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21・反撃準備
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「これをシリウス様に届けて、お願いね」
少年の治療を済ませると少女も落ち着いたので、二人に少し休むように告げた。二人共疲れていたのだろう、直ぐに寝てしまった。
テシオン様達が去った後、上空で様子を伺っていたパールは、一度どこかへ消えた。私が少年の治療をした後、パールは再び私の元に現れて、私に彼等からこっそり奪った牢屋の鍵を持ってきた。こういう気の利いたところは、流石に竜なのだと感心する。
子供達を寝かした後、石牢内を探った。何とかパールが出入り出来る小窓を見つける事は出来たが、人が通れる程の出入り口は、ここに来る時に使った扉だけだった。取り敢えず、パールには、手紙を届けてもらう事にした。
私は急いで、服の内側に隠し持っていたナイフで服の裾を切り落とし、指先に傷をつけて布に文字を書いていった。三人が教会の石牢に閉じ込められている事、テシオン様の先程の言葉、証拠を握る人物も命を狙われてる事を、なるべく簡潔に記した。
手紙をなるべく小さく畳み、パールの口に咥えさせると、直ぐにパールは飛んで行った。
「今は何時頃かしら……」
私が居なくなった事は、もう知れ渡って探しているのかしら?遅くとも食事の時間には、いない事に気づくだろうけど。
パールが出て行った小さな穴から外を伺う。低木の陰になっているから、穴はおそらく外からは見えないだろう。辺りはすっかり夏の闇が包んでいる。
流石にあの子供達でも、ここから出るのは無理よね。
パールから受け取ったのは、鉄格子の鍵だけだった。来る時に木の扉はあったが、外から鍵がかかっているだろう。でも、他に出られそうな場所は無かった。
「パールは、直ぐにシリウス様を見つけられるかしら……」
取り敢えず、一度鉄格子に戻り、念の為に鍵をかける。
まさか食事など持ってこないだろうなぁ。流石にお腹が空いた。暫くしたら子供達を起こして行動開始ね。不安と高揚感が入り交じって、ドキドキするわ。
そんな事を考えていたら、階段を降りてくる足音が聞こえてきた。慌てて鍵を隠し、服の裾を隠すために、出来るだけ身を屈めて、少年の隣で寝た振りをする。
「おかしい。どこに落としたんだ?鍵は確かにかけたんだが……鉄格子の前じゃないよな」
どうやらテシオン様が、鍵を探しに来たらしい。徐々にこちらに向かってくる。私はドキドキしながら、頭の中で『来るなー!!』と叫び続けていた。
テシオン様が、灯りをこちらに翳す。
「いるよな?ここで落としてたら、とっくに逃げてるはずだし……うーん、どこで落としたんだろう」
照らされていた灯りが、行ったり来たりを繰り返す。周囲を見ているのだろう。私は思わず、この前マリー様から頂いたネックレスを掴んで、心の中で『お願い、助けて』と願い続ける。
やがて、灯りは遠退いて、足音も遠ざかって行く。
私はホッとして、全身の力を抜いた。同時に隣でも、大きく息を吐く様子が伺えた。少年が、目を覚ましていたらしい。
咄嗟に寝た振りを続けていたとは、賢い子だわ。私は、少女を起こさないように、小声で少年に話かける。
「起きた?体の具合はどう?」
「聖女様、ありがとう。痛みは殆ど無いよ。ただ……流石にお腹が減った」
少年は、笑いながらおどけて言う。
「ごめんなさい。食べ物は、探したけどどこにも無かったの」
「ああ、少しだけど有るんだ」
少年は、懐から小さな袋を取り出して、私に差し出した。
「あら、これはあなた達の大事な食べ物でしょう?私は貰えないわ」
「でも、俺を助けてくれたんだ。少しぐらい食べてよ。美味くは無いけど、腹が減っていては逃げられないでしょう?」
私は、少年の言葉に頷いて、少しだけ有り難く頂く事にした。食べながら、少年にいくつか質問をする。
どうやら二人は、血が繋がっていないらしい。浮浪児で孤児院に預けられた時に、少女に気に入られて、兄のように面倒を見ているのだそう。
事故の時は、少女に馬車が向かって来ている事に気づいた少年が、庇って轢かれたらしい。
受け答えは簡潔で、とても頭が良い少年だと感じた。
「魔法も少しなら使える。戦えるよ。だから、大丈夫」
なんだか逆に励まされてしまった。
少年の治療を済ませると少女も落ち着いたので、二人に少し休むように告げた。二人共疲れていたのだろう、直ぐに寝てしまった。
テシオン様達が去った後、上空で様子を伺っていたパールは、一度どこかへ消えた。私が少年の治療をした後、パールは再び私の元に現れて、私に彼等からこっそり奪った牢屋の鍵を持ってきた。こういう気の利いたところは、流石に竜なのだと感心する。
子供達を寝かした後、石牢内を探った。何とかパールが出入り出来る小窓を見つける事は出来たが、人が通れる程の出入り口は、ここに来る時に使った扉だけだった。取り敢えず、パールには、手紙を届けてもらう事にした。
私は急いで、服の内側に隠し持っていたナイフで服の裾を切り落とし、指先に傷をつけて布に文字を書いていった。三人が教会の石牢に閉じ込められている事、テシオン様の先程の言葉、証拠を握る人物も命を狙われてる事を、なるべく簡潔に記した。
手紙をなるべく小さく畳み、パールの口に咥えさせると、直ぐにパールは飛んで行った。
「今は何時頃かしら……」
私が居なくなった事は、もう知れ渡って探しているのかしら?遅くとも食事の時間には、いない事に気づくだろうけど。
パールが出て行った小さな穴から外を伺う。低木の陰になっているから、穴はおそらく外からは見えないだろう。辺りはすっかり夏の闇が包んでいる。
流石にあの子供達でも、ここから出るのは無理よね。
パールから受け取ったのは、鉄格子の鍵だけだった。来る時に木の扉はあったが、外から鍵がかかっているだろう。でも、他に出られそうな場所は無かった。
「パールは、直ぐにシリウス様を見つけられるかしら……」
取り敢えず、一度鉄格子に戻り、念の為に鍵をかける。
まさか食事など持ってこないだろうなぁ。流石にお腹が空いた。暫くしたら子供達を起こして行動開始ね。不安と高揚感が入り交じって、ドキドキするわ。
そんな事を考えていたら、階段を降りてくる足音が聞こえてきた。慌てて鍵を隠し、服の裾を隠すために、出来るだけ身を屈めて、少年の隣で寝た振りをする。
「おかしい。どこに落としたんだ?鍵は確かにかけたんだが……鉄格子の前じゃないよな」
どうやらテシオン様が、鍵を探しに来たらしい。徐々にこちらに向かってくる。私はドキドキしながら、頭の中で『来るなー!!』と叫び続けていた。
テシオン様が、灯りをこちらに翳す。
「いるよな?ここで落としてたら、とっくに逃げてるはずだし……うーん、どこで落としたんだろう」
照らされていた灯りが、行ったり来たりを繰り返す。周囲を見ているのだろう。私は思わず、この前マリー様から頂いたネックレスを掴んで、心の中で『お願い、助けて』と願い続ける。
やがて、灯りは遠退いて、足音も遠ざかって行く。
私はホッとして、全身の力を抜いた。同時に隣でも、大きく息を吐く様子が伺えた。少年が、目を覚ましていたらしい。
咄嗟に寝た振りを続けていたとは、賢い子だわ。私は、少女を起こさないように、小声で少年に話かける。
「起きた?体の具合はどう?」
「聖女様、ありがとう。痛みは殆ど無いよ。ただ……流石にお腹が減った」
少年は、笑いながらおどけて言う。
「ごめんなさい。食べ物は、探したけどどこにも無かったの」
「ああ、少しだけど有るんだ」
少年は、懐から小さな袋を取り出して、私に差し出した。
「あら、これはあなた達の大事な食べ物でしょう?私は貰えないわ」
「でも、俺を助けてくれたんだ。少しぐらい食べてよ。美味くは無いけど、腹が減っていては逃げられないでしょう?」
私は、少年の言葉に頷いて、少しだけ有り難く頂く事にした。食べながら、少年にいくつか質問をする。
どうやら二人は、血が繋がっていないらしい。浮浪児で孤児院に預けられた時に、少女に気に入られて、兄のように面倒を見ているのだそう。
事故の時は、少女に馬車が向かって来ている事に気づいた少年が、庇って轢かれたらしい。
受け答えは簡潔で、とても頭が良い少年だと感じた。
「魔法も少しなら使える。戦えるよ。だから、大丈夫」
なんだか逆に励まされてしまった。
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