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恋人編
1.恋人として
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響也とお付き合いを始めた。
って言っても尊もいるしやる事はいつもと変わんないけどな。強いて違いを上げるとしたらキスをする位か。
「……っ、っは、はー……」
本当を言えばエッチしたい。めちゃしたい。絶対響也抱いたら可愛い。
でも流石に男相手に抱かれてくれなんて言えなくて、こうして自宅に帰っては響也をオカズに抜く日々だ。響也には勝手にオカズにして申し訳ないが許して欲しい。俺だってリアルの響也の体は我慢してるんだ。
「あー……したい。でも響也に無理強いはしたくない」
後始末をしてベッドに倒れ込んだ俺は、枕を手繰り寄せて顔を埋めて長い溜息を漏らした。
暫く自己嫌悪して気持ちを立て直す。起き上がってスマホを手に取ると、ネット検索でお薦めのデートスポットを見るとはなしに見ていく。
「当たり前だけど女の子相手のスポットばかりだな」
尊の習い事の間にちょっと2人だけで出掛けられる所はないもんかねえ。
そんな事思いながらボーっとスクロールしていくが、目ぼしいものは見つからなかった。
俺はもう一度布団に身を沈めてスマホから手を離す。そして気付いた事が衝撃的で思わず腕で目を覆った。
「そもそも今まで一緒に出掛けてたのがデートっぽい」
ああそうだよ、なんなら温泉も行ったわ!尊来る前も来た後も!自覚した後は本当眼福で目の毒でやり場に困ったが悔いはない。また行こう。
行った事無い所やした事ないのって何かあるかな……。ていうか今更だけど響也の好きな事ってなんだ?
新たな問題が浮上した所でこの日俺は考えを放棄した。わからんもんはわからんから少しづつ知って行こう。
響也の事を知ろうとして早数日。俺は未だに何の取っ掛かりも見つけられないでいる。
てか俺の恋人ハイスペック仕事超人過ぎて好きな事を知る隙が無い。感情の起伏はわかるけど、どうも俺といる時はいつも穏やかな目をしているし何をしても嬉しそうに微笑む。俺や尊以外の人の前じゃ冷徹な真顔だし、営業中の営業スマイルは作り物過ぎて響也味が無いんだけどな。
今も俺が旅行雑誌を捲っているのを見てはいるが、行きたそうな場所が無いのか真顔が崩れない。
「響也は行ってみたいとこ無いか?」
埒が明かないから雑誌を響也の手に渡して聞いた。
響也は雑誌を受け取ったものの、特にページを捲るでも無く俺を見る。
「元々さして旅行をした事が無くてね。けれど侑真が連れてくれる所はどこも楽しい思い出ばかりだよ」
うぐぅ。その微笑みプライスレス。
じゃなくて。
「尊(と元嫁)とは家族旅行しなかったのか?」
「全て元妻が選び連れ回していた。その全てが海外だったな」
ああ……その様子が手に取る様にわかる。きっと響也にも尊にも口を挟む余地が無かったんだな。しかも2人ともそういう所淡泊だからきっと何でも良かったんだろうな。
何なら旅行っていう認識すらあったのか疑わしい。
ほら、その話をした響也と聞いていた尊の顔が冷徹に凍ってる。
「あーまー何というか。あれだ。今は今、だ。むしろ今だからこそやってみたい事って無いのか?」
「ふむ……」
おや、何やら考えさせてしまったか。
珍しく言い淀み長考した響也だったが、一度目を閉じてそして開けた時には考えていた事を無かった事にした雰囲気を感じさせた。
「侑真とならしてみたい事だらけだね」
そのだらけの中に本当にしたい事を含めてる気がする。
でも響也が言い淀むって事は言い辛い事なんだろうな。今は尊もいるし、それは追々聞くに留めた方が良さそうだ。
俺は聞きたい気持ちを飲み込んでニッと笑った。
「そっか。じゃあ片っ端からやってこうぜ」
「ふふ。それはとても楽しみだ」
目元にホッとした色を覗かせて微笑んだ響也。思わずその目にキスをしそうになって、でも尊の目に気付いて止めた。
危ない危ない。小学生の目には毒だろ俺。尊は気にしなそうだけどそれはそれ、これはこれだ。
響也もそんな俺の動きに気付いてか目尻に朱を浮かばせて目線を決まり悪気に逸らしてた。
「先ずは何からしようか」
俺も尊の目がやたら刺さるのを感じてドキドキするのを隠してスマホを手にする。適当に検索しているとふと目に入るサイトがあった。
「お。祭りがあるって。しかも花火まで上がる」
「「祭り」」
響也と尊の声がハモった。
しかも目に好奇心が宿ってる。もしかして……。
「……行った事無いのか?」
「あの毒母が人混みに行くの許してくれたことなんて無いよ」
嘘だろとの思いで聞いた答えは、尊の侮蔑と悔しさの混じる歪んだ顔と吐き捨てる様に言った言葉。
もう何度も諦めて来たんだろうな。小学生なら友達とそういう話が幾度も出てもおかしくはない。子供の内のそういうのは一緒に出来ないだけで悪く思われる方が多い。子供に大人の事情なんて関係ないんだから。
「良し。ここ行こう。響也もそれで良いか?」
折しも開催日は今日。
天気は快晴。天気予報でも一日晴れ。
これはもう行くっきゃないだろ。尊の為にも今日は行く。絶対行く。
そう思ってみた響也は、むしろ期待に目を輝いていた。
ブルータス。お前もか。
響也の子供時代を不憫に思いつつも、俺は響也の初めてを俺が作っていける事に心躍った。
って言っても尊もいるしやる事はいつもと変わんないけどな。強いて違いを上げるとしたらキスをする位か。
「……っ、っは、はー……」
本当を言えばエッチしたい。めちゃしたい。絶対響也抱いたら可愛い。
でも流石に男相手に抱かれてくれなんて言えなくて、こうして自宅に帰っては響也をオカズに抜く日々だ。響也には勝手にオカズにして申し訳ないが許して欲しい。俺だってリアルの響也の体は我慢してるんだ。
「あー……したい。でも響也に無理強いはしたくない」
後始末をしてベッドに倒れ込んだ俺は、枕を手繰り寄せて顔を埋めて長い溜息を漏らした。
暫く自己嫌悪して気持ちを立て直す。起き上がってスマホを手に取ると、ネット検索でお薦めのデートスポットを見るとはなしに見ていく。
「当たり前だけど女の子相手のスポットばかりだな」
尊の習い事の間にちょっと2人だけで出掛けられる所はないもんかねえ。
そんな事思いながらボーっとスクロールしていくが、目ぼしいものは見つからなかった。
俺はもう一度布団に身を沈めてスマホから手を離す。そして気付いた事が衝撃的で思わず腕で目を覆った。
「そもそも今まで一緒に出掛けてたのがデートっぽい」
ああそうだよ、なんなら温泉も行ったわ!尊来る前も来た後も!自覚した後は本当眼福で目の毒でやり場に困ったが悔いはない。また行こう。
行った事無い所やした事ないのって何かあるかな……。ていうか今更だけど響也の好きな事ってなんだ?
