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解呪に至る4つの対価
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針は大通りを越え、広場を越え、町を抜けてもまだまっすぐ向こうを指していた。ザシャは町を抜けたことがなかった。町のそばの森ですら、あの泉までしか行ったことがない。
まっすぐ、まっすぐ、針が示すままに進む。ザシャの行く手に、知らない森が立ち塞がった。薄暗い森だが、ザシャは怯まずまっすぐ進んだ。
そのうち、針がぐらぐらと揺らぎ出した。ザシャはまっすぐ進んでいるつもりだが、どうやら、わずかに方角がずれだしているようだ。ザシャは自分が同じところをぐるぐる回っていると気がついた。
困り果てたザシャが立ち止まると、楽しそうな歌声が聞こえてきた。声の聞こえる方向を探すと、小さな小さな妖精が、歌いながらふよふよと飛び回っていた。
小さな妖精はザシャに気づかず、そのまま飛び去っていこうとする。ザシャは慌てて声をかけた。
「楽しそうに歌っているところ、失礼」
妖精はぴたっと動きを止めた。くるりと振り向いた妖精は、ザシャを見つけると目を楽しげに輝かせた。ザシャが何を言うのかわくわくしているようだ。ザシャは困り顔のまま、妖精に森へ出る手伝いを頼んだ。
「妖精の王様に会いに行く途中なんだけど、まっすぐ進めなくなってしまったんだ。この森を抜ける手助けをお願いできないかな」
妖精はにこにこうなずき、快く了承した。
「いいよ! でもね、対価をおくれ」
対価と言われ、ザシャは首を傾げた。いったい、何を対価に渡せば妖精は満足するのだろう。生憎、ザシャは価値のありそうなものは何一つ持っていなかった。
荷物をごそごそして、何か渡せるものはないかと探すザシャに、妖精は「ちがうちがう!」と声を上げた。
「ものなんかいらない。楽しい色をおくれ!」
「た、楽しい色?」
それが何か、ザシャにはわからなかった。けれどうなずかなければ森を抜けられない。
ザシャがうなずくと、急にゲルデと過ごした楽しい日々が目まぐるしく頭に浮かんだ。思い出は浮かんでは過ぎ去り、色あせていった。
すべての楽しかった日々が過ぎ去ると、ザシャは自分が森から出ていることに気がついた。振り向こうとして、妖精の楽しげな声が反響した。
「とっても楽しい色だったよ! また助けてほしいときは言ってね、ニンゲンさん!」
うふふと笑った妖精の声は、すぐさま遠くへ行ってしまった。残されたザシャは、老婆から受け取った指針に目を落とし、またまっすぐ歩き出した。
まっすぐ、まっすぐ、針の示すまま進む。
今度は、大きな湖がザシャの前に横たわった。針は湖の向こう岸を差している。回り道は許されない。ならば船で渡るしかない。
湖で漁をしている男たちに船を出してほしいと頼んだが、男たちは余所者のために出す船はないと拒んだ。すげない返事にめげずに交渉したが、男たちはザシャの懇願に首を振らなかった。しつこいザシャを突き飛ばしさえした。ザシャは途方に暮れた。
男たちが去って行っても、ザシャはそこに立ち尽くしていた。どうすればまっすぐ進めるだろうと考えていた。
立ち尽くすザシャの耳に、すすり泣く声が聞こえた。誰が泣いているのだろうと見回すと、湖畔に転がる石の上に、小さな妖精が腰掛けているのが見えた。背中を丸めた妖精はさめざめと泣いている。ザシャは妖精に近づいた。
「泣いているところ、失礼」
