[完]蝶の精霊と思っていたら自分は龍でした 皆んなとお別れするのは寂し過ぎるのでもう一度殻に閉じこもりますから起こさないでください

小葉石

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51 告白 2

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 先ずはレギル王子とリレランが初めてあった蝶の谷での事。リレランは一つ大きな間違いを起こした。蝶の精霊マリーアンヌ恋しさにレギル王子の光を見た時、もう二度と離れまい、亡くすまいとレギル王子に向かってリレランは龍の力を使ってしまっている。

「龍の力?」

 数百年前の文献しか無い今の国々では、具体的に龍がどんな力を持ち、何をしていたのかさえ細かくは分かっていない。

「そう、僕が君に使った……」

 しっかりとレギル王子の虹色の瞳を見据えてリレランは肯く……

「使われた者はどうなる?」

 真剣な表情のリレランにレギル王子も真剣に耳を傾ける。

「何があっても、大抵のところ大丈夫になる。」

 リレランが言うには、自分の魔力の源、魂に近い所から力を分け与え続けているのでリレランが大丈夫だと言う事なら大抵の事では生命の危険がなくなる。リレランの直ぐ近くでその影響を受け続けていなければ今までと同じように殆ど人間とかわらない体質や寿命で済んだだろうと思われたのだが、レギル王子はリレランを追いかけ、リレランを求めて本人がそれを知らず望まざるともリレランを受け入れてしまっている。だから、きっとその影響は根深く出てしまう。

「バルーガの森を覚えている?」

「瘴気の森の?」

「そう。レギル、大丈夫だったでしょ?」

「え?ランが何かしていたのではないのか?」

 瘴気の森では、木々は勿論動物をも死に絶えて文字通りの死の森となる。その森の中であってもレギル王子は体調を崩すことなく平然としていたのを覚えている。

「何にも?バルーガは気が付いていた様だけどね…」
 
 流石に古龍は騙せないな、とリレランは独りごちた。

「……ラン…私は、人間では……無くなるのか……?」

「……僕といることを望めば、いつかはそうなるかもね…」


 だから、離れたかったんだ。僕の力を分け与えた事は、僕の失敗だったから………


「……解除は…出来ないと?」

「……僕を殺せば、解除出来るかもね?」
 
「…そうか、分かった…」

 リレランはレギル王子が驚き嘆いて、罵られるかと思った……人間じゃなくなるんだ…こっちは恨まれても当然なのに……

 しかし、レギル王子はそうはしなかった。

 一言了承の言葉を吐いてから、爽やかな笑顔をリレラン見せただけだった…

「なんで、怒らない?人間は自分に不利益な事が起こったら怒るだろう?」

 そうするのがひどく当たり前の様に思うのに、レギル王子は至って平静…却ってリレランが不思議そうな顔をする。

「私も一つ確認したい…」

 今度はレギル王子がリレランへ質問をする。

「私の中には既に精霊の魂が組み込まれているのだろう?君の中では、とても大切な存在の……」

 コクン、リレランは肯く。

「もし、私が追いかけず、君を求めず、受け入れもしなかったら、ラン……君はどうする気だった?」

「………」

 あのままレギルと一緒に居なければ、なるべく見ずに気配を負わずに干渉をしないで、レギル王子に一生を追えてもらう筈だった……

「それじゃあ、君は寂しいだろう?ここに、懐かしいものがあるのに…それに私には共に生きる選択肢も与えてはくれないつもりだったのか?」

 そっとレギル王子の手がリレランの頬に伸びた…何度、その肌に触れる事が出来たのか…離れがたい手触りで困ってしまう……

「私も君に告白する。私は君と共に、できる事なら生きたいと思っていた…国の代表としてランに対価の命を差し出す覚悟は十分にしていたつもりだったが、もう少し、もう少しと君と過ごす時間を持っていたかった…君が望まないのに私から離れて、また寂しさに心を焼くくらいなら、私は君と共に生きるよ、ラン。蝶の谷で一人で卵の中にいた君の様に
、もう一人にはさせたく無いと望んでも良いか?」

 許される望みだろうか……?

 レギル王子は心からリレランに、うん、と言って欲しかった…もう、リレランは降参して共に生きると言ってくれてはいるけれど、それでも今もリレランを求めてしまう浅ましい自分の願いを許して欲しかった……

 大きな間違いを起こして許しを乞うはずのリレランよりもレギル王子の方が今は不安気にその虹色の瞳を揺らしている。

「…僕が、許して貰いたいと思っている方なんだけど……?」

 リレランは複雑そうな顔をして納得はできていない様だ。

「私にも、許して貰いたい過分な願いがあったんだからお互い様だろう?」

 何と言ってもたかが一人の人間が最早伝説みたいな龍の側に居たいと願っている。これこそ天罰が降りそうな願いではないだろうか?けれどリレランを真剣に見つめつつレギル王子は両手でリレランを包み込む。

「共に……生きても良いだろうか…?それがランの願いでもあると思っても…?」

 レギル王子の腕の中は暖かく、まるで卵の中にいる様に安心感に包まれる。一人で生きて行くしか無い最強の種族龍リレランにとっては今まで他者からは得られなかった感覚だった。

 レギル王子の強さがリレランを満たしているわけでは無い…リレランを包むこの両腕もマリーアンヌには無かった物…レギル王子の存在が、今リレランを満たしていた…

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