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「クレインは、貴女になんの用事だったの?」
あの後、なんとか涙を止めて、話をするためにサロンの個室を取った。
ようやく落ち着いて、皆んなでお茶にする。
「パーティのパートナーにしてやるって言われたわ」
「屑ね」
「ゴミはどこまでもゴミ」
ミリーとアマンダのクレインへの評価が底を振り切ってるいる。
「クレインは、マリアがいるのに、どうして私を誘ったのかしら」
「マリアのエスコートはアーサーがするからじゃないかしら。クレインは騎士候補生だから、パートナーがいないなんて、耐えられなかったのよ、きっと」
「あの噂で、クレインのパートナーになりたいなんて人はいなくなったからね」
「だからって、マリーを頼るなんて虫が良すぎます」
さっきの態度にも増して、理由にドン引きする。
「評判が大事なら、浮気なんてしなければ良かったのに」
「きっと騎士候補生だからっていう驕りがあったのよ」
「あんな噂の後も平気で取り巻きしてたから、頭がわいてると思ったけど、鈍感だっただけなんだ」
「パートナーを探そうとしたら誰にも相手にされなくて、いい気味です」
「そういう理由なら、パーティまで付き纏われるかもしれないわね」
「それは、多分だけど大丈夫だと思います」
「どうして?」
「フィリップ様が、その」
恥ずかしくて口籠ると、ソフィア様が察してくれた。
「お兄さまがパートナーだって言ったのね。役に立って良かったわ」
「ドレスには、フィリップ様の差し色をするようにお母様に伝えておきます」
「それはダメ。これ以上ご迷惑をかけられないわ」
「学生のパーティだもの。気にする事はないわ」
「そうよ。ゴミ虫退治にも必要だし」
「ゴミは徹底的に潰さないとダメ」
そんな理由で迷惑はかけられないと、何度も言ったけど、アマンダ達はすっかりその気になってしまい、後日、衣装合わせに行く約束までする事になった。
「フィリップ様のファンに怒られそう」
「お兄さまにファンなんていないから大丈夫よ」
ソフィア様。ここにいます。
あれからクレインを警戒して一人にならないようにしたけれど、フィリップ様のおかげで諦めたのか、当日まで無事に過ごせた。
パーティ当日も、念のためと言って、フィリップ様が家まで迎えに来てくれた。
「今日は君の騎士だから。頼ってくれていいよ」
恥ずかしくて頭が沸騰しそう。
「ありがとうございます」
会場でみんなと合流して、お互いのドレスを褒め合った。
マリアを囲んで6人で入場したクレインは、マリアのご機嫌を取るのに必死で、私のことは忘れているみたいだった。
会場に、音楽が流れる。
ファーストダンスは、ダンスの上手い上級者たちが踊った。
芸術のようなダンスにため息がもれる。
「踊ろうか」
それが終わると、簡単な音楽に変わり、多くの生徒たちがダンスを始めた。
私もフィリップ様に手を引かれて踊り始める。
憧れの人とのダンスに、時間を忘れてしまうようだった。
会話なんて出来なくて、踊るのに精一杯。
一曲踊った後は、サリー達と合流して、料理を楽しみながらおしゃべりしていた。
ソフィア様はダンスのお誘いが列をなして、ずっと踊っていた。
夢のような時間は、そうして過ぎていった。
パーティからしばらくして、ずっと休んでいたエミリア様が戻ってきた。
彼女はアーサーの婚約者だったが、無事に婚約破棄したらしい。
彼女の復帰に合わせて、お茶会が開かれた。
「お久しぶりです。エミリア様」
「来てくれてありがとう。マリー。また貴女のお茶会にも招待してくださる?」
「はい。楽しみになさってください」
「ありがとう。今日は楽しんでいってね」
エミリア様は、大の隣国好きで、隣国の流行ものがでる私のお茶会のお得意様だ。
モルダナ商会への口利きもよく頼まれる。
エミリア様の復帰に合わせるように、アーサーが退学した。
アマンダが仕入れてきた噂では、マリアと結婚したいと言って、家を追い出されたらしい。廃嫡され貴族籍も抜かれたので、いまは冒険者をしているという話だ。
マリアの取り巻きは4人になり、いまは騎士候補生のクレインがマリアのお相手のようだ。
これでクレインに付き纏われずにすむので、個人的には大歓迎。
呆れの方が大きいけど。
彼らはどうしてそこまでマリアにハマってしまったのだろう。
クレインがマリアとの結婚を望んで、家から追い出されたら、マリアの相手は玉突きのようにまた変わるのだろうか。
そんな彼女の、どこがいいんだろう。
もやもやとした気分は残るものの、このまま卒業を迎えると思っていたある日。
隣国から留学生がやってきた。
隣国の王子だ。
彼に、マリアが付き纏い始めたから大変。
国際問題になるからやめて!