顔を上げた妖精は、涙を流しすぎてふやけたかのようにしわだらけの疲れた顔をしていた。ザシャは妖精に失礼を詫び、妖精王に会うため向こう岸に渡りたいのだと伝えた。向こうへ渡る手伝いをしてほしい、とも。妖精はまだ泣いていたが、あふれる涙を両手で拭いながらうなずいた。
「ああ、渡してあげよう。けれど、対価をおくれ」
「対価?」
「おまえが持つ、悲しい色」
うなずくと、森で出会った妖精のときと同じく、ザシャの頭に悲しい記憶が目まぐるしく蘇った。目覚めないゲルデを見下ろす記憶を最後に、すべての記憶が色あせた。
気づけばザシャは、対岸に立っていた。針はまた、まっすぐ行く手を示している。針を見下ろすザシャの耳元で、すすり泣きが聞こえた。
「ああ、ああ、悲しい色だ。また助けがいるときは、悲しい色を用意しておくんだよ、ニンゲン」
すすり泣きは遠のき、聞こえなくなった。ザシャは針が示すまま、またまっすぐ歩き出した。
歩いて、歩いて、ザシャは砂漠に出た。砂漠ではひどい砂嵐が吹き荒れていた。この砂嵐を突き進めば、ザシャの目が使い物にならなくなってしまうだろう。さりとて、目を覆う道具を持っているわけでもなし。
ザシャが困っていたら、悪態をつく声が聞こえた。声の聞こえる方向へ顔を向けると、小さな妖精がてくてく歩いてくるのが見えた。顔を真っ赤にして、一人で毒づいている。のっぽなザシャが見えていないのか、妖精は苛立ちながらザシャの前を通り過ぎようとした。ザシャは慌てて声をかけた。
「怒っているところ失礼」
ザシャはなるべく丁寧に、怒らせないように、妖精王のところへ行きたいこと、この砂嵐を抜ける手伝いをしてほしいことを離した。妖精は舌打ちし、ザシャに小さな手を突きだした。
「それなら、怒りの色だ。怒りの色を寄越せ!」
うなずき終える前に、ザシャの頭に腹立たしい記憶が蘇っては色あせていった。姫と侍女が呪いの顛末を話し終えた記憶が蘇るのを最後に、すべての腹立たしい記憶は色を失った。
ザシャは自分が砂漠を越えていることに気がついた。ザシャの背後で、ええいくそ、と妖精が毒づく。
「まったく腹立たしい! また頼み事をするのなら、もっともっと怒りの色を用意しておけ!」
振り向くが、そこに妖精はいなかった。ザシャは針が示す道を確かめる。まっすぐ、まっすぐ前へ進めと、針はザシャに示していた。針を見るのをやめ、ザシャは顔を上げた。頭の中には、ゲルデを助けることしかなかった。
歩き続けたザシャは、広い草原に足を踏み入れた。色とりどりの花々が咲き誇るのを見て、ザシャは昏々と眠るゲルデの顔を思い出した。ゲルデには棺の中よりも、お日様の下、こんな広い草原で転げ回るのが似合っている。
早く目覚めさせなくてはと急ぐザシャの前に、前触れもなく小さな妖精が現れた。声も出ないほど驚くザシャに、妖精はにっこり笑って対価を求めた。
「ねえ、対価をちょうだい!」
「まだ何も困ってないよ」
ザシャが首を振ると、妖精はちょっと唇を尖らせた。
「困るよ。きっと困る。王様のところへ行くには、空を飛ばなきゃいけないから!」
手のひらに置いた針を見ると、確かに、前ではなく上を指していた。ザシャが妖精へ目を戻すと、妖精はまだにこにこ笑っていた。
「対価は何?」
「喜びの色さ!」
妖精が言い終わらないうちに、ゲルデと過ごして感じた喜びの記憶が蘇っていく。その記憶が色あせていくたび、ザシャは自分がぐんぐんと空を昇っていくことに気づいた。高度を増すたび、空気が冷えていく。寒いなと白い息を吐きながら、ザシャは自分の体がどこかへ落ち着くのを待った。
ゲルデが連れて行かれる前日の記憶が色あせるとほぼ同時に、ふわりと暖かな風がザシャの身を包んだ。
