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35 呪われた王子
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「私は、カシュクール国、第一王子レギル!!ソラリスの騎士に告ぐ!!直ちに森へ侵入した市民を町へと引き返させよ!先ずは市民の安全を!!」
駆けつけて来た騎士達にレギル王子は呼びかけた。周囲にいる人々もレギル王子の宣言に驚きの視線を投げ寄越している。
「退かれよ!!王族の名を名乗るとは、なんたる不遜!!カシュクールより、王族の入国の通達は来ておらん!不届き者め!そこを退かぬか!」
確かに国からは何も通達されてはいない。そして身分を保証する供も無く身元を知らしめる物は一本のブレスレットのみ…それであってもこんな状況下で王族の名を敢えて出しているのにも関わらず頭ごなしに否定するのもどうかと思われた。慌ただしい状況下であろうが、その真偽は見極めるべきではないのか?
「王族が王族を名乗らず、誰が名乗ると言うのだ!聞いたことがあるだろう?カシュクールの呪われた王子の名を!!」
精霊の愛子……呪われた王子…この2つの名 は国内ばかりでは無く国外にも轟いているだろう。
「我が瞳を見るが良い!生まれながらにして呪を受けた者の証だ!」
"目を眩ませて、姿を隠せ"
レギル王子が唱え終わると、黒いモヤモヤした霧の様な物が所在無げに固まっていた猛獣の周囲を囲み出し、その姿を完全に隠してしまった。
「な!!これは!」
いずれの騎士も皆体格の良いものばかりでいかにもの手練れの揃い踏みと言う一団に見えたが、魔法の類にはあまり耐性が無いのか一様に驚きざわめいている。
その前に立ちはだかるのは、虹色の不思議な色の瞳を惜しげもなくさらすレギル王子だ。
「…!?…なんと、聞いた事がありますぞ!その噂は誠であったのか?」
隊長格の騎士は一度威勢を削がれた様であったが、しかしすぐ様に意を決した様にレギル王子にはっきりと告げた。
「まさか、カシュクールの王子が魔術の心得があるとは思い及びませんでした。しかし!我らも騎士!民を傷つけた狼藉を許しておく訳には行かないのです!」
言葉使いは丁寧なものへと変わったが、レギル王子の提案を飲む気はさらさら無い様だ。彼らも民を守っていると言う矜恃があるので、仕方がないことではあった。
「ならば、見てみるが良い!ここにいる猛獣は誰1人として襲ってはいない!」
確かに、報告に来た者達からは猛獣が逃げ出した、とだけであった。人を襲っている、とは一言も報告には上がっていないのだ。しかし、この大混乱の中だ。興奮した猛獣が、どこぞで人を襲うかもしれない。そんな危険分子を野放しになどできるわけがなかった。
「だからこそだ!先ず森へ入った人々を安全な所へ誘導されよ!森こそが、猛獣の住処であろう!彼らが入ってからではもう収集がつかないぞ!」
「!?」
その通りだ。無知な民は散り散りに森にも逃げ入っていく所を騎士達も見ていた。
「隊長どうなされますか?」
「この場はこのレギルが押さえおく!猛獣の目を眩ませた故、これ以上の混乱は起きないだろう!人々の混乱を鎮められよ!」
「隊長!?」
暫しの沈黙の後、騎士隊長タリムが号令を出した。レギル王子の真剣な虹色の瞳からタリム隊長はこの間一度も視線を外さなかった。
「……全隊に告ぐ!直ちに市民の避難を優先させよ!!森への侵入を禁止とし、森へ入った市民を誘導せよ!」
「は!了解致しました!」
「ソラリスの騎士殿、感謝する!」
"人間の王子…まだ天幕の中に猛獣がいる…そして、捕まっていた人間もだ"
"人間?…捕まっていたとは?"
"さあ?でも天幕にまだいるよ?"
リレランの声だ……こんな時だと言うのに、何故か心がこんなにも踊る……
"ラン…天幕の中の猛獣を外の霧まで出せるか?"
"もうやっている…後は人間だけ…"
"分かった…!"
「騎士殿!天幕の中にも人はいないか確認を!!猛獣は天幕から出てきた!!まだ中に取り残されているものもいるかも知れん!」
「了解した!カシュクール王子殿下そちらの猛獣は任せましたぞ!」
騎士達は数人ずつの小隊に分かれ森へ向かう者、市街地で誘導を行う者、天幕へと向かう者、と日頃の訓練の賜物とでも言おうか見事な統率で動き出す。それを見届けたレギル王子は霧の中へ向かっていったリレランを追う。
"ラン!どこにいる?"
もう、何度呼びかけたのかも分からない。どれだけ声を張り上げたのかも……
「……………ここに………」
上から?見上げると、巨大な象の上からフードの少年がこちらを見下ろしていた。が、周囲に霧が立ち込めていてリレランの表情までは良くわからない。
「……ラン?」
なんで、そんな所に!
「…この子達を誘導するためだよ…」
「なぜ!?人の姿になど……」
"行きな…"
ポン、と象の頭に手を置いて象を誘導し、自分はヒョイッと飛び降りた…!
