[本編完結]死を選ぶ程運命から逃げた先に

小葉石

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「そうなんです!宝利先輩をみかけて、一緒に遊びに行きたいなって!」

 女子の目はどうなってるだろう?ただの遊びのお誘いなのにすっごいキラキラしてる。

「あ~~~一緒に遊びたいの?」

「え?あ、は、はい!?」

 話に入ってくる蒼梧に麻耶はドギマギしながらも答えてる。

「わっる~~い!俺らこれから友達ん家行って課題やんなきゃなんだわ。ごめんね?」

「え、あ、そうなんですか?お友達達と一緒にどこかに寄っていかれるのかと思ってました。」

「ははは、俺が遊び人だもんね?でも楓も山手君も意外と真面目よ?そこんとこ、よろしく~~」

「あ、山手先輩、ですか?」

「そう、図書室で会ったよね?」

「はい…会いました。あ………先輩達課題するんですよね?じゃあ、私はこれで!宝利先輩、次は絶対に遊んでくださいね?」

 それだけ言い残して麻耶は足速に帰っていった。

「ん~~?どしたんだ?」

「さ…ぁ?」

 嵐の様な女子だった。

「さ…僕たちも行く?食べ物買うならどっか寄らなきゃいけないしね?」

 呆気に取られてる俺らを山手が促して山手家まで案内してくれた。

 バスに乗って移動して閑静な住宅街の和風の一軒屋が山手家だ。庭もあるし、若者の一人暮らしと言うよりも、もっとずっと落ち着いた雰囲気。

「どうぞ。」

 山手は鍵を開けて家の中に招いてくれる。

「へぇ。綺麗なもんだな…」

 男の一人暮らし。それもまだ高校生だ。きっとごちゃごちゃと色んなものが散乱しているかと想像もしていたのだが、全くの逆。
 きちんと整理整頓されている家屋内は非常にすっきりとしていて、余計な物は無い雰囲気で、綺麗好きの住人が住んでいると言ったら納得もいくけど…

「山手君て綺麗好き?」

 蒼梧も若干驚いている。

「あ、違うよ?親戚の人とか時々見に来てくれるんだ。掃除は僕もやるけど、庭の手入れとかはやってくれてるから。」

「だよな。一人だと家の掃除も大変だろ?」

 何しろ、寂しいだろうに……双子の宝利家などは共働きと言えども両親はいるし、双子の妹ともわちゃわちゃうるさく過ごしてきた。蒼梧の家もそうだ。一人っ子だけど、家には両親の他に神社で働いている人なんかが常にいるから。大きな家にたった一人っていうのはどっちも経験したことないだろう。

「ふふ。宝利君って優しいよね?両親はいないけどもう慣れたし、学校だって楽しいし、しんみりする様な事はあんまりないよ?」

「そう、か?本当に?」

「うん。大丈夫。」

「大人だな~山手君。な、楓?」

「ほんと…」

「でもこうやって、友達呼べるのは嬉しいな。」
 
 いつも控えめでおとなしい山手がはにかんで笑ってる。みんなでワイワイわちゃわちゃするのは苦手そうな山手だが、やっぱり友達といるのは嬉しいものなんだ。

「なぁ、また遊びに来てもいい?」

 つい、そんな事を聞いてしまう。

「え……いいよ?勿論!」


 山手の満面の笑みって、初めて見たかも。めっちゃ柔らかく、嬉しそうに笑っているのを見たらこっちも嬉しくなってくる。


(少しだけでも、誰かさんに似ているなんて思ってごめんよ……)


「友達っていいね~」

(蒼梧は友情第一じゃないからな…彼女の所にすぐ行っちゃうしね。ちょっとからかい気味。)



 和室に通され、座卓に資料を広げてレポート開始。どの部屋も、全て見たわけではないが落ち着くことこの上ない調度品が置いてあったりで、親戚の家に遊びにきたみたいな感覚になる。

「ここ、資料もう少しあるかなぁ?」

 今調べ上げているのは祭事に使う伝承品だ。

「ん~~神社うちになら何かしらあるんじゃね?」

 蒼梧はこれらの事を良く知っている。神社には妖刀紫も祀られているし。けど、外部には漏らさない。だから知っていてもおいそれとは話さないんだ。それが長年のしきたりと言うものらしい。

「へえ?それって、学生でも見れるものかな?」
 
「さぁな~親父に聞けば紹介してくれるやつもあるかもしれないけど?」

「それは頼もしいね?今度ご挨拶に行こうかな?」

「お、皆んなで行く?」

「は?何でお前が実家に挨拶に行くのさ?」


(…けど、面白いかもしれない。)


「そういえば、桐矢君家が神社だもんね?」

「ま、そうですね。神社のボンボンです~」

「はは…ボンボンって言う感じはしないよね?」

「蒼梧はお坊ちゃまっていうよりかは自分の欲望に従順な人だよな?」

「あん?何か言ったかな?童貞君?」

「おま!!蒼梧!」

 
(こんな所でバラすなよ!ほら、山手がポカンとしてる!)


「へぇ?宝利君ってまだなの?」

「え?待って?…山手君は、もうお済みで……?」

「え…と……それなりに…?」

「…………!?」

「ヒュゥ!」


(やってられない…なんだよ、それ……蒼梧なんか口笛吹いてるしさ…)


 めちゃくちゃ奥手そうな山手がちょっと顔を赤らめて俯きながらそんなことを言う。ちょっとだけ、そんな姿が同性でも色っぽく見えるのは経験者のオーラがなせる技なのか……?



















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