目の前には、ザシャより少し背が低いくらいの妖精がいた。森のもので彩られた椅子にゆったりと座る妖精が妖精王であることは、誰の目にも明らかだった。
ザシャは感情が湧かないまま、ゲルデにかけられた呪いについて話した。その呪いを解いてほしいと訴えた。妖精王は悲しそうに顔を歪め、うなずいた。
「そこまでしてここへ来たのだ、呪いは私が解いておこう」
妖精王の言葉にザシャはホッとしたが、妖精王が「しかし」と続けたので再び体を強張らせた。今までの妖精たちのように対価を求められるのか。それとも、目覚めるゲルデに何か対価を求められてしまうのだろうか。
緊張するザシャを哀れむように見下ろし、妖精王は首を振った。
「しかし、ああ、お前はあの子に会っても何も感じないのだろう。あの子はそれを、どう思うのか」
妖精王がなぜ自分をそんな目で見るのか、ザシャは理解できなかった。理解できないままに、妖精王が手を振ると同時にザシャは花畑に立たされていた。妖精王の声は聞こえない。ザシャを妖精王の前へ案内した妖精の声も、姿もない。
帰り道について何も教えられなかったが、ザシャは来た道をまっすぐ帰ればいいとわかっていた。帰り道には、困難など一つも待ち受けていないことも知っていた。
帰る道すがら、ザシャの心には焦りだけが募った。
妖精王までたどり着くのが遅かったせいで、目覚めるのを諦めた町の人たちがゲルデを埋葬していたら。
妖精王が嘘をついていて、ゲルデが目覚めていなかったら。
目覚めたゲルデがザシャのことを覚えていなかったら。
目覚めたゲルデに、町にいないのは見捨てたからだと勘違いされてしまったら。
帰らないザシャを死んだと勘違いして、ゲルデに違う男との縁談をまとめられてしまったら。
対価に払ったものの代わりに、大きな心配から小さな心配といった黒くもやもやした塊がザシャの心を埋め尽くす。
砂嵐も、大きな湖も、迷いの森もザシャの帰路を邪魔しなかった。なのにザシャは、行きよりも不安を抱えて道を急いだ。
まっすぐ、まっすぐ、針が示すままに進む。ザシャの行く手に、知らない森が立ち塞がった。薄暗い森だが、ザシャは怯まずまっすぐ進んだ。
そのうち、針がぐらぐらと揺らぎ出した。ザシャはまっすぐ進んでいるつもりだが、どうやら、わずかに方角がずれだしているようだ。ザシャは自分が同じところをぐるぐる回っていると気がついた。
困り果てたザシャが立ち止まると、楽しそうな歌声が聞こえてきた。声の聞こえる方向を探すと、小さな小さな妖精が、歌いながらふよふよと飛び回っていた。
小さな妖精はザシャに気づかず、そのまま飛び去っていこうとする。ザシャは慌てて声をかけた。
「楽しそうに歌っているところ、失礼」
妖精はぴたっと動きを止めた。くるりと振り向いた妖精は、ザシャを見つけると目を楽しげに輝かせた。ザシャが何を言うのかわくわくしているようだ。ザシャは困り顔のまま、妖精に森へ出る手伝いを頼んだ。
「妖精の王様に会いに行く途中なんだけど、まっすぐ進めなくなってしまったんだ。この森を抜ける手助けをお願いできないかな」
妖精はにこにこうなずき、快く了承した。
「いいよ! でもね、対価をおくれ」
対価と言われ、ザシャは首を傾げた。いったい、何を対価に渡せば妖精は満足するのだろう。生憎、ザシャは価値のありそうなものは何一つ持っていなかった。
荷物をごそごそして、何か渡せるものはないかと探すザシャに、妖精は「ちがうちがう!」と声を上げた。
「ものなんかいらない。楽しい色をおくれ!」
「た、楽しい色?」
