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公主の求めた者

13 幼き公主 7

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「殿下ーー!!シャイリー殿下ーーー!」

 何故かショアリーも一緒に泣き出した所で、少し離れた所から誰かを呼んでいる別の少女の声がする。

「ここ!ここよーーーー!!!」

「!?」

 今までベソべそと泣いていたショアリーはすくっと立ち上がってびっくりするほどの大きな声で叫び出す。

「殿下!?いらした!!」

 生垣から出てきたのは、トライトスと同じくらいの少女だ。この少女はドレスというよりは侍女服らしき服装で、きっとショアリーのお付きなのだろう。

「シャイリー…?」

 侍女の声で目の前のショアリーがシャイリーだとわかる。

「うん、ちょう!」

 びしょびしょのシャイリーは大きく元気よく肯く。

「ああ!殿下!!こんなに濡れて!何処にいらしたんですか?今日はお客様がいらしているから離れの方には来ては行けませんと言われていましたでしょ?」

「おちゃんぽよ?」

「いつものですね?でも、今日は……きゃあ!!??」

 シャイリーの事を心配してどこか怪我でもしてやしないかとあちこち確認していた侍女が、やっと足元に蹲るトライトスに目が止まった。

「ど、どちら様です……?」

 城に居るのだから、王家もしくは城に関係する者なのは確かだろうに、ついついそんな質問が出てくるくらいにはこの侍女は驚いたらしい。

「おにいちゃま!あちいの。おねちゅ!」

「え?暑い?熱があるのですか?」

 良く見ると蹲る少年は汗びっしょりだ。

「あぁ!!この方は!!」

 真っ暗な髪に瞳はあまりにも有名な特徴で……

「シャ、シャイリー殿下!この方は、まさかバルビス公国のお客様では?」

「ば、ばるびちゅ?」

「そう、そうです!大切なお客様ですよ!何故、こんな所に?」

 最大限の疑問であろう。滝の様な大汗をかいて、そしてシャイリー王女までびっしょりなのだ。

「…暑さで、動けない……」

 ぐったりしながらトライトスは自分の状況を話した。この侍女ならば誰かを呼びに行ってくれるだろうから。

「ちょう!だから、おみじゅ!」

「お水…?」

「おいけの!」 

「あ!泉のですね?あそこは冷たいので入ってはダメだと…!」

「ちゅめたいのがいいの!」

 怒られているシャイリーはそれでも負けてない。この庭園の近くには大きな泉がある。と言っても人工的に作った浅いものだが、バルビス公国側のナルガ山脈から流れ出ている雪解け水を地下から引いてきているのでとても冷たい水が常に循環している。











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