[本編完結]死を選ぶ程運命から逃げた先に

小葉石

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「な、山手君さ…いつもとなんか態度違くない?」

「そう?はい、一緒に食べよう?」

 忘れてくれ要望もあっさりと断固拒否された身としても腹は減るわけで、山手が用意してくれた朝食をゆっくりと頂くことにする。

 全身の筋肉痛と、下半身のかなりの違和感………座り直すにも動きがギクシャクしてしまう。

「ほら、掴まっていいから…」


 そんな俺を甲斐甲斐しくサポートしてくれている山手の変化にもやっぱり違和感。何というか、おどおどというか遠慮がちな態度無くなってね?然も当然の様に隣にいる。
 昨日の事はできるならば思い出したくも無い。けど綺麗さっぱり消すのは無理にしてもなるべく距離は取りたいのに、山手はこれからこんな距離感で行くつもりなのか?


「いやじゃ無かっただろ?」


 ブッと危うく味噌汁吹き出しそうになった…山手、食事中にする話題じゃ無いと思う………


「君が嫌がる事はしてないはずだ。」

「…………………」


 何度か止める様に言ったつもりだったんだが、それは全て無かったことになってんの……?

 いや………山手の、言ってる事はほぼほぼ、正しい……かも…

 覚えてるものは全て気持ちがよかったことだけで、それに引き摺られるように色々と口走っていた自分に、山手はちゃんと答えてた……
 思い出しては真っ赤になって、黙々と食事を続ける。
 何か言って欲しそうにしてるのはわかるんだけど、何を言えっていうんだ…!?最高だったとか?素敵な夜だったとか?こちとら、全部がほぼ初めてなんだぞ!?


「楓矢…本当に好きだよ?愛してる…長い間ずっと今まで待ったんだ。だから、君も覚悟を決めてほしい。」

「んん~~~~!」


 食事時に、真剣にそんな事を言われたら叫びそうになる。いや、食べ物が口に入ってなかったら本当にわぁぁぁーっと叫んで山手の口を塞ぎに行ってるさ……頼む、山手、こちとら恋愛初心者…………









「いやじゃ……無かった、事は認める……」


 朝食から何故だか山手家の風呂に入ったり寝直したりと随分時間が経ってから、おれも男だ、と腹に力を入れて山手にそう答えた。


「あぁ…楓矢…!」


 それだけで山手は最高に笑顔になる。


「ちょ、あの、行為、が嫌じゃ無かったってだけで!覚悟云々はできてないぞ!?」


 覚悟ってあれだろ?山手を受け入れて山手の、恋人かパートナー的な位置で行こうってことだろう?まだ高校だぞ?将来的なものまで決められないだろ?親になんて言うの?


「あぁ!?」

「楓矢?」


 そこまで考えてやっと現実に頭が戻ってきた。そうだよ、親!家に連絡入れてねぇ…!


「やっば!みそえに殺される!」

「みそえちゃん?」

 
「妹はあれだからな、つんつんしてる時もあるけど、基本物凄い家族思いで心配性。無断外泊なんてしたら殺される!」

「あぁ、それなら大丈夫。楓矢の家には連絡が入ってるよ。」

「は?山手君俺ん家の番号知ってた?」

「ん?ん~まあね?」

「何?その曖昧な感じ…?」

「ほら、泊まる経緯は話せないだろ?だからね色々と事情を知っていそうなところから連絡入れてる。」
 
「待て待て待て、事情を知ってそうって何なん……?」


 恐ろしい、今この状況を把握しているところがあると?


「どんな事にでも協力者はいるもんなんだよ、楓矢。」

「どこだ……?どこが知ってる?」

「え?気になる?」

「当たり前だろ!山手君!協力者かどうだか知らないけど、俺らの事バレてる…の?」

「詳しくは無いが、もらう物は貰ったと…」

「は?」


 貰うもの?それって俺の事?


「ちょ、誰に……?」

「ん?桐矢神社の神主に。」

「蒼梧の親父~~~~!!??」





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