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テンがお持ち帰りされてから出てこない。
「大丈夫かな……」
流石に心配になってくる。
気になってチラチラと建物を伺い見てると、魔王が俺の前に影を作った。
「虫は虫かごに居てこそ害は無い。ヴェイズの転生勇者に対する執着は凄まじいと聞いている。悪い様にはしないだろう」
そっと背中に手を添えられて向きを変えられた。
魔王の顔を仰ぎ見れば何時もの優しい笑みがそこにあり、俺も何だかホッとしてくる。
ホッとしたところで重なる口。作業中は軽いキスしかしないけど、それでもドキドキする。
うん。魔王が言うんだから大丈夫だな。
「それより今日はワイン造りの準備をするのだろう」
「そうだった。まずは樽を作らないとな」
道具を準備し終えたら葡萄ちゃんの収穫に合わせて酵母作りして、それから……。
俺がニコニコとワイン造りに思いを馳せている間、魔王は隣で暖かい笑みで見守ってくれていた。
ワイン造りの事前準備を終えて、お風呂に入る頃にはすっかりテンの事は忘れていた。白く大きくなった建物から物音がしなくなった所為もある。
つまり今この瞬間。空には星が瞬き、月の光が優しく野菜ちゃん達を照らし出している。その静謐なる空間に、俺と魔王の二人きり。
新しい事を始めると、自然と気分は高まり高揚してくる。
ふと見上げれば俺を膝に乗せてご満悦の魔王が、濡れて滴り艶やかな魔王の顔が、俺と視線が合った事で柔和に笑みを深めた。
ああ。好きだな。
ドキンと高鳴る想いのままに、上半身を捻ってその口に吸い付いた。
「ん、は、まおー……んちゅ……」
毎日絆されてる俺は、もうすっかり魔王とするキスが幸せなものだと認識している。
軽く吸い付くだけのつもりだったのに、軽く目を見張った魔王が深く返してきて、そのまま互いに貪り合うものになっていった。
「ユタからされると止まらなくなるぞ?」
「っふ。今更?」
ニヤリと笑う魔王に、俺もクスクス笑ってもう一度口を塞いだ。
ただでさえ入浴中で温まっているのに、昂る体は更に上昇し、頭をおかしくさせる。
「あっ」
硬く立ち上がる俺のモノに触れられて、パチャリとお湯を跳ねさせ感じるままに魔王の首筋に擦り寄った。
「ん、魔王のも、一緒に……」
何時もされてばかりで、たまには一緒に高め合いたい。
そう思って全身を迎え合わせて魔王の膝に座り直した。
互いに纏うものは無く、隔たるものはお風呂のお湯だけ。それも密着させてしまえば無くなった。
「っふ。今日は積極的だな」
重ねたお互いの昂りを両手で囲んで擦り合わせると、魔王が俄かに口角を上げて笑った。そして気持ちよさそうに息を吐く。え。格好いい。
その一挙手一投足が男らしくて格好よくて、この魔王は何度俺の心を鷲掴めば気が済むんだろう。
「しかしそれでは手が塞がってしまうぞ?」
上から魔王の大きな手が重なる。
「だって、あ、はぁあ、まおーの大きすぎ、ん」
魔王の片手で纏めて手ごと扱かれて、図らずもあの日の温泉での出来事を思い出して顔が熱くなった。
そう、なんだよな。あの時は嫌だって思ってたけど、気持ちも良くて。
なんでって思ったりもしたけど、今ならわかる気がする。
俺は魔王の心が欲しかったんだ。
だから。ただの処理係みたいに見られるのが嫌だったから。
「魔王……好きだ……」
でも今はこうして二人、愛を囁き合える。
重なり合う手が熱く、愛おしい。
今度は魔王に導かれるだけじゃなく、俺からも動かす。魔王に気持ち良くなって欲しいから。
魔王のは大き過ぎて、魔王みたいに片手でスマートに、なんて出来ないけど。
「うっ。我も、ユタを愛している」
ふと零した囁きにも、愛を返してくれる魔王が好きだ。
しかも今、ちょっと気持ちよさそうに呻いたね。俺の手で気持ち良くなってくれるの、嬉しい。
「は、はは、あ。あ、う、んんっ」
この瞬間が愛おしくて笑いが込み上げてくる。でもそれも魔王の手で快楽に押し流されて、喘ぎ声に変わっていった。
