ジェシカの夢

YHQ337IC

文字の大きさ
7 / 9

不思議な出来事

しおりを挟む
しかしそのどこにもこれといった印はなく、封を切って中を見てみようかと思い手に取った瞬間……
「えっ!?ちょっえぇっ!」
突然手の中の便箋に魔法陣のような物が浮かび上がり光を放ち始める。
「なっなんだこれっ……」
アクセルがその光から目を背けるために手を顔に当てた次の瞬間、まるで強い力で引かれるような感覚とともに意識を吸い取られるような感じを覚え………………
『起きてくださいっ!』
「はっ!」
急に頭の中に響く声、聞き覚えのない声だったが何故か知っている声のような気がして……でも周りを見回しても誰もいない。
『アクセル様っ!聞こえてたら返事をしてもらえませんかっ?お願いしますっ』
『あ、えーと』再び頭に響く声……
(誰だろう?)
不思議そうにあたりを見回すアクセルだが当然姿なんてない……あるのはさっきと同じ自分の部屋で何も変わらない。
『アクセル・ドレッドッ!!』
「はいぃっ!」大声で怒鳴られてアクセルは飛び起きる、そしてキョロキョロと見渡すが自分の声を響かせていた相手はいない……が その代わりにいた。部屋の隅に……小さな、手のひらサイズの白い子猫が……
☆ 一方その頃、ジェシカはというと……リビングでくつろいでいた。彼女は今日非番であり家でのんびりしていたのだ。しかし、ふとした時に思いだすのはもちろん先程自分が渡したアクセルへの恋心、そしてその思いを成就させるために昨日起きた不思議な出来事について考える。
アクセルの部屋に現れた謎の妖精の件だ。あれは明らかにエメルティアがアクセルに何かをした事を意味しているが、その方法や目的が全く分からないでいるのだ。
しかし……
「まさかとは思うけど……私がやったんじゃ……い、いえ違うわっ私は確かにあの子には感謝しているし、アクセル君が好きっていう気持ちだって本当だけどあんな風に無理やりしたりなんかしていないもの……でもだとしたら一体誰が……」
ぶつくさ呟きながら考えているうちに気付いたら手がお腹を摩っている事に気付く。「はうっ、ま、また……」
顔を赤らめスカートの裾を握る、その時…… コンコン……ドアのノックする音が聞こえる。ビクっと肩を震わせるジェシカ。
そして少しして
『私、エヴァよ、ちょっと入ってもいい?』
ドアの向こうからそんな言葉が返ってきたのを聞いてジェシカは少しホッとして「えぇ大丈夫よ」
そう返す。
ガチャリ、静かに開いた扉の先にはいつものように緑の妖精の服を着たエヴァの姿があった。
そしてエヴァは部屋に入ってくるなり「あっやっぱりここだったのね」と笑顔を浮かべて言うと「はい、どうぞお入りくださいませ」
そう言いながら席を立ちエヴァの座るスペースを開ける。
「ありがとうジェシカちゃん、でもそのまま楽にしてちょうだい」
言われ素直に従う。エヴァの目の前にはさっきまでジェシカも座っていたテーブルが置かれている。その上にはまだ飲みかけのティーセットが置かれており
「それで?話って?」
エヴァはそう言いながらジェシカの前に座りなおす、そして手に持っていた包みをそっと開ける。
「はい、実は今朝アクセル様に手作りクッキーを作ってみましたの、よかったらと思って」言いながら差し出すそれを、エヴァは無言で受けとり口に運ぶ。
ポリッ……サク……サク………… しばらくの無音のあと「うん……おいしいっ……美味しいよっ」エヴァの口から自然と出た称賛の言葉に顔を輝かせる。
すると、そんなジェシカを見ながらも次の一口に手を伸ばすエヴァは微笑んだ。
それからしばらくして…… 二人は一緒にキッチンに立ち並んでいた。というのもエヴァからジェシカにあるお願いをするためだった。もちろんその前に二人で紅茶を楽しんだあとの話になるが。それは……アクセルの好きなものを聞かれたから…… アクセルの好きな食べ物は何か…… 答えられなかった、というより考えたこともなかった。そもそもあまり興味がなかった、という方が正しいかもしれない。でも改めて考えてみて気が付いた。自分が何もアクセルの事を知らなかったことを。
だから聞いた。どんな些細な事でもいいから知りたいと思ったからだ。
そしてそんな質問に対して、エヴァはすぐにいくつかのヒントをくれた。それを聞いた後で思った、自分はなんてアクセルの事を知らないんだろう。そう、恥ずかしく思ってしまうほどに。
まずは好物だと言う事…… それから一番は料理らしい……それと甘いものも好きで最近はコーヒーにもハマりつつあるとかなんとか…… そこまで聞ければ十分、それだけわかればいいからとエヴァは笑って教えてくれた。そして今度は私の番。
「ねぇジェシカちゃん……一つ聞いていいかしら」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

処理中です...