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45 カシュクール帰還
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「おや、お客さんだね…?」
良く晴れた麗かな日。カシュクール国内では干魃が解消され、王宮内にも、地方の畑地にも緑が戻り息を吹き返したような清々しい景色がどこに行っても見られるようになった、そんな清々しい日の午後。政務の合間に休憩を取っていたカシュクール国王がポツリと呟く。
「兄上。どなたかと謁見の御予定でしたか?」
こちらには一報が入って来ていないのだが?おかしいな。
国王と国の視察についての意見交換をしていたオレイン公サンスルトが、そんな国王の呟きを目敏く拾う。国王の1日のスケジュールはもちろんの事、睡眠時間から食事の内容更にはプライベートな部分に至るまで、サンスルトに情報が入ってくる様に抜かりなく手配している。王妃レイチェルと結婚してからと言うもの、サンスルトは遠くの領地に追いやられ、許しがあるまで領地内から出る事は許されていなかった為、会えなかったその時間を埋め尽くそうと、現在は兄王の側にピッタリと張り付く様に日々過ごしているのだ。これで、仕事が出来なければ即座に領地に送り返していた所だが、兄王の足を引っ張らぬ様にと領地に篭ってからもサンスルトは勤勉であった為に役に立つ事この上なく、王妃も仕事面については何も言えなかった。
「ん?嫌、そんな予定はないね。」
では、イレギュラーな訪問者ということになる。カシュクール国王である兄ギルダインは風の精霊シェルツェインとの契約を引き継いでいる為、精霊関係の訪問をきっとシェルツェインが報せたのだろう。契約者であればここにシェルツェイン自身を呼ぶ事さえも可能だし、会話だとて難しくは無いのだから。
「では、シェルツェインからでしょうか?」
「オレイン公は昔から勘がいい…如何やらその様だ。」
「私が風の塔に出向きましょうか?」
国王ギルダインは体調こそ戻って来た様だが、長く伏せっていた為に体力となるとまだまだだろう。風の塔に、誰が来ているのかは分からないが、体力の戻っていない兄王ギルダインを行かせるよりはサンスルトが行ったほうが適任と思われた。
「ん~~いや、要らないだろう。多分、適任者がいるよ…」
ゆったりと息抜きのお茶の香りを楽しみながら、兄王はそんな事を言う。カシュクールの国王は代々シェルツェインとの契約を引き継いでいる。だから、常人では計り知れない何かを見、何かを聞き、何かを判断する事になる。それはギルダインとサンスルトの父、先王を見ていてもそうであったし、いつも身近にかんじていたことだから今更に不思議とは思わなかった。
「待たせてしまっても不興を買いませんか?」
「大丈夫だろう。わざわざここまでいらしたのだ、何かあればシェルが伝えてくる。」
「なるほど……」
国王執務室での、長閑な休憩がなされている時に、風の塔付近の城の城壁部に異変が起こる。淡く煌く光の粒を舞降らせながら、城壁の壁に門が開く…その門の中からレギル王子がたった一人で現れた。
リレランがカシュクールに来ているとしたならばどこか?先程この国に来る事が決まったのだから、シェルツェインとの契約は無効だろう。ならば、リレランのいく先をシェルツェインに尋ねたら良い、とレギル王子は思った。探し物の精霊の帯は今はカシュクールで止まっている。もう着いてしまっているのは確かだから…
レギル王子は長い長い風の塔の頂上に出る階段を永遠と登って行く。レギル王子が登り切った後、やはりそこには見知った顔を見つける事が出来た。
"遅かったね。レギル……"
如何にも待ちくたびれた、と言う体でリレランは欠伸をして見せた。レギル王子は置いていかれた方の身であるし、遅かったはずはないものだとは思うのだ。あの後すぐに精霊門を開いてカシュクールまで帰って来たのだから。改めて、リレランの龍としての飛行スピードは物凄く早いものだとレギル王子は実感し、驚いた。
"ラン…君が早すぎたんだろうね…ここは、風の塔と言う……"
精霊シェルツェインの住う場所。
"知っているよ。彼女を呼ぶ?"
龍リレランは精霊にも詳しいらしい。という事をレギル王子も薄々気がついていたのだけど………
"使役……出来るのか?"
はっきり言って、どこまでリレランは精霊に干渉出来るのかレギル王子には分からない…
"僕はね……後の者は性質に応じてかな?"
性質…風や、土、バルーガの様に瘴気だったり……?
"龍にも得意分野が有るのか?"
"強いて言えば好み、後はやる気かな"
なるほど。やろうと思わなければやれないのも肯ける。龍とは、もしや物凄い気分屋なのかもしれない。
"君の言う通り、カシュクールに来たよ。ラン…これから如何しようか?"
