男に生まれたからには攻めていく!

無月

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本編

10歳-9

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 「よっと。とととっ、うしっ」

 何時ものメンバーに殿下一行(大人の護衛含む)が加わり数日が過ぎた。
 身分的に受け入れてくれるか心配だったレクとケイリーも、拍子抜けする位すんなりと受け入れられた。
 今日はそんな人数過多なメンバーでギルドの依頼をこなしてる。
 本当は殿下一行は置いて行きたかったんだけどな~。

 「まさかゲストを置いて自分達だけ楽しまないよね?」

 な~んて10歳の子に目の奥暗くして微笑まれるとね。こう、何かイケナイ事してる気分で胸に刺さるんだよな。
 今回はギルドからの要請とはいえ危険性は少ないし、人手が欲しかったらしいギルド長が受け入れた。なんでも、

 「よっしゃ!王族って事は国家事業としてボランティア扱いで良いよな!?なっ!?」

 という事らしい。
 良いのかそれで。
 てな訳で人海戦術でやって来たのは門の外側。
 門の外は突如大量発生したケサランパサランを保護するのが目的だ。
 ケサランパサランは幸せを呼ぶ妖精とか精霊とか言われていて、無闇矢鱈に退治は出来ない。だから捕獲保護して安全な場所に還す。
 けどこれが中々難しい。何せフワフワしてて掴み所がなく、少しの風圧でも簡単に空に舞い上がる。
 お陰で冒頭の情け無い掛け声が漏れてしまった訳だ。手を近付けただけで擦り抜けて、慌ててゆっくり両手に包み込む様に近付け何とか一匹捕まえる事が出来た次第です。はい。

 「うっわ~。中堅どころの冒険者達が面白い様に踊ってるわ~」
 「返って初心者の方が上手く捕まえてるみたいね」
 「こんなの魔法か魔術で集めたら早いのに」

 一匹捕まえホッと一息付いた俺が辺りを見回せば、沢山の冒険者達が悪戦苦闘していた。
 同じく一匹捕まえたケイリーが籠に入れて初心者冒険者達を指差した。
 レクは魔術禁止令が出てボヤいてる。ケサランパサランは魔力と相性が悪いらしく、聖魔法以外の力に触れると消滅しちゃうらしい。

 「ふふ、その儚さが神聖視される所以でも有るのだけどね」
 「そうだぜ。それにレベル高ぇ奴はしっかり捕らえてるしな」
 「凄いですね。あんなにガッシリとした肉体言語系の方なのに、ああほら」

 同じ様に一匹づつ捕らえた殿下とヴァン。それに何気に三匹捕まえてたジェームスが俺達の会話に加わった。
 俺はジェームスが指した方を見て思わず目を見張る。
 だってさ。ボディビルダーみたいな人が超繊細な動きで次々にケサランパサラン捕らえていってんだぜ?ギャップの凄さがマジヤヴァイ。

 「魔力の流れ方が緩やかだね。あの人の周りは殆ど空気が乱れていない」
 「へぇ、成る程?」

 殿下のボディビルダーさん分析に、俺も改めて良く観察してみた。
 そしたら何か体捌き的な動きっての?どうしたら良いのか何となく見えて、俺に置き換えたらどうしたら良いのかシュミレートしてみた。

 「……こう、か?」

 早速ボディビルダーさんの動きを俺流にアレンジしてみる。そしたらさっき迄起きてた風圧が起きなかった。

 「ん。こんなか」

 もう一度確かめる様に動いて納得する。
 って、何か周りが静かだな?
 俺が動いてから会話が途絶えた事に気付いてふと振り向くと、殿下とジェームスが目を見開いて驚いてた。何でだ。

 「ヴァ……じゃない。エヴァン様は驚かないのね」
 「俺は何度もやり合ってるからな。今更こんな事じゃ驚かねぇよ」
 「良かった。アレックスの異常さを知る人が一人増えたね」

 そしてケイリーとヴァンとレクは悟りを開いた顔で頷く。だから何でやねん。
 ケイリーも俺が何時もヴァンって呼んでるから移りそうになったのか?誤魔化し切れてないけどヴァンはそんな事じゃ怒らんから安心したまえよ。現に俺をチラリと面白そうに見たしな。

 「アイツ何時も俺との打ち合い中、他の騎士達の動き真似て自分流に変えてその場で実践しやがるんだよ」
 「そう!そうなのよ!何気に一回見本見せたら大体自己流に変えてモノにしちゃうんだもん。やんなっちゃうっ」
 「魔術も大技は流石に模倣出来ないみたいだけど、簡単な結界とか強化とかは大分自分流にアレンジしてるよね」

 だから、そのヤレヤレって顔で共感されても。

 「だって。そのままやるより楽しいじゃん」

 府に落ちないから口を尖らせ抗議しとく。
 三人とも目が楽しそうだから絶対俺で遊んでたろ。

 「凄いね。話には聞いていたけど……。これはエヴァンが薦める訳だ」
 「これだけの逸材を育て上げだオルティス卿も矢張り素晴らしいですね」
 「素直な感嘆はそれはそれでこしょい」

 殿下とジェームスに称賛されて、嬉しくもあり恥ずかしくもあり。
 ただなぁ、アレって特化型のレクやケイリーに対抗する為に始めただけだから、割と理由が情けないっていうか。でも本当に情けないから胸に秘めておこう。

 「ふふ。やっぱり君が良いかな」

 複雑な気持ちを内心で整理してたら殿下がウッソリと笑んで呟いた。
 それに何やら背中にゾクゾク感じて、イヤンな予感を感じつつも聞き返さずにはいられなかった。

 「……何の話でせう」
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