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鶴山の科学者
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22世紀に入るか入らないかの時期に一つの電報が世界に衝撃を与えた。
「ブラックホールの作成に成功しました」
この言葉が岡山県にある鶴山原子核研究機構を駆けめぐった時、私は大学で講義をしている最中で思わず絶叫してしまった。私の穴という穴から興奮と汗が全身から吹き出していた。
私は鶴山原子核研究機構の所長を務めている佐々木里穂といい、鶴山高専を首席で卒業し欧州の大学大学院で原子核を専攻、勉強してきた。いわゆるエリートであるが、まさか欧州の研究機構を差し置いて結果を出すことができるとは夢にも思わなかった。
鶴山原子核研究機構は主に国と県、民間企業から多額のお金を募りブラックホールを生成して生成する技術の特許料とブラックホールについての解明など、それに付随する研究を独占し利益を得ようとする組織だ。過去に日本は永久にエネルギーを取り出せる原子力発電機構を多額の資金と頭脳を注ぎ込んでも作れなかった苦い過去がある。
その経験から文部科学省は新たに技術を開発できる人材を生み出す必要があると判断し当時、中堅技術者養成の学校としての役割を終えかけていた工業高等専門学校「高専」を解体して新たな研究設備、教授陣を揃え10歳から世界の最先端の学ぶことができる学校を創設した。20で卒業できるが、そこまで残ると落ちこぼれと言われ、天才は15の時点で海外の大学院への留学が許可された。
私は栄えある一期生で16歳の時に欧州へ渡りプリンストン大学で寮生活を送り学んだ。帰国後は岡山県北部の山頂で人形峠付近に作られた原子力機構と鶴山原子核研究機構を往復しながら充実した研究を行っていた。
私は研究者として10年目を迎え、最年少で鶴山原子核研究機構の所長に任命された時、国から突きつけられた条件は「5年以内又は欧州の研究機構より先にブラックホールを生成し技術を論文で発表し特許を出願し技術の囲い込みを行うこと」 これができなければ所長の職は解除、無能のレッテルを貼られ一生閑職に追いやられる事になる。厳しい競争と現実に少しうろたえたが、ここでブラックホールを生成できれば憧れていたノーベル賞授賞者と肩を並べることができると思い研究に没頭した。
私は研究が全てで友達も少なく、リラックスするために人と電話をしたり酒や娯楽に興じることは、ほとんどなかった。だが、1人だけ友人と言える人物がいるので紹介したいと思う。
彼の名は古谷孝、子供の頃から遊んでいた近所の幼馴染だ。彼は同じ鶴山高専の同級生だが成績が振るわずに20歳まで在学して、おまけに一年留年して長野の国立大へ進学した経歴を持つ。落ちこぼれなのか優秀なのかよく分からん人間だ。趣味は相撲観戦に将棋、カラオケと若いのに古臭い趣味を持っている。ただ、彼といると思いのつかない発想や刺激的なユーモアを身ぶり手ぶり伝えてくれて愉快なひと時を過ごさせてくれる。基本的にいつも笑っているが、怒る時は怒るし悲しい時は悲しむし、私と違って感情を表に出す。裏表のない人間ともいえるし単純な人間だとも思っている。やっぱり、同じ年数だけ生きているからか私とは違う見方を持っている。
彼の平日は地元の企業で水道管を設計して土日は農業をして過ごしている。彼に対しては年収も地位も名誉も私の方が上だと思っているが出世なんて考えずにのんびりと働いているようにみえて羨ましかった。ただ、研究に行き詰ると彼を誘っては食事をしたり相撲観戦をして全てを忘れた。この、のんびりとした休息がとてつもなく心地よかった。
研究ではおよそ3年8ヶ月かけて世界最大の衝突型加速器を開発して日夜、陽子と陽子を衝突させて観測し続けた。そして、遂にブラックホールを完成させた。
ブラックホールの大きさは直径僅か一ミリしかなく、すぐに消滅した。従来、ブラックホールは発生して全てを飲み込む又は時空を歪めて絶対的な時間軸が崩れるなど議論がなされてきた。私が観測したブラックホールは1キロの鉄の球体を一瞬で飲み込み一ミリまで圧縮して消滅した。これは世紀の大発見で質量の大きなものを圧縮すればするほどブラックホールは重たくなり深く沈むように見える。
(深く沈む)を分かりやすく伝えると一枚の大きな風呂敷に5キロのボールと1キロのボールなどを置くと5キロのボールは1キロのボールより深く沈む。宇宙で言うと5キロのボールは太陽 1キロのボールは地球という事になる。この深さによって時間の流れが違うのではないかという事、そしてボールを支えている布が破けるとどうなるのかが科学者達の研究課題となっていくことになる。布を破いてそこに惑星や衛星や光が漏れていると考えることもできる。私はブラックホールは時空に穴を開け、そこに質量のあるものが漏れた。
だから1キロの鉄球が一ミリまで圧縮されたようにみえた。だが、実際は穴の開いたところに一瞬だけ吸い込まれただけで破れた所は一瞬で修復され元に戻ると考察し論文に発表した。この論文は欧米の科学雑誌に取り上げられ日本のメディアも連日、お祭りのように騒ぎ立てた。
一時は国民の多額の税金を岡山の田舎に高価な設備を建てて、穀潰しと揶揄されていたくらいだったが、これで私も世間に顔向けできるし、もしかしたらノーベル賞もあると手ごたえを感じだしていた。
「ブラックホールの作成に成功しました」
この言葉が岡山県にある鶴山原子核研究機構を駆けめぐった時、私は大学で講義をしている最中で思わず絶叫してしまった。私の穴という穴から興奮と汗が全身から吹き出していた。
私は鶴山原子核研究機構の所長を務めている佐々木里穂といい、鶴山高専を首席で卒業し欧州の大学大学院で原子核を専攻、勉強してきた。いわゆるエリートであるが、まさか欧州の研究機構を差し置いて結果を出すことができるとは夢にも思わなかった。
鶴山原子核研究機構は主に国と県、民間企業から多額のお金を募りブラックホールを生成して生成する技術の特許料とブラックホールについての解明など、それに付随する研究を独占し利益を得ようとする組織だ。過去に日本は永久にエネルギーを取り出せる原子力発電機構を多額の資金と頭脳を注ぎ込んでも作れなかった苦い過去がある。
その経験から文部科学省は新たに技術を開発できる人材を生み出す必要があると判断し当時、中堅技術者養成の学校としての役割を終えかけていた工業高等専門学校「高専」を解体して新たな研究設備、教授陣を揃え10歳から世界の最先端の学ぶことができる学校を創設した。20で卒業できるが、そこまで残ると落ちこぼれと言われ、天才は15の時点で海外の大学院への留学が許可された。
私は栄えある一期生で16歳の時に欧州へ渡りプリンストン大学で寮生活を送り学んだ。帰国後は岡山県北部の山頂で人形峠付近に作られた原子力機構と鶴山原子核研究機構を往復しながら充実した研究を行っていた。
私は研究者として10年目を迎え、最年少で鶴山原子核研究機構の所長に任命された時、国から突きつけられた条件は「5年以内又は欧州の研究機構より先にブラックホールを生成し技術を論文で発表し特許を出願し技術の囲い込みを行うこと」 これができなければ所長の職は解除、無能のレッテルを貼られ一生閑職に追いやられる事になる。厳しい競争と現実に少しうろたえたが、ここでブラックホールを生成できれば憧れていたノーベル賞授賞者と肩を並べることができると思い研究に没頭した。
私は研究が全てで友達も少なく、リラックスするために人と電話をしたり酒や娯楽に興じることは、ほとんどなかった。だが、1人だけ友人と言える人物がいるので紹介したいと思う。
彼の名は古谷孝、子供の頃から遊んでいた近所の幼馴染だ。彼は同じ鶴山高専の同級生だが成績が振るわずに20歳まで在学して、おまけに一年留年して長野の国立大へ進学した経歴を持つ。落ちこぼれなのか優秀なのかよく分からん人間だ。趣味は相撲観戦に将棋、カラオケと若いのに古臭い趣味を持っている。ただ、彼といると思いのつかない発想や刺激的なユーモアを身ぶり手ぶり伝えてくれて愉快なひと時を過ごさせてくれる。基本的にいつも笑っているが、怒る時は怒るし悲しい時は悲しむし、私と違って感情を表に出す。裏表のない人間ともいえるし単純な人間だとも思っている。やっぱり、同じ年数だけ生きているからか私とは違う見方を持っている。
彼の平日は地元の企業で水道管を設計して土日は農業をして過ごしている。彼に対しては年収も地位も名誉も私の方が上だと思っているが出世なんて考えずにのんびりと働いているようにみえて羨ましかった。ただ、研究に行き詰ると彼を誘っては食事をしたり相撲観戦をして全てを忘れた。この、のんびりとした休息がとてつもなく心地よかった。
研究ではおよそ3年8ヶ月かけて世界最大の衝突型加速器を開発して日夜、陽子と陽子を衝突させて観測し続けた。そして、遂にブラックホールを完成させた。
ブラックホールの大きさは直径僅か一ミリしかなく、すぐに消滅した。従来、ブラックホールは発生して全てを飲み込む又は時空を歪めて絶対的な時間軸が崩れるなど議論がなされてきた。私が観測したブラックホールは1キロの鉄の球体を一瞬で飲み込み一ミリまで圧縮して消滅した。これは世紀の大発見で質量の大きなものを圧縮すればするほどブラックホールは重たくなり深く沈むように見える。
(深く沈む)を分かりやすく伝えると一枚の大きな風呂敷に5キロのボールと1キロのボールなどを置くと5キロのボールは1キロのボールより深く沈む。宇宙で言うと5キロのボールは太陽 1キロのボールは地球という事になる。この深さによって時間の流れが違うのではないかという事、そしてボールを支えている布が破けるとどうなるのかが科学者達の研究課題となっていくことになる。布を破いてそこに惑星や衛星や光が漏れていると考えることもできる。私はブラックホールは時空に穴を開け、そこに質量のあるものが漏れた。
だから1キロの鉄球が一ミリまで圧縮されたようにみえた。だが、実際は穴の開いたところに一瞬だけ吸い込まれただけで破れた所は一瞬で修復され元に戻ると考察し論文に発表した。この論文は欧米の科学雑誌に取り上げられ日本のメディアも連日、お祭りのように騒ぎ立てた。
一時は国民の多額の税金を岡山の田舎に高価な設備を建てて、穀潰しと揶揄されていたくらいだったが、これで私も世間に顔向けできるし、もしかしたらノーベル賞もあると手ごたえを感じだしていた。
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