ジェシカの夢

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赤い猫と青い子猫

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黒い猫が問いかけると白い子は首を左右に振って否定して答える「そんなことはないです!」というがそれでも白い子は「あの時は嬉しかったんです。でも今は信じられません、もしアクセル様の心変わりが原因なら……」そういいかけてまた下を向いてしまった……しかし今度は少しだけ違った。白い子が目にしたのは涙を流す白い子の姿を優しい表情で見つめるアクセルであった。「そうか、ごめん。でもさっきの言葉に偽りはないよ」「でも」「ねぇ?」「……」「そうやってまた逃げようとするんだね」「!?」アクセルのその一言で場の空気が変わる。さっきまでは優しさに包まれていた空間であったが今では張り詰めた糸のような緊張感のある場所に早替わりしていた。アクセル自身もわかっていた、もうこれでは解決しないと。そして「やっぱりだめですね」「白い子……そうだね。このままじゃきっとだめだ、ならこれからどうすれば良いと思う」「はい、一度アクセル様を元の世界に戻せばよろしいと思います」
「そうじゃないんだ。それだと白い子はまた同じことになるかもしれない、私達がアクセルの元の世界に行った時のように」
「………………」「あのぉ、お話し中にすみません」突然割り込んできたのは緑の妖精だった。「どうかしました?」「その白い方の話を聞いていて少し気になることがあって、ちょっと来て頂けませんか?」白い子は首を傾げながらも緑の妖精の後についていくことにしたのだがそれを慌てて止める者がいる。もちろん赤い猫と青い子猫だが「あっあのアクセルさんは?」「ん?ああアクセルなら大丈夫」そしてしばらく後、白い子猫の目の前に現れたのはなんと!大人のアクセルだった。それも先ほどまでいた子供の姿でもなく、今現在の姿のままである。
その姿を見た白い子の目からは驚きからか涙は止まり代わりに笑みが浮かび上がった。それは安堵からであろう。しかしアクセルの方はそんな白い子の様子に気づいていないようだ。いや気づかないふりをしたのだろう、何せ今の自分の姿を見て驚かれる事がわかっているのだから……「それで用件というのは」「はい実はこの白い方が……」
そして説明が終わるとアクセルの表情は一変して険しいものに変わっていった。「それは本当なの?」「おそらく……でもまだ確認していないので絶対とは言えないのですが」白い猫は困り顔で答えながらアクセルの反応を見るが特に何も言おうとはしなかった「で、私達は何をすれば?」アクセルからの問いに少し考えてから「できれば白い方にも協力をしていただきたいと思ってます」「はい!」元気よく答える白い子に安心したのかアクセルは微笑んで見せた「なら、お願いしますね」「はい、わかりました!それで私は一体どのようにしたらよいでしょうか?」
そして……
「ごめん、またやっちゃったよ」「えぇっ、どうしてですか!」
さっきまでとは違う光景……しかしこれはアクセルにとっては当たり前のことでもある。何故ならば……アクセルは自分の体のサイズを変えることが可能なのだ。ただし元の体よりも大きくはできないらしい……まぁそれはそうだろういくら何でも大きくなったら服を脱がないわけにはいかないから……とはいえそれでも元が小さいからこそ可能な事ではあるが…… ともかくそういう理由で彼女はいつものように少女へと戻ってしまったのである……といっても今は夜中なので外灯もろくにあるわけではないから暗いことは変わらないのだが……「とにかく明日学校があるからね。朝起きれないのは嫌だよ」「むぅ~」不満げな様子の彼女に苦笑いを向けてから「ごめんってば」と謝るとアクセルは白い子を優しく撫でる。
その仕草にすっかりと満足してしまった白い子が「じゃあ今夜はこの辺りで失礼します!」と去って行った後アクセルもまた眠りについた。
しかしその寝息はすぐに途絶えることとなる……というのも……「えへへ、久しぶりだねぇ、エヘヘー」嬉しさを抑えきれていない声色、そして暗闇の中に響く音……それは誰かがアクセルの部屋をノックしているからだ。しかもそれは一回だけではなく「コンッコッコッコーーーーン!!」二回目以降はもっと力強く、まるで怒号のような響きを持って部屋中に轟いたのだった………………「うるさいよ!!︎近所迷惑だからやめてくれないかなっ」アクセルが大声を上げるとその音がピタリと止んだ。「もうなんなのさ!」苛立つようなアクセルの声に再びドアの向こうからはコツッコッツッと叩くように返事が聞こえてきた。それも先程よりも強く「お・そ・ろ・い……」と声が続き……「お揃い……あっ…………」何かに気付いたかのように小さく声を上げたあと、静かになった部屋には再び安眠妨害の原因である謎のノックが響いていたのだった。
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