新たな問題が浮上した所でこの日俺は考えを放棄した。わからんもんはわからんから少しづつ知って行こう。
響也の事を知ろうとして早数日。俺は未だに何の取っ掛かりも見つけられないでいる。
てか俺の恋人ハイスペック仕事超人過ぎて好きな事を知る隙が無い。感情の起伏はわかるけど、どうも俺といる時はいつも穏やかな目をしているし何をしても嬉しそうに微笑む。俺や尊以外の人の前じゃ冷徹な真顔だし、営業中の営業スマイルは作り物過ぎて響也味が無いんだけどな。
今も俺が旅行雑誌を捲っているのを見てはいるが、行きたそうな場所が無いのか真顔が崩れない。
「響也は行ってみたいとこ無いか?」
埒が明かないから雑誌を響也の手に渡して聞いた。
響也は雑誌を受け取ったものの、特にページを捲るでも無く俺を見る。
「元々さして旅行をした事が無くてね。けれど侑真が連れてくれる所はどこも楽しい思い出ばかりだよ」
うぐぅ。その微笑みプライスレス。
じゃなくて。
「尊(と元嫁)とは家族旅行しなかったのか?」
「全て元妻が選び連れ回していた。その全てが海外だったな」
ああ……その様子が手に取る様にわかる。きっと響也にも尊にも口を挟む余地が無かったんだな。しかも2人ともそういう所淡泊だからきっと何でも良かったんだろうな。
何なら旅行っていう認識すらあったのか疑わしい。
ほら、その話をした響也と聞いていた尊の顔が冷徹に凍ってる。
「あーまー何というか。あれだ。今は今、だ。むしろ今だからこそやってみたい事って無いのか?」
「ふむ……」
おや、何やら考えさせてしまったか。
珍しく言い淀み長考した響也だったが、一度目を閉じてそして開けた時には考えていた事を無かった事にした雰囲気を感じさせた。
「侑真とならしてみたい事だらけだね」
そのだらけの中に本当にしたい事を含めてる気がする。
でも響也が言い淀むって事は言い辛い事なんだろうな。今は尊もいるし、それは追々聞くに留めた方が良さそうだ。
俺は聞きたい気持ちを飲み込んでニッと笑った。
「そっか。じゃあ片っ端からやってこうぜ」
「ふふ。それはとても楽しみだ」
目元にホッとした色を覗かせて微笑んだ響也。思わずその目にキスをしそうになって、でも尊の目に気付いて止めた。
危ない危ない。小学生の目には毒だろ俺。尊は気にしなそうだけどそれはそれ、これはこれだ。
響也もそんな俺の動きに気付いてか目尻に朱を浮かばせて目線を決まり悪気に逸らしてた。
「先ずは何からしようか」
俺も尊の目がやたら刺さるのを感じてドキドキするのを隠してスマホを手にする。適当に検索しているとふと目に入るサイトがあった。
「お。祭りがあるって。しかも花火まで上がる」
「「祭り」」
響也と尊の声がハモった。
しかも目に好奇心が宿ってる。もしかして……。
「……行った事無いのか?」
「あの毒母が人混みに行くの許してくれたことなんて無いよ」
嘘だろとの思いで聞いた答えは、尊の侮蔑と悔しさの混じる歪んだ顔と吐き捨てる様に言った言葉。
もう何度も諦めて来たんだろうな。小学生なら友達とそういう話が幾度も出てもおかしくはない。子供の内のそういうのは一緒に出来ないだけで悪く思われる方が多い。子供に大人の事情なんて関係ないんだから。
「良し。ここ行こう。響也もそれで良いか?」
折しも開催日は今日。
天気は快晴。天気予報でも一日晴れ。
これはもう行くっきゃないだろ。尊の為にも今日は行く。絶対行く。
そう思ってみた響也は、むしろ期待に目を輝いていた。
ブルータス。お前もか。
響也の子供時代を不憫に思いつつも、俺は響也の初めてを俺が作っていける事に心躍った。
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