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不思議な出来事
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しかしそのどこにもこれといった印はなく、封を切って中を見てみようかと思い手に取った瞬間……
「えっ!?ちょっえぇっ!」
突然手の中の便箋に魔法陣のような物が浮かび上がり光を放ち始める。
「なっなんだこれっ……」
アクセルがその光から目を背けるために手を顔に当てた次の瞬間、まるで強い力で引かれるような感覚とともに意識を吸い取られるような感じを覚え………………
『起きてくださいっ!』
「はっ!」
急に頭の中に響く声、聞き覚えのない声だったが何故か知っている声のような気がして……でも周りを見回しても誰もいない。
『アクセル様っ!聞こえてたら返事をしてもらえませんかっ?お願いしますっ』
『あ、えーと』再び頭に響く声……
(誰だろう?)
不思議そうにあたりを見回すアクセルだが当然姿なんてない……あるのはさっきと同じ自分の部屋で何も変わらない。
『アクセル・ドレッドッ!!』
「はいぃっ!」大声で怒鳴られてアクセルは飛び起きる、そしてキョロキョロと見渡すが自分の声を響かせていた相手はいない……が その代わりにいた。部屋の隅に……小さな、手のひらサイズの白い子猫が……
☆ 一方その頃、ジェシカはというと……リビングでくつろいでいた。彼女は今日非番であり家でのんびりしていたのだ。しかし、ふとした時に思いだすのはもちろん先程自分が渡したアクセルへの恋心、そしてその思いを成就させるために昨日起きた不思議な出来事について考える。
アクセルの部屋に現れた謎の妖精の件だ。あれは明らかにエメルティアがアクセルに何かをした事を意味しているが、その方法や目的が全く分からないでいるのだ。
しかし……
「まさかとは思うけど……私がやったんじゃ……い、いえ違うわっ私は確かにあの子には感謝しているし、アクセル君が好きっていう気持ちだって本当だけどあんな風に無理やりしたりなんかしていないもの……でもだとしたら一体誰が……」
ぶつくさ呟きながら考えているうちに気付いたら手がお腹を摩っている事に気付く。「はうっ、ま、また……」
顔を赤らめスカートの裾を握る、その時…… コンコン……ドアのノックする音が聞こえる。ビクっと肩を震わせるジェシカ。
そして少しして
『私、エヴァよ、ちょっと入ってもいい?』
ドアの向こうからそんな言葉が返ってきたのを聞いてジェシカは少しホッとして「えぇ大丈夫よ」
そう返す。
ガチャリ、静かに開いた扉の先にはいつものように緑の妖精の服を着たエヴァの姿があった。
そしてエヴァは部屋に入ってくるなり「あっやっぱりここだったのね」と笑顔を浮かべて言うと「はい、どうぞお入りくださいませ」
そう言いながら席を立ちエヴァの座るスペースを開ける。
「ありがとうジェシカちゃん、でもそのまま楽にしてちょうだい」
言われ素直に従う。エヴァの目の前にはさっきまでジェシカも座っていたテーブルが置かれている。その上にはまだ飲みかけのティーセットが置かれており
「それで?話って?」
エヴァはそう言いながらジェシカの前に座りなおす、そして手に持っていた包みをそっと開ける。
「はい、実は今朝アクセル様に手作りクッキーを作ってみましたの、よかったらと思って」言いながら差し出すそれを、エヴァは無言で受けとり口に運ぶ。
ポリッ……サク……サク………… しばらくの無音のあと「うん……おいしいっ……美味しいよっ」エヴァの口から自然と出た称賛の言葉に顔を輝かせる。
すると、そんなジェシカを見ながらも次の一口に手を伸ばすエヴァは微笑んだ。
それからしばらくして…… 二人は一緒にキッチンに立ち並んでいた。というのもエヴァからジェシカにあるお願いをするためだった。もちろんその前に二人で紅茶を楽しんだあとの話になるが。それは……アクセルの好きなものを聞かれたから…… アクセルの好きな食べ物は何か…… 答えられなかった、というより考えたこともなかった。そもそもあまり興味がなかった、という方が正しいかもしれない。でも改めて考えてみて気が付いた。自分が何もアクセルの事を知らなかったことを。
だから聞いた。どんな些細な事でもいいから知りたいと思ったからだ。
そしてそんな質問に対して、エヴァはすぐにいくつかのヒントをくれた。それを聞いた後で思った、自分はなんてアクセルの事を知らないんだろう。そう、恥ずかしく思ってしまうほどに。
まずは好物だと言う事…… それから一番は料理らしい……それと甘いものも好きで最近はコーヒーにもハマりつつあるとかなんとか…… そこまで聞ければ十分、それだけわかればいいからとエヴァは笑って教えてくれた。そして今度は私の番。
「ねぇジェシカちゃん……一つ聞いていいかしら」
「えっ!?ちょっえぇっ!」
突然手の中の便箋に魔法陣のような物が浮かび上がり光を放ち始める。
「なっなんだこれっ……」
アクセルがその光から目を背けるために手を顔に当てた次の瞬間、まるで強い力で引かれるような感覚とともに意識を吸い取られるような感じを覚え………………
『起きてくださいっ!』
「はっ!」
急に頭の中に響く声、聞き覚えのない声だったが何故か知っている声のような気がして……でも周りを見回しても誰もいない。
『アクセル様っ!聞こえてたら返事をしてもらえませんかっ?お願いしますっ』
『あ、えーと』再び頭に響く声……
(誰だろう?)
