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「楓矢、何飲む?」
やっと週末。大人しく過ごしていた俺らにとってはやっと迎える二人だけの時間が出来たわけで、映画鑑賞会と称して今日は合法的に刀貴の家に泊まりにきてる。
「刀貴、さぁ…」
落ち着く山手家の畳に座って座卓に突っ伏してる俺の為に、刀貴は飲み物を入れに台所に立つ。
「うん?夜は鍋でいいか?楓矢、辛いのいけるだろ?」
「ん、いける…」
辛口の鍋か…旨そう…じゃなくて、ちょっと曇天の俺とは正反対に刀貴はウキウキと準備に取り掛かってる。泊まらせてもらう手前手伝いするのは当たり前の立場なんだが、なんだかもやもやとしててテンションが上がらない。
「楓矢、腹が減ったか?先に甘い物でも?」
鍋の準備をしながらココアまで淹れてくれるとは刀貴は甲斐甲斐しいし、こんなちょっとの気遣いも物凄く嬉しくなるもんだと、恋人を持った事を実感中…
「あ、悪い…直ぐ手伝うし…」
「座ってろ。」
「悪いし…」
「いいから、この頃元気がなかっただろう?今日はゆっくりすると良い。」
折角のお泊まりチャンス。ゆっくりするだけではきっと無いと思っているのは俺だけか?なんだか刀貴は大人の余裕みたいなのを見せつけてくるけど、こっちにはそんなに余裕はない…
「楓矢…?」
優しく呼ばれて振り向けば、刀貴が頭を優しく撫でてくる。
「どうした?」
そのまま引き寄せられて腕の中…
(あったかい…刀貴の匂いする。懐かしいんだよなぁ…)
ゆうらの時の記憶は朧げで、細かいところまで覚えてるわけないのに、抱き締められて包まれた時の香りは知っている気がするから不思議だ。
それで持って、安心すると言うか……
「楓矢?」
抱きしめたまま、何度も優しく頭を撫でてくる刀貴。くすぐったくて時々身体を捩りたくなることがあるけど、刀貴はこれが好きみたいだから、やりたい時には好きにさせとく…
で、このままグダグダしてるわけにもいかねぇな……
「お前が、女子に囲まれてんの見るの、ちょっとしんどい……」
顔を伏せて目を瞑ったまま情けない事を口にする。猫ちゃんでした騒動から、薄幸の苦学生それもイケメンっていうレッテルを貼られた刀貴。事ある毎に女子に声をかけられたり、何か貰ったり構われてる。
学校ではほとんど一緒に行動する様になったから一々目に入ってくるんだよな…その度毎に刀貴は当たり障りない様に上手く対処してて、家に行って食事を作ってあげるだとか掃除してあげるだとか言う女子をあしらってるんだけど…
それがなぁ…なんとも、もやもやする。
「楓矢…まさか焼き餅か?」
焼き餅と言ったら、情けないけど焼き餅だ…一応恋人同士なわけで付き合ってるわけで、そんな相手が自分以外の相手と目の前でベタベタされたり家に行っても良いかなんてアプローチ掛けられてたりしたら、嫌だろ?
俺だってそう言う相手が何故か出てきてびっくりしてるくらいだけど、好きな奴がいるって言って断り続けたらこっちに来る女子は明らかに減った。
「何?ニヤニヤしてんの?」
こっちの心境に反して刀貴は非常に機嫌良さげなんだよな、こいつ………
「焼き餅を焼いてもらえるなんてな……夢の中の話かと思っていた…」
「え?付き合ってる奴が他の奴と仲良くしてたら焼き餅くらい焼くだろ?」
「うん…そうだ。焼いても良いんだな?ここに楓矢はいるし、俺もいる。諦める事なんて無いからな…うん、そうか…」
「まだ、他に諦めようとしてることあったの?」
ゆうらを切って、手放して、諦めてきた過去が長かったせいか、刀貴の感覚少し麻痺してねぇ?
「お前と、夫婦になる事。死ぬまで俺が守るから、裕福で無くても慎ましくて良いから顔を見たら笑い合える様な家族になる事…それから、お前が望む事を叶える事。お前が笑っていられる様に…」
も、ぅ…!真顔でこんな事を言うか!?こちとら男らしくもなく焼き餅焼いてウジウジしてたってのに…
「それ、全部今諦めようとすんの?」
や、流石に、夫婦にはなれないけどさ…
「諦めようと、諦めなければと、諦められない気持ちに言い続けてきたな…」
「じゃ、今更無理だろ?諦めなくて良いよ…夫婦は無理だとしても、一緒には過ごせるんだし道はあるだろ?…刀貴、俺の事ばっかりじゃん。」
自分の事を一番に考えて欲しいもっとこうして欲しいとか、そんな自分勝手な気持ちないのか?
