36 / 36
恋人編
21.温泉旅行
しおりを挟む
冬。寒いと欲するものがある。
暖かい炬燵。
暖かい鍋。
そして熱い温泉。
「やっぱり良いもんだな」
都心には無い雪景色を見ながらの露天風呂。空気は冷たいけど湯船の中は熱いから気持ちが良い。
「尊にはわかって貰えなかったがね」
隣で肩を合わせる響也が苦笑いで残念そうだ。
「子供はそもそも体温高いし、寒さに強いからな」
実際に駅のホームで素足を出しているのを見ると心配になる。でも良く考えたら俺も実家じゃ雪の中半袖で走り回っていたな。と不思議な気持ちになるんだよな。
冷える肩に温泉を掛けて温める。これもまた気持ちが良い。
隣を見れば響也も力の抜けた穏やかな顔で温泉を満喫している。
「あ……」
ふと視線を下にずらして見つけてしまった。
「うん?どうしたね」
俺の視線に気付いて訝し気に聞いてくる。
俺は言ったものかどうか逡巡して頭を掻いた。
「ごめん。付いてる」
自分の鎖骨を指でトントンと叩き、響也の耳に顔を近付けて囁いた。
流石にね。人がいるし、聞かれるのはちょっと。俺が付けた跡だし。
響也は俺の意図した事に気が付いて体を赤らめた。そして首まで体を沈めた。
「君が付けたものだ。謝る必要は無い」
恥ずかしそうに。けれど恨みがましくもある目で見上がる響也。上目遣いになってて直前の光景も相まって、下半身にくる。
濁り湯で良かった。でも暫く出られなそうだ。
微妙に居住まいを変えた俺に、響也も気付いたのか視線を一回俺の見えない下半身に向けてから彷徨わせた。
「今度俺にも付けて」
俺も上体を沈めてそっと言った。
響也が彷徨わせていた目を俺に戻して嬉しそうに笑う。
「それは今夜にでもしたい申し出だ」
「尊がいるから無理だろ」
「わかっている。帰ったら存分に楽しませて貰おう」
クスクスと笑って大人の悪戯をしている気分。
温泉以外での体の熱が落ち着いて、やっと部屋に戻った時には半ば湯あたり気味だった。
「お帰り父さん。侑真パパ」
少し遅くなっても尊は追及しないですんなり迎え入れてくれる。小学生なのに俺より大人だと感じる時がある。
「夕食の準備出来てるよ」
見れば畳に置かれた机は片付けられている。もう時期予定された配膳の時間だ。本当に尊は出来た子だ。
「ありがとう尊」
お礼を言って席で待つ。
夏祭りの時とは違い、三人とも温泉宿の浴衣を着ている。
俺は少し前を緩めに着ているが、響也も尊もきっちり着ている。
と思っていたら響也が近寄って来た。
「しっかり着れないかね?目のやり場に困るのだが」
耳元で呟かれて苦笑した。
「響也でも俺の体見て欲情してくれるんだ」
耳元に呟き返すと憮然とした顔をされた。
「私を何だと思っているのか。好いた相手に昂る気持ちはあるよ」
床に置いた手と、胡坐をかいた足に手を置かれ、又しても耳元で呟かれた。
少し悩まし気な吐息に息を呑む。
「?」
ずっと耳元で応酬していたからか、尊が首を傾げているのを見て気持ちを落ち着かせる。
「あー。お酒、は飲まない方が良いか」
「大人って好きだよね。僕はジュース飲むから侑真パパも好きなの飲みなよ」
「そうか?それじゃお言葉に甘えて」
何とか誤魔化すのに成功すると、俺は響也と何を飲もうか相談しだした。
「群馬の酒飲もうぜ」
「勿論だとも」
お互い酒は嗜む。普段飲まない銘柄にワクワクする。
色気を忘れて夜の盃を楽しむ俺達に、尊が呆れた目で見るまであともう少し。
因みに帰ってから響也に跡を付けて貰ったけど、やったことが無かった響也にレクチャーするのは、とても楽しかったです。
これからもこういう穏やかで幸せな日々が続いていきます様に。
暖かい炬燵。
