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しおりを挟む「ねぇ、ヤスキ……」
……まだ、その手には乗らん!…
ナッチェルの声が反省してる沈んだ声から、少し甘えた声に変わる。俺にとってはナッチェルの全てが甘いんだよ。どんな時でも、悔しいけども、怒っている今も!!
お前、絶対にそれ分かっててやってるだろ?
「僕はもう一つ君に謝らなければいけない…」
……まだ、あんの?…
「実はその首輪、取れるんだ。」
「は?」
……あ、やべ、反応しちゃった…
「ふふ、やっと答えてくれた。」
余裕そうにしてた割には俺の反応にナッチェルは酷く嬉しそうな声を出した。
「でも、それが父王の望みであれば、だけどね?」
「??」
「ん~~でも、母上が許さないと思うからやっぱり外せないかな?」
「何だよ?それ?」
……別に!首輪があっても無くても関係ないだろう?俺にとってナッチェルはナッチェルだ…
「僕は外されなくて物凄く嬉しいけれどね。」
「これが無くても、お前はお前だから問題ないだろ?」
「ううん。僕はヤスキを手放したくないの。ヤスキに、僕以外を見て欲しくはないんだよ…だから、外したくない。」
スルリ…ナッチェルの手が腕を触る。腕の形を確かめるみたいに、腕に沿って肩へ…
それだけで、腰に響くのに……ギシっと、ふて腐れて座っていた俺のベッドへ乗ってきやがった!
ナッチェルは首の首輪辺りを撫でている。背中にはナッチェルの体の体温の気配…
「ねぇ、ヤスキ。」
暖かい、腕が首に回された…背中にナッチェルの暖かい上半身が密着する。
……コイツ、上裸じゃん!?…
理性を総動員して、絶対に答えてやるもんかと踏ん張っていると言うのに、何でこうも崩そうとして来るんだ、コイツは!
「僕は、ヤスキが欲しい…ねぇ?ヤスキは?」
あろう事か、抱きついた姿勢でスリスリと頬ずりした挙句、耳元で囁くなって…
既に反応している身体の中では、ゾクゾクした快感が巡ってる。
……身体が…熱い…
「ヤスキ?」
……そこで!名前を呼ぶんじねぇって!…
耳に唇当てたまま、小声でささやくのなんて、反則じゃないのか?まだ、こっちは怒ってる!
「ヤスキは…僕が欲しい?」
ナッチェルの手が滑る…今度は胸の筋肉の形を確かめるみたいに…ゆっくりと撫で下ろしたり、撫であげたり……
……あぁ!もう!触んな!!…
一番最初にナッチェルの甘さを感じた時みたいに、今までみたいにそれに流されそうで全力で逃げたい…が、悔しいから、一歩も逃げてやらん!
「好きだよ…ヤスキ、心から…」
ナッチェルの声が縋る様に聞こえた?
……え、コイツ、泣いてんの?…
ギュウって抱きしめて来る腕に力が入る。
「嫌だって言うなら、もう触らないから……だから……嫌いに、ならないで?」
嫌だと思った事はあるけど、嫌いなんて思った事ねぇよ……今だって思いっきり抱きしめて、押し倒したいのはこっちの方だ…
ナッチェルに触りたくて、キスしたくて、舐めたくて…恥も何もかもかなぐり捨ててナッチェルに飛び込みたいのに…
「ヤスキ…」
「嫌いだなんて、思った事ねぇよ…」
……俺が言えるの、これが精一杯…
「うん…知ってたよ?僕の……ヤスキ……」
ナッチェルはこれまで以上に、本当に大切そうに俺の名前を呼んだ…
その声がさ、心の深い所にズンって、
刺さって来るんだよな……
仕方ねぇなナッチェル……
流されてやるよ…………
応援ありがとうございます!
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