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バッドエンド
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「テシオン様は何故、こんな事をするのですか?」
私は、気持ちを落ち着かせながら、テシオン様に話しかける。
「お前が邪魔だからに決まってるだろ。何でお前なんかが聖女なんだよ。魔力も少ないくせに。」
えーと、そう言われましても……。
「お前がいると、俺の婚約者がお前になっちまうんだよ。あー、忌々しい。俺は、王妃主催のパーティで出逢ったソフィアを、ずっと婚約者にしたかったんだ。ああ、ソフィア……ピンクブロンドのふわふわと柔らかそうな髪、透き通るような白い肌。可憐なうえに頭も良い。父上にも了承を得てたのに、お前が現れてから、全く話を聞いてもらえなくなった。」
いやー、無理だろうなぁ。というか、実は既に、ソフィア様に断わられてるんじゃないの?
「あ、あの、私は断って頂いて構わないのですよ?一生どなたとも結婚する気は無いですし。」
あー、引いてますね。わかります、わかりますよ。余程の理由が無いと結婚しない女性なんて、不評を受けるから、滅多にいない世界ですからね。しかしその……哀れみの目を向けるの止めてもらえますか?
「それが出来ないから、こうして閉じ込めてるんだよ。希望通り一生独身だ。この牢屋の中でな。さて、そろそろ行くよ。これから忙しくなるんでね。聖女が少女と教会を抜け出して行方不明。俺は、二人がコソコソしながら玄関を彷徨いているのを見たと、証言しないといけないんでね。」
テシオン様は、そう言葉を残すと笑いながら去って行った。
うーん、これってこのルートのバッドエンドだわ。ま、当然なんだけどね。攻略しようとしてないんだから。さて、と……。
私は、蹲っている少年と絶望的な表情を浮かべて兄を見ている少女の側に歩み寄る。ゆっくりと少女の隣に座り、目の前の少年の体の上に両手を翳す。少年の体に徐々に光が集まりだすと、やがて全身を包み込む。
「大丈夫よ。希望を捨てないで。」
私は、少年を安心させるように言葉をかけながら、魔法を行使していく。少年の呼吸が徐々に落ち着いていき、足も正常に戻って行く。完治はさせないが、歩けるようにしないとこの先困る。何があろうと、三人でここから逃げるのだ。
私の行動を、驚きの目でずっと見ていた少女は、兄の状態が落ち着いてくると、思い出したかのように、突然泣き出した。
「せ、聖女様ごめんなさい。ごめんなさい。」
私は、少女を落ち着かせるように、優しく告げる。
「ふふふ、大丈夫よ。貴女の気持ちはわかってるから。でも、このままでは貴女は、私を騙しただけになってしまう。だから、お兄さんと私を助け、テシオン様を懲らしめに行きましょう、ね?」
少女はじっと私の目を見つめ、力強く大きく頷いた。
さぁ、バッドエンドにはまだ、続きがあるのよ。教えてあげるわ。
私は、静かに上空を見つめた。
私は、気持ちを落ち着かせながら、テシオン様に話しかける。
「お前が邪魔だからに決まってるだろ。何でお前なんかが聖女なんだよ。魔力も少ないくせに。」
えーと、そう言われましても……。
「お前がいると、俺の婚約者がお前になっちまうんだよ。あー、忌々しい。俺は、王妃主催のパーティで出逢ったソフィアを、ずっと婚約者にしたかったんだ。ああ、ソフィア……ピンクブロンドのふわふわと柔らかそうな髪、透き通るような白い肌。可憐なうえに頭も良い。父上にも了承を得てたのに、お前が現れてから、全く話を聞いてもらえなくなった。」
いやー、無理だろうなぁ。というか、実は既に、ソフィア様に断わられてるんじゃないの?
「あ、あの、私は断って頂いて構わないのですよ?一生どなたとも結婚する気は無いですし。」
あー、引いてますね。わかります、わかりますよ。余程の理由が無いと結婚しない女性なんて、不評を受けるから、滅多にいない世界ですからね。しかしその……哀れみの目を向けるの止めてもらえますか?
「それが出来ないから、こうして閉じ込めてるんだよ。希望通り一生独身だ。この牢屋の中でな。さて、そろそろ行くよ。これから忙しくなるんでね。聖女が少女と教会を抜け出して行方不明。俺は、二人がコソコソしながら玄関を彷徨いているのを見たと、証言しないといけないんでね。」
テシオン様は、そう言葉を残すと笑いながら去って行った。
うーん、これってこのルートのバッドエンドだわ。ま、当然なんだけどね。攻略しようとしてないんだから。さて、と……。
私は、蹲っている少年と絶望的な表情を浮かべて兄を見ている少女の側に歩み寄る。ゆっくりと少女の隣に座り、目の前の少年の体の上に両手を翳す。少年の体に徐々に光が集まりだすと、やがて全身を包み込む。
「大丈夫よ。希望を捨てないで。」
私は、少年を安心させるように言葉をかけながら、魔法を行使していく。少年の呼吸が徐々に落ち着いていき、足も正常に戻って行く。完治はさせないが、歩けるようにしないとこの先困る。何があろうと、三人でここから逃げるのだ。
私の行動を、驚きの目でずっと見ていた少女は、兄の状態が落ち着いてくると、思い出したかのように、突然泣き出した。
「せ、聖女様ごめんなさい。ごめんなさい。」
私は、少女を落ち着かせるように、優しく告げる。
「ふふふ、大丈夫よ。貴女の気持ちはわかってるから。でも、このままでは貴女は、私を騙しただけになってしまう。だから、お兄さんと私を助け、テシオン様を懲らしめに行きましょう、ね?」
少女はじっと私の目を見つめ、力強く大きく頷いた。
さぁ、バッドエンドにはまだ、続きがあるのよ。教えてあげるわ。
私は、静かに上空を見つめた。
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