いままで彼女を白い目で見ていた生徒達が、あの手この手で食い止めようとしたが、マリアは隣国の王子の居場所が分かるのか、警戒をすり抜けて何度も会いにいった。
そんな学院生の胃が擦り切れそうな日々は、唐突に終わりを迎えた。
「マリアは処刑される事になったよ」
「え」
「罪状は、国益を著しく損なったため。具体的には、隣国の王子への暗殺未遂」
学院だけでなく、学院の外でもマリアは警備をすり抜けて隣国の王子に会いにいったらしい。
騎士に静止されたにも関わらず、隣国の王子に接触したという事で、暗殺未遂に問われてしまった。
彼女は否定したらしいけど、尋問の結果自白した。
という事になった。
後味の悪い終わり方だけれど、仕方ない。
マリアとは結局話した事もないけれど、なにが彼女をそこまでさせたのだろう。
この話には、後日談があった。
マリアの処刑前日、クレインがマリアを連れて逃げた。
二人は当然指名手配。
クレインは勘当され、貴族籍も抜かれた後の犯行だったため、伯爵家にはお咎めなし。
二人は二度と陽の目をみない生活を送る事になった。
マリアの脱獄は、クレインの独断だったみたいで、他の取り巻きは取り残された。
けれどクレインのようにマリアと接触する可能性を恐れ、それぞれ家から勘当され貴族籍を抜かれ、学院を退学した。
こうして、学院は平穏を取り戻した。
「マリアは、高位貴族狙いだったみたいなのに、どうしてフィリップ様は大丈夫だったんですか?」
あれ以来、時々裏庭でお弁当を一緒に食べているフィリップ様に聞いてみた。
「逃げてたからじゃないかな? いつも女子から逃げてたから、人が来ないところは頭に入ってるんだ」
騎士の警戒網さえ潜り抜けたマリアを出し抜いたフィリップ様ってすごい。
「フィリップ様がマリアの取り巻きにならなくてすんで、良かったです」
「僕も、好みはあるから」
「フィリップ様は、結婚した人を愛せるんじゃないんですか?」
よく知ってるね、とフィリップ様は目を丸くした。
「それと好みは別だよ」
お昼寝する豹みたいな目で微笑んで、フィリップ様は私の膝枕で寝転んだ。
「もうあんな騒ぎはごめんだな」
「そうですね」
あの騒ぎで私が得たものと失ったものはなんだろう。
婚約者? のクレインは正直要らなかったし。
友情と、フィリップ様とのちょっとの時間かな。
フィリップ様は、憧れの人だけど、こうして一緒にいる時は、やっぱり親戚のお兄さんみたいな気持ちになる。
願わくば。
一緒に日向ぼっこ出来る時間が、少しでも長く続きますように。
いつか、彼に婚約者が出来たとしても。
私はもう婚約者は要らないな。
そう、思った。
あの後、なんとか涙を止めて、話をするためにサロンの個室を取った。
ようやく落ち着いて、皆んなでお茶にする。
「パーティのパートナーにしてやるって言われたわ」
「屑ね」
「ゴミはどこまでもゴミ」
ミリーとアマンダのクレインへの評価が底を振り切ってるいる。
「クレインは、マリアがいるのに、どうして私を誘ったのかしら」
「マリアのエスコートはアーサーがするからじゃないかしら。クレインは騎士候補生だから、パートナーがいないなんて、耐えられなかったのよ、きっと」
「あの噂で、クレインのパートナーになりたいなんて人はいなくなったからね」