「大丈夫かな……」
流石に心配になってくる。
気になってチラチラと建物を伺い見てると、魔王が俺の前に影を作った。
「虫は虫かごに居てこそ害は無い。ヴェイズの転生勇者に対する執着は凄まじいと聞いている。悪い様にはしないだろう」
そっと背中に手を添えられて向きを変えられた。
魔王の顔を仰ぎ見れば何時もの優しい笑みがそこにあり、俺も何だかホッとしてくる。
ホッとしたところで重なる口。作業中は軽いキスしかしないけど、それでもドキドキする。
うん。魔王が言うんだから大丈夫だな。
「それより今日はワイン造りの準備をするのだろう」
「そうだった。まずは樽を作らないとな」
道具を準備し終えたら葡萄ちゃんの収穫に合わせて酵母作りして、それから……。
俺がニコニコとワイン造りに思いを馳せている間、魔王は隣で暖かい笑みで見守ってくれていた。
ワイン造りの事前準備を終えて、お風呂に入る頃にはすっかりテンの事は忘れていた。白く大きくなった建物から物音がしなくなった所為もある。
つまり今この瞬間。空には星が瞬き、月の光が優しく野菜ちゃん達を照らし出している。その静謐なる空間に、俺と魔王の二人きり。
新しい事を始めると、自然と気分は高まり高揚してくる。
ふと見上げれば俺を膝に乗せてご満悦の魔王が、濡れて滴り艶やかな魔王の顔が、俺と視線が合った事で柔和に笑みを深めた。
ああ。好きだな。
ドキンと高鳴る想いのままに、上半身を捻ってその口に吸い付いた。
「ん、は、まおー……んちゅ……」
毎日絆されてる俺は、もうすっかり魔王とするキスが幸せなものだと認識している。
軽く吸い付くだけのつもりだったのに、軽く目を見張った魔王が深く返してきて、そのまま互いに貪り合うものになっていった。
「ユタからされると止まらなくなるぞ?」
「っふ。今更?」
ニヤリと笑う魔王に、俺もクスクス笑ってもう一度口を塞いだ。
ただでさえ入浴中で温まっているのに、昂る体は更に上昇し、頭をおかしくさせる。
「あっ」
硬く立ち上がる俺のモノに触れられて、パチャリとお湯を跳ねさせ感じるままに魔王の首筋に擦り寄った。
「ん、魔王のも、一緒に……」
何時もされてばかりで、たまには一緒に高め合いたい。
そう思って全身を迎え合わせて魔王の膝に座り直した。
互いに纏うものは無く、隔たるものはお風呂のお湯だけ。それも密着させてしまえば無くなった。
「っふ。今日は積極的だな」
重ねたお互いの昂りを両手で囲んで擦り合わせると、魔王が俄かに口角を上げて笑った。そして気持ちよさそうに息を吐く。え。格好いい。
その一挙手一投足が男らしくて格好よくて、この魔王は何度俺の心を鷲掴めば気が済むんだろう。
「しかしそれでは手が塞がってしまうぞ?」
上から魔王の大きな手が重なる。
「だって、あ、はぁあ、まおーの大きすぎ、ん」
魔王の片手で纏めて手ごと扱かれて、図らずもあの日の温泉での出来事を思い出して顔が熱くなった。
そう、なんだよな。あの時は嫌だって思ってたけど、気持ちも良くて。
なんでって思ったりもしたけど、今ならわかる気がする。
俺は魔王の心が欲しかったんだ。
だから。ただの処理係みたいに見られるのが嫌だったから。
「魔王……好きだ……」
でも今はこうして二人、愛を囁き合える。
重なり合う手が熱く、愛おしい。
今度は魔王に導かれるだけじゃなく、俺からも動かす。魔王に気持ち良くなって欲しいから。
魔王のは大き過ぎて、魔王みたいに片手でスマートに、なんて出来ないけど。
「うっ。我も、ユタを愛している」
ふと零した囁きにも、愛を返してくれる魔王が好きだ。
しかも今、ちょっと気持ちよさそうに呻いたね。俺の手で気持ち良くなってくれるの、嬉しい。
「は、はは、あ。あ、う、んんっ」
この瞬間が愛おしくて笑いが込み上げてくる。でもそれも魔王の手で快楽に押し流されて、喘ぎ声に変わっていった。
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