「そんな事はない。楓矢は今ここにいるだろう?それだけで良いんだ…」
「じゃ、俺が誰か他の奴と刀貴みたいに仲良くしても良いのかよ?」
「それはだめだな。諦めなくて良いなら楓矢の望みを叶えるのが俺の望みなんだから、楓矢は他人に頼る必要はないだろ?」
……楓矢は何がしたいんだ?……
そう問いかけている優しい真剣な刀貴の瞳が、上から見下ろしてくる…この瞳には弱いな、俺……
やっと週末。大人しく過ごしていた俺らにとってはやっと迎える二人だけの時間が出来たわけで、映画鑑賞会と称して今日は合法的に刀貴の家に泊まりにきてる。
「刀貴、さぁ…」
落ち着く山手家の畳に座って座卓に突っ伏してる俺の為に、刀貴は飲み物を入れに台所に立つ。
「うん?夜は鍋でいいか?楓矢、辛いのいけるだろ?」
「ん、いける…」
辛口の鍋か…旨そう…じゃなくて、ちょっと曇天の俺とは正反対に刀貴はウキウキと準備に取り掛かってる。泊まらせてもらう手前手伝いするのは当たり前の立場なんだが、なんだかもやもやとしててテンションが上がらない。
「楓矢、腹が減ったか?先に甘い物でも?」
鍋の準備をしながらココアまで淹れてくれるとは刀貴は甲斐甲斐しいし、こんなちょっとの気遣いも物凄く嬉しくなるもんだと、恋人を持った事を実感中…
「あ、悪い…直ぐ手伝うし…」
「座ってろ。」
「悪いし…」
「いいから、この頃元気がなかっただろう?今日はゆっくりすると良い。」
折角のお泊まりチャンス。ゆっくりするだけではきっと無いと思っているのは俺だけか?なんだか刀貴は大人の余裕みたいなのを見せつけてくるけど、こっちにはそんなに余裕はない…
「楓矢…?」
優しく呼ばれて振り向けば、刀貴が頭を優しく撫でてくる。
「どうした?」
そのまま引き寄せられて腕の中…
(あったかい…刀貴の匂いする。懐かしいんだよなぁ…)
ゆうらの時の記憶は朧げで、細かいところまで覚えてるわけないのに、抱き締められて包まれた時の香りは知っている気がするから不思議だ。
それで持って、安心すると言うか……
「楓矢?」
抱きしめたまま、何度も優しく頭を撫でてくる刀貴。くすぐったくて時々身体を捩りたくなることがあるけど、刀貴はこれが好きみたいだから、やりたい時には好きにさせとく…
で、このままグダグダしてるわけにもいかねぇな……
「お前が、女子に囲まれてんの見るの、ちょっとしんどい……」
顔を伏せて目を瞑ったまま情けない事を口にする。猫ちゃんでした騒動から、薄幸の苦学生それもイケメンっていうレッテルを貼られた刀貴。事ある毎に女子に声をかけられたり、何か貰ったり構われてる。
学校ではほとんど一緒に行動する様になったから一々目に入ってくるんだよな…その度毎に刀貴は当たり障りない様に上手く対処してて、家に行って食事を作ってあげるだとか掃除してあげるだとか言う女子をあしらってるんだけど…
それがなぁ…なんとも、もやもやする。
「楓矢…まさか焼き餅か?」
焼き餅と言ったら、情けないけど焼き餅だ…一応恋人同士なわけで付き合ってるわけで、そんな相手が自分以外の相手と目の前でベタベタされたり家に行っても良いかなんてアプローチ掛けられてたりしたら、嫌だろ?
俺だってそう言う相手が何故か出てきてびっくりしてるくらいだけど、好きな奴がいるって言って断り続けたらこっちに来る女子は明らかに減った。
「何?ニヤニヤしてんの?」
こっちの心境に反して刀貴は非常に機嫌良さげなんだよな、こいつ………
「焼き餅を焼いてもらえるなんてな……夢の中の話かと思っていた…」
「え?付き合ってる奴が他の奴と仲良くしてたら焼き餅くらい焼くだろ?」
「うん…そうだ。焼いても良いんだな?ここに楓矢はいるし、俺もいる。諦める事なんて無いからな…うん、そうか…」
「まだ、他に諦めようとしてることあったの?」
ゆうらを切って、手放して、諦めてきた過去が長かったせいか、刀貴の感覚少し麻痺してねぇ?
「お前と、夫婦になる事。死ぬまで俺が守るから、裕福で無くても慎ましくて良いから顔を見たら笑い合える様な家族になる事…それから、お前が望む事を叶える事。お前が笑っていられる様に…」
も、ぅ…!真顔でこんな事を言うか!?こちとら男らしくもなく焼き餅焼いてウジウジしてたってのに…
「それ、全部今諦めようとすんの?」
や、流石に、夫婦にはなれないけどさ…
「諦めようと、諦めなければと、諦められない気持ちに言い続けてきたな…」
「じゃ、今更無理だろ?諦めなくて良いよ…夫婦は無理だとしても、一緒には過ごせるんだし道はあるだろ?…刀貴、俺の事ばっかりじゃん。」
自分の事を一番に考えて欲しいもっとこうして欲しいとか、そんな自分勝手な気持ちないのか?
「そんな事はない。楓矢は今ここにいるだろう?それだけで良いんだ…」
「じゃ、俺が誰か他の奴と刀貴みたいに仲良くしても良いのかよ?」
「それはだめだな。諦めなくて良いなら楓矢の望みを叶えるのが俺の望みなんだから、楓矢は他人に頼る必要はないだろ?」
……楓矢は何がしたいんだ?……
そう問いかけている優しい真剣な刀貴の瞳が、上から見下ろしてくる…この瞳には弱いな、俺……
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