。僕の方が後から来たんだし。それよりあれは何をしているの?」
響也に負けず劣らずのポーカーフェイスで視線だけで響也を見た。
「ちょっと前に食べた店のスイーツが美味くて、再現できないかって話で盛り上がってさ。試しにやってみてるのさ」
何事も経験だっていう俺の方針と、勉強熱心な響也の性質が合わさった結果の今日。
ここに来てずっと崩すことが無かったポーカーフェイスが崩れた。少年特有のワクワクとした顔を滲ませた尊。子供らしい所もあるんだな。良かった。
「父さんが料理をするなんて信じられない」
うん。どうやら俺が思ってたのと違う方向性に感性が触発されたらしい。
「甘いのは好きか?」
「甘ったるいのは苦手。特に母さんのは胃が死ぬ」
どんなだ。
生姜焼きの件から料理は不得手そうだとは思ったけど、こりゃ食育に悪そうだ。
「今日はおじさんが旨い晩飯作ってやるからな」
ホロリと涙した俺。悪くない。急遽晩飯を作る予定が入ったが問題なし。何故なら彼女いない俺の時間は余裕しかない。寧ろ今は響也を息子と2人残していく方が不安だ。斜め前に爆走しそうで。
そこで何で驚愕するんだ尊。
「おじさん料理出来るの?」
んんんっ!やっぱ尊は響也に性格似たんだな!基本無表情なのにくそ可愛いか!
「好きなの作っちゃる!」
「え。本当?なら……ハンバーグ」
チラリと上目遣いに「無理なら良いよ」と言わんばかりに心配気な光を感じる。
「やっぱり難し」
「よし。直ぐに材料買いに行こう」
何かを言い掛けた尊の腕を掴んで立たせると、いそいそと財布を手に取る。俺が絶対旨いの作ってやるからな!普通のが良いか?子供ならチーズ入りが良いか?
「待て」
そんな事をワクワクしながら考えていたら響也に止められた。
「スイーツ食べてからだ」
おっふ。忘れてた。
2人分のつもりで用意してたから、1人分を尊に。残りを俺と響也で分け合って食べた。
うむ。再現には至らなかったがこれはこれで良し。何より……。
「もぐ……。!?モグ……!!」
無表情で一口食べて目を開き、もう一口食べてスイーツと響也を見比べ、更にもう一口食べて俺と響也を見たあとキラキラした目で完食した尊が可愛かった。その様子に誇らし気な響也も可愛かった。
改めて買う物買って帰って来て、手伝うと言った響也を久し振りの再会だろと断り作った晩飯。ご飯とコンソメスープと尊の希望で普通のハンバーグとグラッセとサラダ。テーブルに並べたそれを見てまたもや驚愕する尊。俺と料理を交互に見てる。
「ほら、座って。食べよう」
促せば信じられない物を見ている雰囲気で恐る恐る座って「いただきます」をした。きちんと教育が行き届いていて感心。そして恐る恐る口にしたハンバーグ。ソースはハンバーグを焼いた後のフライパンでケチャップとソースを混ぜただけの簡単なもの。なのに尊はまたもや目を見開いた。
「!……!……!」
何か言いたげに視線をハンバーグと俺に行ったり来たりさせて、そして響也を見た。
響也は全てわかっていると言いたげな表情で深く頷いた。
その後は無言で、けれども上品に全て平らげた尊。満足そうに深く長く息を吐き出した。
「もうさ……。父さんはこの人と結婚しようよ……」
ぶっほぉ!!!
……食後のコーヒー鼻から吐き出すかと思った。
多分恋かもって自覚してまだ数時間しか経ってないのにこの不意打ち。ビビるわ。大体そんなん言われた響也が困惑するだろうよ。
そう思って苦笑を作って振り向いた響也は……。
無表情なのに耳だけ赤かった。
0
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる