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「ヤスキ、ヤスキ…ヤスキ~、ヤスキ。」

「なんだよ?連続で呼んで?」

 ぐったりとしてしまったナッチェルを胸に抱いてごろ寝中…

「ふふ、今まで何度ヤスキの名前を呼んだかな?」  

「さあ?」

「僕はジェフの他にこんなに人の名前を呼んだ事ないよ?」

 寝てたナッチェルが上半身を起こして上から見つめてくる。

「こんなに名前を呼んで求めた人は居ないんだよ…ヤスキ…僕は君だけで良い…」

「他のペットは?」

「ペットと君を比べられないけど、ペットとはこんな事したいとは思わないかな?」

 チュウッと首筋に吸い付いてくる。さっき散々しただろ?

「僕もね、飽きちゃってるんだ。ここの人達に…だから…僕の子供の顔も見ようとも思わない。兄上が居るしね?多分そこの子とそっくりになるはずだから、楽しみもないだろ?」

「父親になれなくてもいいの?」

「なりたいのは父親じゃないんだよね。君の隣…僕に子供ができても絶対に関心なんて持てない、酷い奴になる…」

「おい、それ、俺も同じ立場なんだけど……やっぱり酷いか………」

 人としては最低な事だもんな…子供捨てるなんてさ…

「彼女達は納得してたでしょ?誰一人悲しい顔なんてしてなかった。もし、心配なら子供の顔を見に行けば良いさ…あ、それなら僕も一緒に行きたいな。二人で行けば一緒に子育てしてるのと同じだよ?」

 楽しそうなナッチェルの姿に本当に心配無用だったな…言っている事にも一理ある。
ま、ナッチェルが誰かに取られないで、俺の子供のことでマイナス感情持たなきゃいいか……

 あーあ…俺の行動決定基準ナッチェル中心になってきたな~。でも……悪くない……
 こんなに一人の人間好きになるなんて思わなかったからな。どうやって生きて行こうかって考える方が多かったしな。借金返さなきゃ普通の生活なんて望めなかったし…

 ナッチェルの金髪の髪をくるくる指に巻きながら、気持ち良さそうに横に転がるナッチェルを見る。甘えてくるナッチェルの方が毛艶の良い高級なペットみたいに思える。

 つくづく、何で俺みたいなのを拾っちゃったんだろうな?

 ジッと見ている事に気がついたのか、嬉しそうにふわりと笑う。

「何?ヤスキ?オヤツ?」

「………どんだけ、オヤツあげたいの?」

「え~だって食べてる姿を見るのって幸せ感じない?」

「太るぞ?」

「ヤスキは平気でしょ?朝からいつも運動量凄いじゃない?」

「??……なんで知ってんの?」

「ふふふ…飼い主特権!」

 ナッチェル……ストーカー気質もあるぞ、お前……俺はその手の相手もしたことあるんだ。お前、踏み外すと戻ってこれないからな?
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