[完結]ひきこもり執事のオンオフスイッチ!あ、今それ押さないでくださいね!

小葉石

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7 休暇明け

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 朝日と共に、ゴソゴソと。使用人部屋の一角にある小屋からシェインは出てくる。

 旦那様はまだ起きて来ない時間のはずで、先に身支度を整えるためだ。

 
 ほぼ休暇中は小屋から出て来ない為、まずは身体を清める事を優先する為に、この屋敷の裏にある井戸に向かう。シェインは部屋付きの浴室より、冷たい自然の水が好きなのだ。



「何を、やってるのかね?」

「ガラット様、水浴びの覗きですか?」

 少し震えたガラット王子に、呆れた様なメアリーの声が答える。

 井戸の側で、上半身裸に下着1枚で井戸水をザブザブ浴びていれば、何事かと思うだろう。


「全く、こちらの気も知らないで……まさか、他所のお宅でもこんな事をしていたんでは?」

 一瞬ピンクの瞳に影がさした様に見えた。


「ガラット様。それはなかった事は知っておられるでしょう?」

「まぁね、ここに流れてくる様に周りに圧をかけて来たしね。」



 シェインの事をずっと守るつもりで探していたのだ。見守る事くらい良いではないか。


「目の毒と仰るのであれば、私が出て行って声をかけましょうか?」

「それはやめて、メアリー。だったら私が……」


「ガラット様…大事になさるんでしょう?」
 
 チロリ、と冷たいメアリーの視線を受けては、グッと我慢する。


「さあ、今日はお客様の来られる日ですわ。シェイン君にも頑張っていただかなくては。」


 仕方ないね、ピンクの瞳は名残惜しそうに未だに水を浴びているシェインに注がれた。



*******



 ガラット様の元での仕事にもまあまあ慣れた今日、お客様とは胸躍る!


 ガラット様は当初から毎日、毎日毎日、シェインを呼び出してはサワサワと触って来るので、この頃は顔を合わせたくない気もして来ているのだ。


 主人に対してなんたる事!


 自分を奮い立たせては見るものの、やはりあの状況は居心地が悪いんだ。こっちは使用人だし、丁寧に扱ってもらう側の人間じゃないもの!


 さあ!何方が来るのかな?ガラット様とメアリーさん以外の人間と話をするのも久しぶりだ。しっかりとおもてなしさせて頂きます!




「やあ、久しぶりだね。ガラット。」

 午後になり、訪問されて来たのはガラット王子に気さくに話しかけられている第一王子スディール様だ。


「何の様だ。スディール?」


 え?   待って?
 
 一瞬、ビックリして旦那様の方を凝視してしまった。


「フフ、やっぱり。おい、びっくりしてるぞ。そこのどんぐり坊や。」


「どんぐり坊やではない。我が家の執事だ。で?お前は何の様だ?」


「そう邪険にしないでも良いだろう?実の兄なのに。」

 スディール様確実に困った顔をされてますね。
 

「父上からの申し付けだよ?お前が元気にしているか見て来いと。」

「誰か使いの者を寄越せばいいのに?」

「クッその使いをみんな纏めて追い返しちゃうから私が名指しされているんじゃないか。」


 え?追い返してるの?
 信じられないものを見る目つきでガラット王子をシェインは見つめてしまう。


「フハハハハ、もう駄目だ!我慢できん!クックックッ…お前の執事は有能なんだろうけど、顔で全てを語っているぞ?」


「スディールには関係ないだろう。要は済んだか?」


「だ、旦那様お茶をご用意してございます。どうぞ、応接間に…」

 目を思わずひん剥くほどびっくりしたが、そこは執事の技を駆使するのだ!



「スディールは、客ではないからもてなさなくていい。もう帰るしな。」

「相変わらず酷いな。私としてはそのどんぐり坊やの入れてくれた茶を飲みたいのだが?」


「煩い。用が済んだのなら帰れ…。」

 旦那様………。綺麗なピンクの瞳が本気で笑ってませんね……

 初めて、曰く付きの旦那様を見てしまった……。初日にこれをやられていたら私もここにはいないだろうな……


 無情にもガラット王子本人にドアの外まで追い出され、締め出されて行くスディールを哀れみの目で見つつ、応接室に行く主人に付き従った。
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