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恋人編
13.新年
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今年は外国で新年を迎えた。
年越しそばを食べて、朝には尊にお年玉をあげて。流石に初詣は無いから帰ってから改めて行こうと話してある。
「楽しい時は早く過ぎてしまうものね」
最初の緊張は何処へやら。
「そうですね。お義父さんお義母さんも何時でも里帰りに来て下さい。あそこはお2人の家でもあるのですから」
俺と響也とで振舞った手料理にいたく感激された俺はその場で母と呼んで欲しいと言われていた。
凄いな榎本家のDNA。作り甲斐があって大変良いと思う。
「聞きまして!?あなた。本当に良く出来たご子息だ事。これは是非に響也さんには頑張って貰って侑真さんのご両親に許可を頂きませんと」
「うむ」
一番難航そうな人が一番チョロかった件について。とは言うまい。色々あったのだ、榎本家にも。主に元嫁によって。
そんなこんなで良好な時間を過ごし日本に帰宅すれば冬期休暇も残り少しとなっていた。
帰宅当日はゆっくり休み、次の日に3人で初詣に来た。
「元旦程ではないにしろ、まだまだ人が多いね」
「俺達みたいに旅行帰りで来る人もいるんだろうな」
定番の大きな神社に来たからか、人混みに溢れた列をゆっくり進んで行く。
尊と逸れない様に両サイドを俺と響也で繋ぐと、流石に尊も渋い顔をした。
「僕もうそこまで子供じゃないのに」
「言いたい事はわかるがこの人混みだと逸れた方が大変だ」
「わかってるよ。だだら恥辱を甘んじて受け入れてる」
恥辱て。
最近の小学生は怖い。
カメのペースで辿り着いた先でお賽銭を入れて二礼二拍手一礼をする。
終われば次の人の為に場所を空けて絵馬を書いたりおみくじを引いたりと正月らしいことをして過ごした。
お互いに何を願ったのかは聞かない。人に言ったら効力がなくなるって言うしな。
ただ俺はこの3人でずっと幸せに暮らせるように願った。
「お。甘酒配ってる」
「汁粉もあるから尊にはそれを貰おう」
寒風に甘酒が染み渡る。
「うめぇ……」
「はは、顔が緩み切っているね」
カップを離して吐息を吐き出すと、横から響也の手が伸びて俺の頬を撫でて来た。
「そういう響也だって」
緩んでるだろ。と続けようとして、止まった。
凄く幸せそうに微笑み俺を見る響也がいたから。
俺にだけ見せるその顔に、胸がギュウッとしてドキドキしてくる。
大勢の人がいるってのにハグして唇を合わせたくなる。
流石にいかんと思って甘酒を一気に仰いでカップをごみ袋に捨てた。
「酒が入ると熱くなるな」
赤い顔を仰いで誤魔化す。
響也はクスリと笑って同じく仰いでカップを捨てた。
「そうだね」
それだけ言うと赤い顔を隠しもせず響也の家に帰った。
視線が合うとも合わないともとれる微妙な中、無言で帰った玄関先で尊が唐突に言った。
「僕友達に呼ばれてるから行ってくる。帰りは夕方になるよ」
と。
颯爽と立ち去った尊の背を茫然と見送った後、どちらともなく視線が合った。
甘酒なんてたいした酒じゃないのに体が熱い。
「中に入ろう」
響也に促されて入った室内。上着を脱いでラフな格好になると目線は響也の目に、唇に、鎖骨にと行ってしまう。
クリスマスから一度も体は重ねていない。
でも俺はもう響也の熱を知ってしまっている。
それはどうやら響也も同じだったらしく、シンと静まり返った室内で俺達は唇を合わせた。
次第に深くなる口付けに体の熱は増していく。
そう言えば姫はじめなんて言葉もあったな。
なんて思いながら久し振りに俺と響也は互いの熱を確かめ合うのだった。
勿論相変わらず最後まではしていない。
昼間から求め合った俺達は尊が帰る前にシャワーを浴びて部屋の片付けを済ました。
夕飯作らないとだしな。
トントントンと包丁がまな板を叩く音がキッチンに響く。
ピーという音で順調に煮込まれていると確認出来る圧力釜。
その隣で白身魚を焼いている響也。手元からはジューという音が聞こえる。
不意に響也が野菜を切っている俺を見た。
そしてフッと大人の男らしい笑みを浮かべた。
「こうしていると新婚の様だね」
響也が俺と同じことを思っていた。
「俺も今丁度そう思ってた」
やることやった後だからだろうか。お互いの愛を噛み締めた後だからこそ互いのエプロンが輝いて見える。
でも俺が思うのとは違って響也がそう思うってのは少し引っ掛かりを覚える。
でもな……。これはな。言うのは流石にみっともないし、要らぬ傷に触る事にもなるし。
という事で心の奥に沸いたモヤモヤはそのまま飲み込むことにした。
だってまさか初めから愛なんて無かったっぽい元嫁とも新婚時代はあった訳で。てことは同じ事を2人でしたのかななんて言える訳ない。
「はは、こんな気持ちになるのは侑真が初めてだから同じで嬉しいよ」