それが何か、ザシャにはわからなかった。けれどうなずかなければ森を抜けられない。
ザシャがうなずくと、急にゲルデと過ごした楽しい日々が目まぐるしく頭に浮かんだ。思い出は浮かんでは過ぎ去り、色あせていった。
すべての楽しかった日々が過ぎ去ると、ザシャは自分が森から出ていることに気がついた。振り向こうとして、妖精の楽しげな声が反響した。
「とっても楽しい色だったよ! また助けてほしいときは言ってね、ニンゲンさん!」
うふふと笑った妖精の声は、すぐさま遠くへ行ってしまった。残されたザシャは、老婆から受け取った指針に目を落とし、またまっすぐ歩き出した。
まっすぐ、まっすぐ、針の示すまま進む。
今度は、大きな湖がザシャの前に横たわった。針は湖の向こう岸を差している。回り道は許されない。ならば船で渡るしかない。
湖で漁をしている男たちに船を出してほしいと頼んだが、男たちは余所者のために出す船はないと拒んだ。すげない返事にめげずに交渉したが、男たちはザシャの懇願に首を振らなかった。しつこいザシャを突き飛ばしさえした。ザシャは途方に暮れた。
男たちが去って行っても、ザシャはそこに立ち尽くしていた。どうすればまっすぐ進めるだろうと考えていた。
立ち尽くすザシャの耳に、すすり泣く声が聞こえた。誰が泣いているのだろうと見回すと、湖畔に転がる石の上に、小さな妖精が腰掛けているのが見えた。背中を丸めた妖精はさめざめと泣いている。ザシャは妖精に近づいた。
「泣いているところ、失礼」
顔を上げた妖精は、涙を流しすぎてふやけたかのようにしわだらけの疲れた顔をしていた。ザシャは妖精に失礼を詫び、妖精王に会うため向こう岸に渡りたいのだと伝えた。向こうへ渡る手伝いをしてほしい、とも。妖精はまだ泣いていたが、あふれる涙を両手で拭いながらうなずいた。
「ああ、渡してあげよう。けれど、対価をおくれ」
「対価?」
「おまえが持つ、悲しい色」
うなずくと、森で出会った妖精のときと同じく、ザシャの頭に悲しい記憶が目まぐるしく蘇った。目覚めないゲルデを見下ろす記憶を最後に、すべての記憶が色あせた。
気づけばザシャは、対岸に立っていた。針はまた、まっすぐ行く手を示している。針を見下ろすザシャの耳元で、すすり泣きが聞こえた。
「ああ、ああ、悲しい色だ。また助けがいるときは、悲しい色を用意しておくんだよ、ニンゲン」
すすり泣きは遠のき、聞こえなくなった。ザシャは針が示すまま、またまっすぐ歩き出した。
歩いて、歩いて、ザシャは砂漠に出た。砂漠ではひどい砂嵐が吹き荒れていた。この砂嵐を突き進めば、ザシャの目が使い物にならなくなってしまうだろう。さりとて、目を覆う道具を持っているわけでもなし。
ザシャが困っていたら、悪態をつく声が聞こえた。声の聞こえる方向へ顔を向けると、小さな妖精がてくてく歩いてくるのが見えた。顔を真っ赤にして、一人で毒づいている。のっぽなザシャが見えていないのか、妖精は苛立ちながらザシャの前を通り過ぎようとした。ザシャは慌てて声をかけた。
「怒っているところ失礼」
ザシャはなるべく丁寧に、怒らせないように、妖精王のところへ行きたいこと、この砂嵐を抜ける手伝いをしてほしいことを離した。妖精は舌打ちし、ザシャに小さな手を突きだした。
「それなら、怒りの色だ。怒りの色を寄越せ!」
うなずき終える前に、ザシャの頭に腹立たしい記憶が蘇っては色あせていった。姫と侍女が呪いの顛末を話し終えた記憶が蘇るのを最後に、すべての腹立たしい記憶は色を失った。
ザシャは自分が砂漠を越えていることに気がついた。ザシャの背後で、ええいくそ、と妖精が毒づく。