「ラン!!」
それに慌てふためいたのはレギル王子。機敏にリレランの着地地点まで猛ダッシュで駆け寄った。が、手助けは要らなかった様だ……駆け寄った時にはすでにレギル王子の目の前に、琥珀色の澄んだ瞳を真っ直ぐに向けている、1人の少年が立っていたから…
駆けつけて来た騎士達にレギル王子は呼びかけた。周囲にいる人々もレギル王子の宣言に驚きの視線を投げ寄越している。
「退かれよ!!王族の名を名乗るとは、なんたる不遜!!カシュクールより、王族の入国の通達は来ておらん!不届き者め!そこを退かぬか!」
確かに国からは何も通達されてはいない。そして身分を保証する供も無く身元を知らしめる物は一本のブレスレットのみ…それであってもこんな状況下で王族の名を敢えて出しているのにも関わらず頭ごなしに否定するのもどうかと思われた。慌ただしい状況下であろうが、その真偽は見極めるべきではないのか?
「王族が王族を名乗らず、誰が名乗ると言うのだ!聞いたことがあるだろう?カシュクールの呪われた王子の名を!!」
精霊の愛子……呪われた王子…この2つの名 は国内ばかりでは無く国外にも轟いているだろう。
「我が瞳を見るが良い!生まれながらにして呪を受けた者の証だ!」
"目を眩ませて、姿を隠せ"
レギル王子が唱え終わると、黒いモヤモヤした霧の様な物が所在無げに固まっていた猛獣の周囲を囲み出し、その姿を完全に隠してしまった。
「な!!これは!」
いずれの騎士も皆体格の良いものばかりでいかにもの手練れの揃い踏みと言う一団に見えたが、魔法の類にはあまり耐性が無いのか一様に驚きざわめいている。
その前に立ちはだかるのは、虹色の不思議な色の瞳を惜しげもなくさらすレギル王子だ。
「…!?…なんと、聞いた事がありますぞ!その噂は誠であったのか?」
隊長格の騎士は一度威勢を削がれた様であったが、しかしすぐ様に意を決した様にレギル王子にはっきりと告げた。
「まさか、カシュクールの王子が魔術の心得があるとは思い及びませんでした。しかし!我らも騎士!民を傷つけた狼藉を許しておく訳には行かないのです!」
言葉使いは丁寧なものへと変わったが、レギル王子の提案を飲む気はさらさら無い様だ。彼らも民を守っていると言う矜恃があるので、仕方がないことではあった。
「ならば、見てみるが良い!ここにいる猛獣は誰1人として襲ってはいない!」
確かに、報告に来た者達からは猛獣が逃げ出した、とだけであった。人を襲っている、とは一言も報告には上がっていないのだ。しかし、この大混乱の中だ。興奮した猛獣が、どこぞで人を襲うかもしれない。そんな危険分子を野放しになどできるわけがなかった。
「だからこそだ!先ず森へ入った人々を安全な所へ誘導されよ!森こそが、猛獣の住処であろう!彼らが入ってからではもう収集がつかないぞ!」
「!?」
その通りだ。無知な民は散り散りに森にも逃げ入っていく所を騎士達も見ていた。
「隊長どうなされますか?」
「この場はこのレギルが押さえおく!猛獣の目を眩ませた故、これ以上の混乱は起きないだろう!人々の混乱を鎮められよ!」
「隊長!?」
暫しの沈黙の後、騎士隊長タリムが号令を出した。レギル王子の真剣な虹色の瞳からタリム隊長はこの間一度も視線を外さなかった。
「……全隊に告ぐ!直ちに市民の避難を優先させよ!!森への侵入を禁止とし、森へ入った市民を誘導せよ!」
「は!了解致しました!」
「ソラリスの騎士殿、感謝する!」
"人間の王子…まだ天幕の中に猛獣がいる…そして、捕まっていた人間もだ"
"人間?…捕まっていたとは?"
"さあ?でも天幕にまだいるよ?"
リレランの声だ……こんな時だと言うのに、何故か心がこんなにも踊る……
"ラン…天幕の中の猛獣を外の霧まで出せるか?"
"もうやっている…後は人間だけ…"
"分かった…!"
「騎士殿!天幕の中にも人はいないか確認を!!猛獣は天幕から出てきた!!まだ中に取り残されているものもいるかも知れん!」
「了解した!カシュクール王子殿下そちらの猛獣は任せましたぞ!」
騎士達は数人ずつの小隊に分かれ森へ向かう者、市街地で誘導を行う者、天幕へと向かう者、と日頃の訓練の賜物とでも言おうか見事な統率で動き出す。それを見届けたレギル王子は霧の中へ向かっていったリレランを追う。
"ラン!どこにいる?"
もう、何度呼びかけたのかも分からない。どれだけ声を張り上げたのかも……
「……………ここに………」
上から?見上げると、巨大な象の上からフードの少年がこちらを見下ろしていた。が、周囲に霧が立ち込めていてリレランの表情までは良くわからない。
「……ラン?」
なんで、そんな所に!
「…この子達を誘導するためだよ…」
「なぜ!?人の姿になど……」
"行きな…"
ポン、と象の頭に手を置いて象を誘導し、自分はヒョイッと飛び降りた…!
「ラン!!」
それに慌てふためいたのはレギル王子。機敏にリレランの着地地点まで猛ダッシュで駆け寄った。が、手助けは要らなかった様だ……駆け寄った時にはすでにレギル王子の目の前に、琥珀色の澄んだ瞳を真っ直ぐに向けている、1人の少年が立っていたから…
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