暖かい鍋。
そして熱い温泉。
「やっぱり良いもんだな」
都心には無い雪景色を見ながらの露天風呂。空気は冷たいけど湯船の中は熱いから気持ちが良い。
「尊にはわかって貰えなかったがね」
隣で肩を合わせる響也が苦笑いで残念そうだ。
「子供はそもそも体温高いし、寒さに強いからな」
実際に駅のホームで素足を出しているのを見ると心配になる。でも良く考えたら俺も実家じゃ雪の中半袖で走り回っていたな。と不思議な気持ちになるんだよな。
冷える肩に温泉を掛けて温める。これもまた気持ちが良い。
隣を見れば響也も力の抜けた穏やかな顔で温泉を満喫している。
「あ……」
ふと視線を下にずらして見つけてしまった。
「うん?どうしたね」
俺の視線に気付いて訝し気に聞いてくる。
俺は言ったものかどうか逡巡して頭を掻いた。
「ごめん。付いてる」
自分の鎖骨を指でトントンと叩き、響也の耳に顔を近付けて囁いた。
流石にね。人がいるし、聞かれるのはちょっと。俺が付けた跡だし。
響也は俺の意図した事に気が付いて体を赤らめた。そして首まで体を沈めた。
「君が付けたものだ。謝る必要は無い」
恥ずかしそうに。けれど恨みがましくもある目で見上がる響也。上目遣いになってて直前の光景も相まって、下半身にくる。
濁り湯で良かった。でも暫く出られなそうだ。
微妙に居住まいを変えた俺に、響也も気付いたのか視線を一回俺の見えない下半身に向けてから彷徨わせた。
「今度俺にも付けて」
俺も上体を沈めてそっと言った。
響也が彷徨わせていた目を俺に戻して嬉しそうに笑う。
「それは今夜にでもしたい申し出だ」
「尊がいるから無理だろ」
「わかっている。帰ったら存分に楽しませて貰おう」
クスクスと笑って大人の悪戯をしている気分。
温泉以外での体の熱が落ち着いて、やっと部屋に戻った時には半ば湯あたり気味だった。
「お帰り父さん。侑真パパ」
少し遅くなっても尊は追及しないですんなり迎え入れてくれる。小学生なのに俺より大人だと感じる時がある。
「夕食の準備出来てるよ」
見れば畳に置かれた机は片付けられている。もう時期予定された配膳の時間だ。本当に尊は出来た子だ。
「ありがとう尊」
お礼を言って席で待つ。
夏祭りの時とは違い、三人とも温泉宿の浴衣を着ている。
俺は少し前を緩めに着ているが、響也も尊もきっちり着ている。
と思っていたら響也が近寄って来た。
「しっかり着れないかね?目のやり場に困るのだが」
耳元で呟かれて苦笑した。
「響也でも俺の体見て欲情してくれるんだ」
耳元に呟き返すと憮然とした顔をされた。
「私を何だと思っているのか。好いた相手に昂る気持ちはあるよ」
床に置いた手と、胡坐をかいた足に手を置かれ、又しても耳元で呟かれた。
少し悩まし気な吐息に息を呑む。
「?」
ずっと耳元で応酬していたからか、尊が首を傾げているのを見て気持ちを落ち着かせる。
「あー。お酒、は飲まない方が良いか」
「大人って好きだよね。僕はジュース飲むから侑真パパも好きなの飲みなよ」
「そうか?それじゃお言葉に甘えて」
何とか誤魔化すのに成功すると、俺は響也と何を飲もうか相談しだした。
「群馬の酒飲もうぜ」
「勿論だとも」
お互い酒は嗜む。普段飲まない銘柄にワクワクする。
色気を忘れて夜の盃を楽しむ俺達に、尊が呆れた目で見るまであともう少し。
因みに帰ってから響也に跡を付けて貰ったけど、やったことが無かった響也にレクチャーするのは、とても楽しかったです。
これからもこういう穏やかで幸せな日々が続いていきます様に。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる