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2・何でも良いから現状打破
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「今日も第二王子軍団に纏わりつかれるのかしら。明後日には長期休暇に入ってしまうのに」
全く何なのよ。折角最初のイベントを回避したと思ったら、攻略対象者達が同じクラスで、ずっと纏わりついて来るとか。全然学園生活楽しめないわ。友達も出来ないし、もう最悪。相手は王子と有力貴族の子息達だから、下手に口答えも出来ないし。
これじゃあ、いつまで経ってもマリー様と話なんて出来ないわ。本当にどうしよう。
「バシャ!!ガシャン!」
え…?水…?あ…しまったっ!!
私は急いで上階の窓を見やった。後姿…フレイシア様?フレイシア・ダーチェンサー。この国ウィンドール王国の王弟殿下の一人娘である。ダーチェンサー公爵家の領地は、きな臭い隣国との国境に位置する。ゲーム内では無駄な争いを避けるために、フレイシア様は隣国の皇太子の婚約者だった筈。だから隣国の皇太子ルートの悪役令嬢は、フレイシア様だったのだけれど…
第二王子とその側近達とのクラスは同じだけれど、その他の登場人物達とはクラスは別になったから、交流は無いのよね。当然隣国皇太子ルートなんて進んでない。腑に落ちない。
「ナタリー様、ナタリー様?大丈夫で御座いますか?」
そうだった……私ずぶ濡れだったっけ。
「すみませんマリー様、大丈夫です」
とは言ったものの…さてどうしたものか。
「ナタリー様、お体に少し風魔法を行使させて頂いても宜しいですか?」
「えっ?あぁ………はい、お願いします」
「ソフィア、手伝ってくれるかしら?」
「はい、喜んで。お姉様」
マリー様は、側にいたソフィア様に声をかけ、二人で私に向けて手を翳した。ピンクブロンドのふわふわ髪に、ヒロイン風の顔立ちのソフィア様は、マリー様の事を「お姉様」と呼ぶけれど姉妹ではない。エディントン辺境伯の隣に領地を持ち、共に魔の森や隣国の監視の役目を担っているラングリーク辺境伯の娘。お母様が幼い頃亡くなり、確か弟が一人いるはず。
ソフィア様からは仄かな火の魔法、マリー様からは涼やかな風の魔法、そして、どこか懐かしい香り。あぁ…これは、きっと…そう。ただの偶然かもしれない。でも、それでも、私は信じたい。前世の母が纏っていた香り。胸が締め付けられるような想いで、涙を堪えていた。ほんの一瞬だったけれど。
「何をしているんだ、悪役令嬢!!」
来たわ~。毎度、毎度、毎度、毎度、毎度……このでっかい背中が邪魔なのよ。
「とうとう本性を現したな。聖女様に攻撃するなど!!こいつを縛り上げろ!!」
「お待ち下さい、ルイベルト様」
私はマリー様を庇うようにルイベルト様の前に立った。
「聖女様、何故そいつを庇うのですかっ!!」
「ルイベルト様、誤解です。マリー様は、濡れた私を乾かして下さっただけですわ。水の入った花瓶が上から落ちてきましたの」
私はそう言って2階の窓を見上げた。そこにはもうフレイシア様の姿はなかったけれど。
「だが……」
私の説明にも納得いかないのか、ルイベルト様は、両手を握りしめたまま、引き下がろうとしない。
私は、ルイベルト様の目をしっかりと見据えた。ついさっき自分の勘を信じると決めたのだ。マリー様を渡すつもりはない。
「ちょっと失礼、ルイベルト殿その辺で。私からも少し経緯の補足をさせて頂きたい」
野次馬たちの間から一人の青年が姿を現した。
石像のような白い肌に濃紺の髪と瞳。乙女ゲームでは当然の整った顔立ち。きな臭い隣国とはいえ正統な王族の血を引いている攻略キャラ。レスターゲート王国皇太子ラーシャ・ロンダルト。留学とは言いつつも何を企んでいるのやら。聖女が私でなければ、人の良い鉄板の王子様で終わったのかしら。パールのお陰で私は、ゲームでは知り得ない、彼の有り得ない人物像を知っている。
ルイベルト様がラーシャ様に応えた。
「これはラーシャ殿、お恥ずかしい姿をお見せして失礼致しました。経緯の補足…ですか?」
「はい、実はここに居る二人のご令嬢が、誤って二階の窓から花瓶を落としてしまったそうで……大変な騒ぎになっていてどうしたら良いかと、相談を受けたのですよ」
えっ、嘘…?じゃあ、フレイシア様は何故あそこにいたのかしら?
「ラーシャ殿、だとしても聖女様に向けて魔法を放つなど、していいことではございません。それに、悪や…いや、ダーチェンサー家の令嬢が、そこの二人の御令嬢に態とやらせた可能性もあります」
あぁ…もうっ…堅物だなぁ……とか思いながら、私は腕組みしてルイベルト様を睨みつける。
「恐れ入りますルイベルト様。証拠も無しにそのようなことを口走るのは、如何なものでしょうか?先程から申し上げておりますが、私がルナマリア様に魔法の行使をお願いしたのでございます。それとも、ルイベルト様は私が濡れたままで風邪を引く事をお望みなのでしょうか?」
「ああ、いや、そんなことは決して望んではおりません。ただ、聖女様の御身を心配しているだけなのです」
「でしたら、私の言うことも少しは聞いて頂けませんか?」
険悪な空気が漂い始めたけれど、今回は私が引くわけにはいかない。マリー様を守らなければ……
「その辺にしといたら?ルイ」
突如後方から天の声…?振り向くと大人びたルイベルト様…?じゃないわ!!銀色の少し癖のある短髪に第二王子よりやや濃色の紫の瞳。落ち着いていて如何にも賢そうな印象の年上の少年。このウインドール王国の皇太子アレクシス・ファビリア。
私はこの人が苦手。何考えてるか全くわからない。脳内花畑だった前世の私だけれど、流石に記憶を持ったままこの世界で揉まれれば、それなりに他人の考えも゙わかってくる。でもこの人は無理。整った顔立ちが更に思考をわからなくしている。生粋の王族なんだわ。
「兄上……」
「聖女様ごめんね。ルナを守ってくれてありがとう。でも、気をつけてね」
「はい…申し訳ございませんでした。ルイベルト様にも生意気なことを言って、申し訳ございません」
アレクシス様の最後の言葉には、色々な意味が含まれてるんだろうなぁ…などと思いながら、私は素直に謝った。
「ナタリー様、庇ってくださりありがとうございました。私の考えが浅いばかりに、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。」
マリー様が謝る必要なんて無いのに。寧ろチャンスだわ。
「いいえ、マリー様が謝る必要なんてありません。服も髪もすっかり乾きましたから。それより私、マリー様とお話がしてみたかったんです。少しでもいいのでお時間を頂けませんか?」
「えっ?あ、はい。私もお話したいと思っておりました。本日は、予定がありますので、明日の式の後にお時間を頂いても宜しいでしょうか?」
「本当ですか?嬉しい!!時間作ります。宜しくお願い致します!!」
これでやっとマリー様と話が出来る…この時私は浮かれ気分で、全く周りが見えていなかった。
全く何なのよ。折角最初のイベントを回避したと思ったら、攻略対象者達が同じクラスで、ずっと纏わりついて来るとか。全然学園生活楽しめないわ。友達も出来ないし、もう最悪。相手は王子と有力貴族の子息達だから、下手に口答えも出来ないし。
これじゃあ、いつまで経ってもマリー様と話なんて出来ないわ。本当にどうしよう。
「バシャ!!ガシャン!」
え…?水…?あ…しまったっ!!
私は急いで上階の窓を見やった。後姿…フレイシア様?フレイシア・ダーチェンサー。この国ウィンドール王国の王弟殿下の一人娘である。ダーチェンサー公爵家の領地は、きな臭い隣国との国境に位置する。ゲーム内では無駄な争いを避けるために、フレイシア様は隣国の皇太子の婚約者だった筈。だから隣国の皇太子ルートの悪役令嬢は、フレイシア様だったのだけれど…
第二王子とその側近達とのクラスは同じだけれど、その他の登場人物達とはクラスは別になったから、交流は無いのよね。当然隣国皇太子ルートなんて進んでない。腑に落ちない。
「ナタリー様、ナタリー様?大丈夫で御座いますか?」
そうだった……私ずぶ濡れだったっけ。
「すみませんマリー様、大丈夫です」
とは言ったものの…さてどうしたものか。
「ナタリー様、お体に少し風魔法を行使させて頂いても宜しいですか?」
「えっ?あぁ………はい、お願いします」
「ソフィア、手伝ってくれるかしら?」
「はい、喜んで。お姉様」
マリー様は、側にいたソフィア様に声をかけ、二人で私に向けて手を翳した。ピンクブロンドのふわふわ髪に、ヒロイン風の顔立ちのソフィア様は、マリー様の事を「お姉様」と呼ぶけれど姉妹ではない。エディントン辺境伯の隣に領地を持ち、共に魔の森や隣国の監視の役目を担っているラングリーク辺境伯の娘。お母様が幼い頃亡くなり、確か弟が一人いるはず。
ソフィア様からは仄かな火の魔法、マリー様からは涼やかな風の魔法、そして、どこか懐かしい香り。あぁ…これは、きっと…そう。ただの偶然かもしれない。でも、それでも、私は信じたい。前世の母が纏っていた香り。胸が締め付けられるような想いで、涙を堪えていた。ほんの一瞬だったけれど。
「何をしているんだ、悪役令嬢!!」
来たわ~。毎度、毎度、毎度、毎度、毎度……このでっかい背中が邪魔なのよ。
「とうとう本性を現したな。聖女様に攻撃するなど!!こいつを縛り上げろ!!」
「お待ち下さい、ルイベルト様」
私はマリー様を庇うようにルイベルト様の前に立った。
「聖女様、何故そいつを庇うのですかっ!!」
「ルイベルト様、誤解です。マリー様は、濡れた私を乾かして下さっただけですわ。水の入った花瓶が上から落ちてきましたの」
私はそう言って2階の窓を見上げた。そこにはもうフレイシア様の姿はなかったけれど。
「だが……」
私の説明にも納得いかないのか、ルイベルト様は、両手を握りしめたまま、引き下がろうとしない。
私は、ルイベルト様の目をしっかりと見据えた。ついさっき自分の勘を信じると決めたのだ。マリー様を渡すつもりはない。
「ちょっと失礼、ルイベルト殿その辺で。私からも少し経緯の補足をさせて頂きたい」
野次馬たちの間から一人の青年が姿を現した。
石像のような白い肌に濃紺の髪と瞳。乙女ゲームでは当然の整った顔立ち。きな臭い隣国とはいえ正統な王族の血を引いている攻略キャラ。レスターゲート王国皇太子ラーシャ・ロンダルト。留学とは言いつつも何を企んでいるのやら。聖女が私でなければ、人の良い鉄板の王子様で終わったのかしら。パールのお陰で私は、ゲームでは知り得ない、彼の有り得ない人物像を知っている。
ルイベルト様がラーシャ様に応えた。
「これはラーシャ殿、お恥ずかしい姿をお見せして失礼致しました。経緯の補足…ですか?」
「はい、実はここに居る二人のご令嬢が、誤って二階の窓から花瓶を落としてしまったそうで……大変な騒ぎになっていてどうしたら良いかと、相談を受けたのですよ」
えっ、嘘…?じゃあ、フレイシア様は何故あそこにいたのかしら?
「ラーシャ殿、だとしても聖女様に向けて魔法を放つなど、していいことではございません。それに、悪や…いや、ダーチェンサー家の令嬢が、そこの二人の御令嬢に態とやらせた可能性もあります」
あぁ…もうっ…堅物だなぁ……とか思いながら、私は腕組みしてルイベルト様を睨みつける。
「恐れ入りますルイベルト様。証拠も無しにそのようなことを口走るのは、如何なものでしょうか?先程から申し上げておりますが、私がルナマリア様に魔法の行使をお願いしたのでございます。それとも、ルイベルト様は私が濡れたままで風邪を引く事をお望みなのでしょうか?」
「ああ、いや、そんなことは決して望んではおりません。ただ、聖女様の御身を心配しているだけなのです」
「でしたら、私の言うことも少しは聞いて頂けませんか?」
険悪な空気が漂い始めたけれど、今回は私が引くわけにはいかない。マリー様を守らなければ……
「その辺にしといたら?ルイ」
突如後方から天の声…?振り向くと大人びたルイベルト様…?じゃないわ!!銀色の少し癖のある短髪に第二王子よりやや濃色の紫の瞳。落ち着いていて如何にも賢そうな印象の年上の少年。このウインドール王国の皇太子アレクシス・ファビリア。
私はこの人が苦手。何考えてるか全くわからない。脳内花畑だった前世の私だけれど、流石に記憶を持ったままこの世界で揉まれれば、それなりに他人の考えも゙わかってくる。でもこの人は無理。整った顔立ちが更に思考をわからなくしている。生粋の王族なんだわ。
「兄上……」
「聖女様ごめんね。ルナを守ってくれてありがとう。でも、気をつけてね」
「はい…申し訳ございませんでした。ルイベルト様にも生意気なことを言って、申し訳ございません」
アレクシス様の最後の言葉には、色々な意味が含まれてるんだろうなぁ…などと思いながら、私は素直に謝った。
「ナタリー様、庇ってくださりありがとうございました。私の考えが浅いばかりに、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。」
マリー様が謝る必要なんて無いのに。寧ろチャンスだわ。
「いいえ、マリー様が謝る必要なんてありません。服も髪もすっかり乾きましたから。それより私、マリー様とお話がしてみたかったんです。少しでもいいのでお時間を頂けませんか?」
「えっ?あ、はい。私もお話したいと思っておりました。本日は、予定がありますので、明日の式の後にお時間を頂いても宜しいでしょうか?」
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