122 / 142
第5章-----(4)-2〈太陽〉テオス
しおりを挟む◇
「おめでとう。また会えましたね」
テオスの顔をした創造神は穏やかに言った。エラルドのテオスそっくりな姿を見て、ウーディが息をのむ。アルシュは前に進み出た。
「こちらが望んだわけではありません。用件は? 俺たちは早く現実に戻りたいんですが」
敬意を欠いた言葉に、人々にざわめきが走った。
「無礼な――」
「主に対し、何と言う口を」
「よい。私はこの者と話してみたいのだ」
テオスは片手を振って、天使たちを黙らせた。それからしげしげとアルシュとウーディを見比べた。
「あなたは不機嫌ですね、アルシュ。理由を聞いても良いですか」
「俺たちがここへ来る理由がないからです」
テオス〈太陽〉は微苦笑した。
「私にそのような口を利く者はいませんよ。誰もが、一目、私に会えることを至上の喜びにしているというのに」
「あいにく、俺にとってはそうじゃないようです」
「神は嫌いですか?」
「そんなことはありません。俺も子供の頃から神々を敬うよう教えられてきました。特にエラルドの王族は成人の儀には土地の鎮守神に女鹿を供える儀式を続けてます。でも神は神でも、デーミウールゴスのような天地創造の物語に登場する神は違います。創世神は神話の存在にすぎません。そんな神より、実際に口をきいたり会ったりできるポポのような存在のほうが、俺にとってはよほど親しい神なんです」
「私より、あの下等な生き物のほうが良いと言うのですか。土地神もまた、私が作り出したものなのですよ」
「そうかもしれませんが、俺には関係ありません」
「心外ですね。でも私は知ってますよ。あなたたち人間はそのドラゴンですら、長い間、土地神として敬うどころか、農作物を荒らす害獣のように思ってましたね?」
「そ、それは過去のことです。今は違う」
「では私とももう少し仲良くしてくれませんか」
あまり友好的とは言えない会話だったが、おかしなことに、アルシュは話してるうちに、少しずつリラックスしてくるのを感じていた。
やはり、この相手はアルシュの知るテオスと同じ存在なのだ。かれはテオス〈太陽〉に好印象を持ってなかったが、話しながら、よくエラルドでテオスとこんなふうに言いたいことを言い合っていたことを思い出した。
テオス〈太陽〉も同じような感想を持ったのだろう。不躾なアルシュの言葉に怒ったふうでもなく、会話を楽しんでいるのがわかる。
対照的に天使たちの機嫌は悪くなった。彼らは自分たちが崇拝する、唯一無二の創世神が一人間を特別扱いするのが我慢ならないようだった。レベリアはハラハラした顔をしていて、英傑の霊人たちとメフィストは興味深そうに成り行きを見守っていた。
テオスは一息つくと、口調を変えた。
「ところでアルシュ。あなたはあなたの世界のテオスの対象者であるわけですが、今後、自分の世界をどのようにしたいと考えますか」
唐突に話題が変わった。アルシュはびっくりする。
「えっ? 世界。俺の?」
「そうです。現在、あなたの世界の中心はあなたですから」
テオスは円卓の上で両手を組み、若干、意地悪そうに告げた。
「本来、そうした創造のことわりは対象者本人には告げず、私たちはその者の人生を見守るだけにとどめるのですが、私はあなたを気に入りました。せっかくこうして言葉をかわす機会にも恵まれましたし、あなたが望むなら、あなたの世界をあなたに差し上げようかと思ってます。ほとんどの対象者はそれを自覚しませんが、対象者には本来、そうした強い運があるのですよ」
「ちょっと待て。飛躍しすぎて、ついてゆけないんだけど」
アルシュは慌てた。テオスはかまわず円卓に居並ぶ人々を見回した。
10
あなたにおすすめの小説
竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる
ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。
アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。
異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。
【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。
αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。
負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。
「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。
庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。
※Rシーンには♡マークをつけます。
転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される
Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。
中1の雨の日熱を出した。
義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。
それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。
晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。
連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。
目覚めたら豪華な部屋!?
異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。
⚠️最初から義父に犯されます。
嫌な方はお戻りくださいませ。
久しぶりに書きました。
続きはぼちぼち書いていきます。
不定期更新で、すみません。
女神様の間違いで落とされた、乙女ゲームの世界で愛を手に入れる。
にのまえ
BL
バイト帰り、事故現場の近くを通ったオレは見知らぬ場所と女神に出会った。その女神は間違いだと気付かずオレを異世界へと落とす。
オレが落ちた異世界は、改変された獣人の世界が主体の乙女ゲーム。
獣人?
ウサギ族?
性別がオメガ?
訳のわからない異世界。
いきなり森に落とされ、さまよった。
はじめは、こんな世界に落としやがって! と女神を恨んでいたが。
この異世界でオレは。
熊クマ食堂のシンギとマヤ。
調合屋のサロンナばあさん。
公爵令嬢で、この世界に転生したロッサお嬢。
運命の番、フォルテに出会えた。
お読みいただきありがとうございます。
タイトル変更いたしまして。
改稿した物語に変更いたしました。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)
九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。
半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。
そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。
これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。
注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)
逃げる銀狐に追う白竜~いいなずけ竜のアレがあんなに大きいなんて聞いてません!~
結城星乃
BL
【執着年下攻め🐲×逃げる年上受け🦊】
愚者の森に住む銀狐の一族には、ある掟がある。
──群れの長となる者は必ず真竜を娶って子を成し、真竜の加護を得ること──
長となる証である紋様を持って生まれてきた皓(こう)は、成竜となった番(つがい)の真竜と、婚儀の相談の為に顔合わせをすることになった。
番の真竜とは、幼竜の時に幾度か会っている。丸い目が綺羅綺羅していて、とても愛らしい白竜だった。この子が将来自分のお嫁さんになるんだと、胸が高鳴ったことを思い出す。
どんな美人になっているんだろう。
だが相談の場に現れたのは、冷たい灰銀の目した、自分よりも体格の良い雄竜で……。
──あ、これ、俺が……抱かれる方だ。
──あんな体格いいやつのあれ、挿入したら絶対壊れる!
──ごめんみんな、俺逃げる!
逃げる銀狐の行く末は……。
そして逃げる銀狐に竜は……。
白竜×銀狐の和風系異世界ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる