[完結]ひきこもり執事のオンオフスイッチ!あ、今それ押さないでくださいね!

小葉石

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11 思い出2

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 燃える様な赤い瞳に見つめられるだけで心が溢れるほど喜びに満たされた。

 あの方の隣に存在してしたいと高望みをするつもりは無いけれど、その瞳に映されて、自分と言う存在に触れてもらいたい。

 出来たら、少しでもあの方に触れようと手を伸ばす事を許してほしい…


 けれど、自分が弱かったから、護りたかった者達を護ることができなかった…
 あの方の側にも居続ける事も叶わなかった…


 自分が弱かったから………


 だから、あそこを離れたんだ。護れなかった皆ごめんね…?

 小鳥の囀りも、戯けたようなリス達の動きも、滑らかな狐の姿を見るのも、夜に聞こえる精悍な猛禽類の僅かな羽音も、ひっそりと芽吹いてはグングン茂る森の草木も初めて与えられた私の宝物だったのに……


 あの方は何と思われているだろうか?あの場を護れず逃げ隠れてしまった私を見て…軽蔑されて、目も合わせてもらえなくなったら、存在すらしていたくなくなる…!


 たがら!戻るんだ!もう一度!!
力と知識をつけて、2度と大切な者を失わない様に…

 せめて、せめて!あの方の側にいる事を許される位には力をつけて…




 薄らと日の出を体に感じると、シェインは頬を濡らしながら目を開けた。

 懐かしすぎるあの匂いから、昔失ってしまった夢を見た。どれも大切で、今でも宝物で。


 ガバ!狭過ぎるの中で跳ね起きる。泣いてなんていられない!

 あそこに戻るって決めたからには!

 今日を生きて、懸命に生きて、また此処で篭るんだ!!



 今日の私は一味違いますよ!やると決めたあの時から、根性だけは有るつもりです!旦那様の理不尽な要求も何のその、全て受け止めて見せましょう!
 
 
 フン!と鼻息荒く、着替えを済ませてはガラット王子の朝の支度をする為に食堂へと降りていった。



*******



「で?やる気の有るのは大いに認めようね?如何して、またあそこに居たのかな?」



 1日が始まってすでにシェインのやる気は半減中…………
 


 朝の気合の流れるままに、やはり旦那様の側で働くならば、巷で悍しいと噂高い趣味をも克服する気でもう一度趣味部屋の前に立ったのだ。

 やはり、懐かしい…香りに包まれて、ドアに手を掛けたまま湧き上がってくる心の中の声と闘っているうちに、今日も旦那様に捕まってしまった。  


「もう一度聞くよ、シェイン?あそこで、何をしていたのかな?」

 問答無用で抱え込まれ、ガラット王子の膝の上で今はびくとも動けない…  


「あの、気合を入れる為にですね。その、克服を兼ねてもう一度行ってみようかと…」

 抱え込む腕の力とは反対に、ガラット王子の瞳は酷く優しく、悲しい色にも見て取れる。


「私が、見られて悲しむとは思わなかった?」


 は!そうだ!あの部屋は使用人立ち入り禁止!何と言う事!


「申し訳ありません!旦那様のお気持ちを傷つけるつもりでは!」

 どうしよう!此処を追い出されたらもう行く所が…


「傷ついた心には、癒しが欲しいんだ。シェイン……」


 そう言って、旦那様は私に口付けされた……
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