［完］ごめんなさい、騎士様。あなたの意見には従えません。

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「分かりました！私には見えませんが、神官長には何か分かっていらっしゃるのですね？わかりましたから、もう、立ってくださいませ！」


　本当に困る！こんな事されても！！


　困ったルーチェリアも一緒に床に座り込みそうな勢いでしゃがみながらレストール神官長に必死に頼み込む。

「なんとお優しいのでしょうね？聖女様は…」

「はい。私の自慢の主人でございます。」

「それはわかったけれどね？アールスト…」

　
　納得…？してくれたんだろうか？


　やっと立ち上がったレストール神官長はまだアールストに何か言いたそうだ。

「これでは、聖女様を辱める事になるでしょうね？」

「………十分に理解しております……」


　なんでレストール神官長とアールストの二人だけの会話だとズンズンと不穏な雰囲気に進んでいくの？


「もう！いい加減にして下さい！アールスト！さっきから罰とかなんとかどういう事なの！？」


　いい加減にモヤモヤする～～！！


「そちらのご衣装のことです。」

「衣装…？」

　レストール神官長が指した物はルーチェリアが来ている衣装について…

「左様です。聖女様には聖女の衣を着て頂くのが原則なのです。」

　今のルーチェリアは小花を散りばめた軽やかな上質な綿のワンピースにそれに合わせた小花が散りばめられた帽子である。

「聖女の衣には聖女たらしめんとする位付けの意味もありますが、聖女様方を不浄からお守りする役目もございます。」

　聖女の衣…上質な絹を更に厳選して縫われている聖女専用のドレスである。材質は申し分ない位の上物だがそれが造られる過程にも意味があって一枚一枚に聖女の護り、瘴気や悪しき物の類から聖女を守る様に力が込められているという。
　騎士は物質的に聖女を護り、聖女の衣は異質な物から聖女を護る。これが聖女の為の護りの原則何だとか……

「初めて聞きました…でもやっぱり着ません！そんな大切な貴重な衣装着て汚しでもしたら死んでも死に切れませんから！！」

「と、まぁ、万事この様な状況でして…」

「……アールスト、それをどうにかするのが貴方の役目ではないのか？」

　ニッコリと笑っていると思っていたレストール神官長の目が笑っていない…………

「アールスト鞭打ち追加ですね……」

「ひ……」

　ポソっと呟いたレストール神官長の言葉にルーチェリアはゾクッと寒気を覚える思いだった。