不思議そうにあたりを見回すアクセルだが当然姿なんてない……あるのはさっきと同じ自分の部屋で何も変わらない。
『アクセル・ドレッドッ!!』
「はいぃっ!」大声で怒鳴られてアクセルは飛び起きる、そしてキョロキョロと見渡すが自分の声を響かせていた相手はいない……が その代わりにいた。部屋の隅に……小さな、手のひらサイズの白い子猫が……
☆ 一方その頃、ジェシカはというと……リビングでくつろいでいた。彼女は今日非番であり家でのんびりしていたのだ。しかし、ふとした時に思いだすのはもちろん先程自分が渡したアクセルへの恋心、そしてその思いを成就させるために昨日起きた不思議な出来事について考える。
アクセルの部屋に現れた謎の妖精の件だ。あれは明らかにエメルティアがアクセルに何かをした事を意味しているが、その方法や目的が全く分からないでいるのだ。
しかし……
「まさかとは思うけど……私がやったんじゃ……い、いえ違うわっ私は確かにあの子には感謝しているし、アクセル君が好きっていう気持ちだって本当だけどあんな風に無理やりしたりなんかしていないもの……でもだとしたら一体誰が……」
ぶつくさ呟きながら考えているうちに気付いたら手がお腹を摩っている事に気付く。「はうっ、ま、また……」
顔を赤らめスカートの裾を握る、その時…… コンコン……ドアのノックする音が聞こえる。ビクっと肩を震わせるジェシカ。
そして少しして
『私、エヴァよ、ちょっと入ってもいい?』
ドアの向こうからそんな言葉が返ってきたのを聞いてジェシカは少しホッとして「えぇ大丈夫よ」
そう返す。
ガチャリ、静かに開いた扉の先にはいつものように緑の妖精の服を着たエヴァの姿があった。
そしてエヴァは部屋に入ってくるなり「あっやっぱりここだったのね」と笑顔を浮かべて言うと「はい、どうぞお入りくださいませ」
そう言いながら席を立ちエヴァの座るスペースを開ける。
「ありがとうジェシカちゃん、でもそのまま楽にしてちょうだい」
言われ素直に従う。エヴァの目の前にはさっきまでジェシカも座っていたテーブルが置かれている。その上にはまだ飲みかけのティーセットが置かれており
「それで?話って?」
エヴァはそう言いながらジェシカの前に座りなおす、そして手に持っていた包みをそっと開ける。
「はい、実は今朝アクセル様に手作りクッキーを作ってみましたの、よかったらと思って」言いながら差し出すそれを、エヴァは無言で受けとり口に運ぶ。
ポリッ……サク……サク………… しばらくの無音のあと「うん……おいしいっ……美味しいよっ」エヴァの口から自然と出た称賛の言葉に顔を輝かせる。
すると、そんなジェシカを見ながらも次の一口に手を伸ばすエヴァは微笑んだ。
それからしばらくして…… 二人は一緒にキッチンに立ち並んでいた。というのもエヴァからジェシカにあるお願いをするためだった。もちろんその前に二人で紅茶を楽しんだあとの話になるが。それは……アクセルの好きなものを聞かれたから…… アクセルの好きな食べ物は何か…… 答えられなかった、というより考えたこともなかった。そもそもあまり興味がなかった、という方が正しいかもしれない。でも改めて考えてみて気が付いた。自分が何もアクセルの事を知らなかったことを。
だから聞いた。どんな些細な事でもいいから知りたいと思ったからだ。
そしてそんな質問に対して、エヴァはすぐにいくつかのヒントをくれた。それを聞いた後で思った、自分はなんてアクセルの事を知らないんだろう。そう、恥ずかしく思ってしまうほどに。
まずは好物だと言う事…… それから一番は料理らしい……それと甘いものも好きで最近はコーヒーにもハマりつつあるとかなんとか…… そこまで聞ければ十分、それだけわかればいいからとエヴァは笑って教えてくれた。そして今度は私の番。
「ねぇジェシカちゃん……一つ聞いていいかしら」
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