うん。やっぱ何でもいいや。
だって響也が初めてを俺にくれてるんだから。
エプロン付けて菜箸片手に優雅に佇む響也が響也もカッコ可愛いです。
年越しそばを食べて、朝には尊にお年玉をあげて。流石に初詣は無いから帰ってから改めて行こうと話してある。
「楽しい時は早く過ぎてしまうものね」
最初の緊張は何処へやら。
「そうですね。お義父さんお義母さんも何時でも里帰りに来て下さい。あそこはお2人の家でもあるのですから」
俺と響也とで振舞った手料理にいたく感激された俺はその場で母と呼んで欲しいと言われていた。
凄いな榎本家のDNA。作り甲斐があって大変良いと思う。
「聞きまして!?あなた。本当に良く出来たご子息だ事。これは是非に響也さんには頑張って貰って侑真さんのご両親に許可を頂きませんと」
「うむ」
一番難航そうな人が一番チョロかった件について。とは言うまい。色々あったのだ、榎本家にも。主に元嫁によって。
そんなこんなで良好な時間を過ごし日本に帰宅すれば冬期休暇も残り少しとなっていた。
帰宅当日はゆっくり休み、次の日に3人で初詣に来た。
「元旦程ではないにしろ、まだまだ人が多いね」
「俺達みたいに旅行帰りで来る人もいるんだろうな」
定番の大きな神社に来たからか、人混みに溢れた列をゆっくり進んで行く。
尊と逸れない様に両サイドを俺と響也で繋ぐと、流石に尊も渋い顔をした。
「僕もうそこまで子供じゃないのに」
「言いたい事はわかるがこの人混みだと逸れた方が大変だ」
「わかってるよ。だだら恥辱を甘んじて受け入れてる」
恥辱て。
最近の小学生は怖い。
カメのペースで辿り着いた先でお賽銭を入れて二礼二拍手一礼をする。
終われば次の人の為に場所を空けて絵馬を書いたりおみくじを引いたりと正月らしいことをして過ごした。
お互いに何を願ったのかは聞かない。人に言ったら効力がなくなるって言うしな。
ただ俺はこの3人でずっと幸せに暮らせるように願った。
「お。甘酒配ってる」
「汁粉もあるから尊にはそれを貰おう」
寒風に甘酒が染み渡る。
「うめぇ……」
「はは、顔が緩み切っているね」
カップを離して吐息を吐き出すと、横から響也の手が伸びて俺の頬を撫でて来た。
「そういう響也だって」
緩んでるだろ。と続けようとして、止まった。
凄く幸せそうに微笑み俺を見る響也がいたから。
俺にだけ見せるその顔に、胸がギュウッとしてドキドキしてくる。
大勢の人がいるってのにハグして唇を合わせたくなる。
流石にいかんと思って甘酒を一気に仰いでカップをごみ袋に捨てた。
「酒が入ると熱くなるな」
赤い顔を仰いで誤魔化す。
響也はクスリと笑って同じく仰いでカップを捨てた。
「そうだね」
それだけ言うと赤い顔を隠しもせず響也の家に帰った。
視線が合うとも合わないともとれる微妙な中、無言で帰った玄関先で尊が唐突に言った。
「僕友達に呼ばれてるから行ってくる。帰りは夕方になるよ」
と。
颯爽と立ち去った尊の背を茫然と見送った後、どちらともなく視線が合った。
甘酒なんてたいした酒じゃないのに体が熱い。
「中に入ろう」
響也に促されて入った室内。上着を脱いでラフな格好になると目線は響也の目に、唇に、鎖骨にと行ってしまう。
クリスマスから一度も体は重ねていない。
でも俺はもう響也の熱を知ってしまっている。
それはどうやら響也も同じだったらしく、シンと静まり返った室内で俺達は唇を合わせた。
次第に深くなる口付けに体の熱は増していく。
そう言えば姫はじめなんて言葉もあったな。
なんて思いながら久し振りに俺と響也は互いの熱を確かめ合うのだった。
勿論相変わらず最後まではしていない。
昼間から求め合った俺達は尊が帰る前にシャワーを浴びて部屋の片付けを済ました。
夕飯作らないとだしな。
トントントンと包丁がまな板を叩く音がキッチンに響く。
ピーという音で順調に煮込まれていると確認出来る圧力釜。
その隣で白身魚を焼いている響也。手元からはジューという音が聞こえる。
不意に響也が野菜を切っている俺を見た。
そしてフッと大人の男らしい笑みを浮かべた。
「こうしていると新婚の様だね」
響也が俺と同じことを思っていた。
「俺も今丁度そう思ってた」
やることやった後だからだろうか。お互いの愛を噛み締めた後だからこそ互いのエプロンが輝いて見える。
でも俺が思うのとは違って響也がそう思うってのは少し引っ掛かりを覚える。
でもな……。これはな。言うのは流石にみっともないし、要らぬ傷に触る事にもなるし。
という事で心の奥に沸いたモヤモヤはそのまま飲み込むことにした。
だってまさか初めから愛なんて無かったっぽい元嫁とも新婚時代はあった訳で。てことは同じ事を2人でしたのかななんて言える訳ない。
「はは、こんな気持ちになるのは侑真が初めてだから同じで嬉しいよ」
うん。やっぱ何でもいいや。
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