レギル王子の目の光がとても優しい。きっとこんな事叶わないと思っていたし、もう国にも帰ってくる事さえ諦めていたから…なのにリレランの一言でこの国の大地を踏んで、この国の中でリレランの姿さえ見る事ができる。ただ、この事実が嬉しくて、レギル王子はいつもよりも柔らかく、いつまでもリレランに微笑みかけて来た。
良く晴れた麗かな日。カシュクール国内では干魃が解消され、王宮内にも、地方の畑地にも緑が戻り息を吹き返したような清々しい景色がどこに行っても見られるようになった、そんな清々しい日の午後。政務の合間に休憩を取っていたカシュクール国王がポツリと呟く。
「兄上。どなたかと謁見の御予定でしたか?」
こちらには一報が入って来ていないのだが?おかしいな。
国王と国の視察についての意見交換をしていたオレイン公サンスルトが、そんな国王の呟きを目敏く拾う。国王の1日のスケジュールはもちろんの事、睡眠時間から食事の内容更にはプライベートな部分に至るまで、サンスルトに情報が入ってくる様に抜かりなく手配している。王妃レイチェルと結婚してからと言うもの、サンスルトは遠くの領地に追いやられ、許しがあるまで領地内から出る事は許されていなかった為、会えなかったその時間を埋め尽くそうと、現在は兄王の側にピッタリと張り付く様に日々過ごしているのだ。これで、仕事が出来なければ即座に領地に送り返していた所だが、兄王の足を引っ張らぬ様にと領地に篭ってからもサンスルトは勤勉であった為に役に立つ事この上なく、王妃も仕事面については何も言えなかった。
「ん?嫌、そんな予定はないね。」
では、イレギュラーな訪問者ということになる。カシュクール国王である兄ギルダインは風の精霊シェルツェインとの契約を引き継いでいる為、精霊関係の訪問をきっとシェルツェインが報せたのだろう。契約者であればここにシェルツェイン自身を呼ぶ事さえも可能だし、会話だとて難しくは無いのだから。
「では、シェルツェインからでしょうか?」
「オレイン公は昔から勘がいい…如何やらその様だ。」
「私が風の塔に出向きましょうか?」
国王ギルダインは体調こそ戻って来た様だが、長く伏せっていた為に体力となるとまだまだだろう。風の塔に、誰が来ているのかは分からないが、体力の戻っていない兄王ギルダインを行かせるよりはサンスルトが行ったほうが適任と思われた。
「ん~~いや、要らないだろう。多分、適任者がいるよ…」
ゆったりと息抜きのお茶の香りを楽しみながら、兄王はそんな事を言う。カシュクールの国王は代々シェルツェインとの契約を引き継いでいる。だから、常人では計り知れない何かを見、何かを聞き、何かを判断する事になる。それはギルダインとサンスルトの父、先王を見ていてもそうであったし、いつも身近にかんじていたことだから今更に不思議とは思わなかった。
「待たせてしまっても不興を買いませんか?」
「大丈夫だろう。わざわざここまでいらしたのだ、何かあればシェルが伝えてくる。」
「なるほど……」
国王執務室での、長閑な休憩がなされている時に、風の塔付近の城の城壁部に異変が起こる。淡く煌く光の粒を舞降らせながら、城壁の壁に門が開く…その門の中からレギル王子がたった一人で現れた。
リレランがカシュクールに来ているとしたならばどこか?先程この国に来る事が決まったのだから、シェルツェインとの契約は無効だろう。ならば、リレランのいく先をシェルツェインに尋ねたら良い、とレギル王子は思った。探し物の精霊の帯は今はカシュクールで止まっている。もう着いてしまっているのは確かだから…
レギル王子は長い長い風の塔の頂上に出る階段を永遠と登って行く。レギル王子が登り切った後、やはりそこには見知った顔を見つける事が出来た。
"遅かったね。レギル……"
如何にも待ちくたびれた、と言う体でリレランは欠伸をして見せた。レギル王子は置いていかれた方の身であるし、遅かったはずはないものだとは思うのだ。あの後すぐに精霊門を開いてカシュクールまで帰って来たのだから。改めて、リレランの龍としての飛行スピードは物凄く早いものだとレギル王子は実感し、驚いた。
"ラン…君が早すぎたんだろうね…ここは、風の塔と言う……"
精霊シェルツェインの住う場所。
"知っているよ。彼女を呼ぶ?"
龍リレランは精霊にも詳しいらしい。という事をレギル王子も薄々気がついていたのだけど………
"使役……出来るのか?"
はっきり言って、どこまでリレランは精霊に干渉出来るのかレギル王子には分からない…
"僕はね……後の者は性質に応じてかな?"
性質…風や、土、バルーガの様に瘴気だったり……?
"龍にも得意分野が有るのか?"
"強いて言えば好み、後はやる気かな"
なるほど。やろうと思わなければやれないのも肯ける。龍とは、もしや物凄い気分屋なのかもしれない。
"君の言う通り、カシュクールに来たよ。ラン…これから如何しようか?"
レギル王子の目の光がとても優しい。きっとこんな事叶わないと思っていたし、もう国にも帰ってくる事さえ諦めていたから…なのにリレランの一言でこの国の大地を踏んで、この国の中でリレランの姿さえ見る事ができる。ただ、この事実が嬉しくて、レギル王子はいつもよりも柔らかく、いつまでもリレランに微笑みかけて来た。
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