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本編
17歳-2
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好きを自覚した明くる日の今日。
俺は記憶のある限り初めての恋に悶えていた。
「兄様大丈夫ですか?」
「大丈夫くない……。なあフレディ、好きって何したら良いんだろうな……?」
今日は誕生会後の後始末が残っているから俺もフレデリックも学園は休んだ。
「う~ん、兄様達の場合既に一通りの事してますから今まで通りで良いのでは?」
!?なん、だと……?確かに!
そうじゃんすっかり感覚マヒしてたけど、普通キスもセックスも両想いになるか結婚してからするもんじゃん!あ、でも後ろは使ってないからセーフか……?
「強いて言うならデイヴィ兄様には沢山『好き』を言ってあげてください」
百面相をする俺を優しくニコニコ見守ってくれるフレデリックは今日も可愛い。成長期を迎えて背がぐんと伸びてても可愛い。
「フレディは婚約者のキャロル嬢に言ってんのか?」
「人並には伝えていると思います。彼女も言ってくれてますし」
俺が男になる前にオルティス家の後継者に決まっていたフレデリックは、俺が男同士で婚約(仮)した事でそのまま後継者のままだ。よって跡継ぎを設ける必要があるので辺境伯令嬢のキャロルと婚約している。
俺の所為で政略結婚になって申し訳なく思っていたけど、良かった。ちゃんと幸せそうだ。
尤も可愛い可愛い最愛の弟に変な虫は付ける気ないからな。全力で相性が良くて家柄が良くてまだ婚約が決まってないご令嬢を探しましたとも!
結構大変だったけど苦労が報われてお兄ちゃん幸せです。
「じゃなかった。いやフレディが幸せなのが分かったのは僥倖だけど」
ニヨニヨした顔を戻して話を戻す。
「うん。それで兄様は『好き』って言葉にしたの?」
戻したら会心の一撃を食らいました……。
「言ってない……」
気付いてしまった衝撃の事実に俺はorzな格好で項垂れた。
え……?でも言ったようなもんだよな?否定しなかったもんな?
不安になって視線を彷徨わせばフレデリックが優しく頭を撫でてくれた。
「フレディ大好き」
「うん。ありがとう僕も兄様が大好きだよ。
同じくらいデイヴィ兄様も大好きだから、言ってあげてね」
「あらあら、ママもアレックスとフレディ大好きよ」
打ちひしがれてたら母さんがやって来た。
そのままフレデリック毎優しく抱擁されて和む。
一頻り大好きを伝え合った所で母さんが本題に入った。
「アレックスが言ってた悪い子達を一斉検挙する為に王家が動き出したようよ」
昨日不穏なオーラを纏わせていた貴族達は纏めて王に奏上した。
いい加減チマチマ反撃すんのも疲れてたからな。
奏上した時の陛下の顔……新しい玩具を見つけた子供の顔だったなー……。
思い出して思わず対象となった貴族たちに心の中で合掌をした。
ま、自業自得じゃ。甘んじて受けるがいい。
しかし魔力を視認出来るのが俺だけとは言え、皆魔力の乱れを隠さないんだもんなー。大物貴族は押さえてた様だけど、それが返って目立つという残念さ……。
毎日魔力を見てると自然体との差が一目瞭然すぎてもう、なんていうかもう。残念過ぎてつい遠目になっちゃう。
「それじゃあ、卒業する頃には大分貴族名鑑が変わってそうだな」
「ふふ。兄様に意地悪する人はみ~んな排除だね」
「ふふふ。とは言っても魔術関連ではまだまだアレックスにお願いするそうよ」
「了解」
母さんとフレデリックはほんわかと人好きのする微笑みで話すのに対し、俺は素直に悪どくニヤリと笑った。
「さて、それじゃあアレックスの花嫁衣裳の作成に掛からなくっちゃ」
「え゛」
パンと可愛らしく両手を叩いて楽しそうに立ち上がる母さん。俺が呆然としてしまうのも無理は無かろう。
「いや、あの母様?俺まだ夫になるの諦めてないんだけど……?」
恐る恐る手を伸ばせば、母さんは困った様に手を当てて首を傾げた。
「あら?そうなの?アレックスの花嫁ドレス姿、ママと~っても、楽しみにしてたのよ?」
困った笑顔から断る事が罪になりそうな女神の微笑みで言われれば、力なく乾いた笑いしか出てこなかった。
ウン。イイヤ。大事なのは見た目じゃなくて、行為ダヨネ。
「それに兄様はまず、デイヴィ兄様に『好き』って言わなきゃね」
ハイ。ソレもありましたネ。
すっかり忘れてた俺は明日学園に行ったらまず伝えようと決意した。
そして次の日。
学園に行ったら少し様子が可笑しかった。
俺とあまり関わらない貴族や平民が俺を見るとヒソヒソ内緒話をする。
それだけじゃ無くて、上級貴族子息に至っては擦れ違いざまに、
「貴方の様に貴族の風上にも置けない人は殿下に相応しくないんですよ」
とか呟かれたりもした。
おん?俺ってば何かしたかい?