「まったく腹立たしい! また頼み事をするのなら、もっともっと怒りの色を用意しておけ!」
振り向くが、そこに妖精はいなかった。ザシャは針が示す道を確かめる。まっすぐ、まっすぐ前へ進めと、針はザシャに示していた。針を見るのをやめ、ザシャは顔を上げた。頭の中には、ゲルデを助けることしかなかった。
歩き続けたザシャは、広い草原に足を踏み入れた。色とりどりの花々が咲き誇るのを見て、ザシャは昏々と眠るゲルデの顔を思い出した。ゲルデには棺の中よりも、お日様の下、こんな広い草原で転げ回るのが似合っている。
早く目覚めさせなくてはと急ぐザシャの前に、前触れもなく小さな妖精が現れた。声も出ないほど驚くザシャに、妖精はにっこり笑って対価を求めた。
「ねえ、対価をちょうだい!」
「まだ何も困ってないよ」
ザシャが首を振ると、妖精はちょっと唇を尖らせた。
「困るよ。きっと困る。王様のところへ行くには、空を飛ばなきゃいけないから!」
手のひらに置いた針を見ると、確かに、前ではなく上を指していた。ザシャが妖精へ目を戻すと、妖精はまだにこにこ笑っていた。
「対価は何?」
「喜びの色さ!」
妖精が言い終わらないうちに、ゲルデと過ごして感じた喜びの記憶が蘇っていく。その記憶が色あせていくたび、ザシャは自分がぐんぐんと空を昇っていくことに気づいた。高度を増すたび、空気が冷えていく。寒いなと白い息を吐きながら、ザシャは自分の体がどこかへ落ち着くのを待った。
ゲルデが連れて行かれる前日の記憶が色あせるとほぼ同時に、ふわりと暖かな風がザシャの身を包んだ。
目の前には、ザシャより少し背が低いくらいの妖精がいた。森のもので彩られた椅子にゆったりと座る妖精が妖精王であることは、誰の目にも明らかだった。
ザシャは感情が湧かないまま、ゲルデにかけられた呪いについて話した。その呪いを解いてほしいと訴えた。妖精王は悲しそうに顔を歪め、うなずいた。
「そこまでしてここへ来たのだ、呪いは私が解いておこう」
妖精王の言葉にザシャはホッとしたが、妖精王が「しかし」と続けたので再び体を強張らせた。今までの妖精たちのように対価を求められるのか。それとも、目覚めるゲルデに何か対価を求められてしまうのだろうか。
緊張するザシャを哀れむように見下ろし、妖精王は首を振った。
「しかし、ああ、お前はあの子に会っても何も感じないのだろう。あの子はそれを、どう思うのか」
妖精王がなぜ自分をそんな目で見るのか、ザシャは理解できなかった。理解できないままに、妖精王が手を振ると同時にザシャは花畑に立たされていた。妖精王の声は聞こえない。ザシャを妖精王の前へ案内した妖精の声も、姿もない。
帰り道について何も教えられなかったが、ザシャは来た道をまっすぐ帰ればいいとわかっていた。帰り道には、困難など一つも待ち受けていないことも知っていた。
帰る道すがら、ザシャの心には焦りだけが募った。
妖精王までたどり着くのが遅かったせいで、目覚めるのを諦めた町の人たちがゲルデを埋葬していたら。
妖精王が嘘をついていて、ゲルデが目覚めていなかったら。
目覚めたゲルデがザシャのことを覚えていなかったら。
目覚めたゲルデに、町にいないのは見捨てたからだと勘違いされてしまったら。
帰らないザシャを死んだと勘違いして、ゲルデに違う男との縁談をまとめられてしまったら。
対価に払ったものの代わりに、大きな心配から小さな心配といった黒くもやもやした塊がザシャの心を埋め尽くす。
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