不思議に思うが何かを確認するより早く、殺気を飛ばすデイヴィッド他2名を宥める方が大変でそれどころでは無かった。
後『好き』って言うタイミングも無かった。
取敢えず落ち着いて話せる様に、俺達は何時ものたまり場に移動した。
俺は記憶のある限り初めての恋に悶えていた。
「兄様大丈夫ですか?」
「大丈夫くない……。なあフレディ、好きって何したら良いんだろうな……?」
今日は誕生会後の後始末が残っているから俺もフレデリックも学園は休んだ。
「う~ん、兄様達の場合既に一通りの事してますから今まで通りで良いのでは?」
!?なん、だと……?確かに!
そうじゃんすっかり感覚マヒしてたけど、普通キスもセックスも両想いになるか結婚してからするもんじゃん!あ、でも後ろは使ってないからセーフか……?
「強いて言うならデイヴィ兄様には沢山『好き』を言ってあげてください」
百面相をする俺を優しくニコニコ見守ってくれるフレデリックは今日も可愛い。成長期を迎えて背がぐんと伸びてても可愛い。
「フレディは婚約者のキャロル嬢に言ってんのか?」
「人並には伝えていると思います。彼女も言ってくれてますし」
俺が男になる前にオルティス家の後継者に決まっていたフレデリックは、俺が男同士で婚約(仮)した事でそのまま後継者のままだ。よって跡継ぎを設ける必要があるので辺境伯令嬢のキャロルと婚約している。
俺の所為で政略結婚になって申し訳なく思っていたけど、良かった。ちゃんと幸せそうだ。
尤も可愛い可愛い最愛の弟に変な虫は付ける気ないからな。全力で相性が良くて家柄が良くてまだ婚約が決まってないご令嬢を探しましたとも!
結構大変だったけど苦労が報われてお兄ちゃん幸せです。
「じゃなかった。いやフレディが幸せなのが分かったのは僥倖だけど」
ニヨニヨした顔を戻して話を戻す。
「うん。それで兄様は『好き』って言葉にしたの?」
戻したら会心の一撃を食らいました……。
「言ってない……」
気付いてしまった衝撃の事実に俺はorzな格好で項垂れた。
え……?でも言ったようなもんだよな?否定しなかったもんな?
不安になって視線を彷徨わせばフレデリックが優しく頭を撫でてくれた。
「フレディ大好き」
「うん。ありがとう僕も兄様が大好きだよ。
同じくらいデイヴィ兄様も大好きだから、言ってあげてね」
「あらあら、ママもアレックスとフレディ大好きよ」
打ちひしがれてたら母さんがやって来た。
そのままフレデリック毎優しく抱擁されて和む。
一頻り大好きを伝え合った所で母さんが本題に入った。
「アレックスが言ってた悪い子達を一斉検挙する為に王家が動き出したようよ」
昨日不穏なオーラを纏わせていた貴族達は纏めて王に奏上した。
いい加減チマチマ反撃すんのも疲れてたからな。
奏上した時の陛下の顔……新しい玩具を見つけた子供の顔だったなー……。
思い出して思わず対象となった貴族たちに心の中で合掌をした。
ま、自業自得じゃ。甘んじて受けるがいい。
しかし魔力を視認出来るのが俺だけとは言え、皆魔力の乱れを隠さないんだもんなー。大物貴族は押さえてた様だけど、それが返って目立つという残念さ……。
毎日魔力を見てると自然体との差が一目瞭然すぎてもう、なんていうかもう。残念過ぎてつい遠目になっちゃう。
「それじゃあ、卒業する頃には大分貴族名鑑が変わってそうだな」
「ふふ。兄様に意地悪する人はみ~んな排除だね」
「ふふふ。とは言っても魔術関連ではまだまだアレックスにお願いするそうよ」
「了解」
母さんとフレデリックはほんわかと人好きのする微笑みで話すのに対し、俺は素直に悪どくニヤリと笑った。
「さて、それじゃあアレックスの花嫁衣裳の作成に掛からなくっちゃ」
「え゛」
パンと可愛らしく両手を叩いて楽しそうに立ち上がる母さん。俺が呆然としてしまうのも無理は無かろう。
「いや、あの母様?俺まだ夫になるの諦めてないんだけど……?」
恐る恐る手を伸ばせば、母さんは困った様に手を当てて首を傾げた。
「あら?そうなの?アレックスの花嫁ドレス姿、ママと~っても、楽しみにしてたのよ?」
困った笑顔から断る事が罪になりそうな女神の微笑みで言われれば、力なく乾いた笑いしか出てこなかった。
ウン。イイヤ。大事なのは見た目じゃなくて、行為ダヨネ。
「それに兄様はまず、デイヴィ兄様に『好き』って言わなきゃね」
ハイ。ソレもありましたネ。
すっかり忘れてた俺は明日学園に行ったらまず伝えようと決意した。
そして次の日。
学園に行ったら少し様子が可笑しかった。
俺とあまり関わらない貴族や平民が俺を見るとヒソヒソ内緒話をする。
それだけじゃ無くて、上級貴族子息に至っては擦れ違いざまに、
「貴方の様に貴族の風上にも置けない人は殿下に相応しくないんですよ」
とか呟かれたりもした。
おん?俺ってば何かしたかい?
不思議に思うが何かを確認するより早く、殺気を飛ばすデイヴィッド他2名を宥める方が大変でそれどころでは無かった。
後『好き』って言うタイミングも無かった。
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