「だからって、マリーを頼るなんて虫が良すぎます」
さっきの態度にも増して、理由にドン引きする。
「評判が大事なら、浮気なんてしなければ良かったのに」
「きっと騎士候補生だからっていう驕りがあったのよ」
「あんな噂の後も平気で取り巻きしてたから、頭がわいてると思ったけど、鈍感だっただけなんだ」
「パートナーを探そうとしたら誰にも相手にされなくて、いい気味です」
「そういう理由なら、パーティまで付き纏われるかもしれないわね」
「それは、多分だけど大丈夫だと思います」
「どうして?」
「フィリップ様が、その」
恥ずかしくて口籠ると、ソフィア様が察してくれた。
「お兄さまがパートナーだって言ったのね。役に立って良かったわ」
「ドレスには、フィリップ様の差し色をするようにお母様に伝えておきます」
「それはダメ。これ以上ご迷惑をかけられないわ」
「学生のパーティだもの。気にする事はないわ」
「そうよ。ゴミ虫退治にも必要だし」
「ゴミは徹底的に潰さないとダメ」
そんな理由で迷惑はかけられないと、何度も言ったけど、アマンダ達はすっかりその気になってしまい、後日、衣装合わせに行く約束までする事になった。
「フィリップ様のファンに怒られそう」
「お兄さまにファンなんていないから大丈夫よ」
ソフィア様。ここにいます。
あれからクレインを警戒して一人にならないようにしたけれど、フィリップ様のおかげで諦めたのか、当日まで無事に過ごせた。
パーティ当日も、念のためと言って、フィリップ様が家まで迎えに来てくれた。
「今日は君の騎士だから。頼ってくれていいよ」
恥ずかしくて頭が沸騰しそう。
「ありがとうございます」
会場でみんなと合流して、お互いのドレスを褒め合った。
マリアを囲んで6人で入場したクレインは、マリアのご機嫌を取るのに必死で、私のことは忘れているみたいだった。
会場に、音楽が流れる。
ファーストダンスは、ダンスの上手い上級者たちが踊った。
芸術のようなダンスにため息がもれる。
「踊ろうか」
それが終わると、簡単な音楽に変わり、多くの生徒たちがダンスを始めた。
私もフィリップ様に手を引かれて踊り始める。
憧れの人とのダンスに、時間を忘れてしまうようだった。
会話なんて出来なくて、踊るのに精一杯。
一曲踊った後は、サリー達と合流して、料理を楽しみながらおしゃべりしていた。
ソフィア様はダンスのお誘いが列をなして、ずっと踊っていた。
夢のような時間は、そうして過ぎていった。
パーティからしばらくして、ずっと休んでいたエミリア様が戻ってきた。
彼女はアーサーの婚約者だったが、無事に婚約破棄したらしい。
彼女の復帰に合わせて、お茶会が開かれた。
「お久しぶりです。エミリア様」
「来てくれてありがとう。マリー。また貴女のお茶会にも招待してくださる?」
「はい。楽しみになさってください」
「ありがとう。今日は楽しんでいってね」
エミリア様は、大の隣国好きで、隣国の流行ものがでる私のお茶会のお得意様だ。
モルダナ商会への口利きもよく頼まれる。
エミリア様の復帰に合わせるように、アーサーが退学した。
アマンダが仕入れてきた噂では、マリアと結婚したいと言って、家を追い出されたらしい。廃嫡され貴族籍も抜かれたので、いまは冒険者をしているという話だ。
マリアの取り巻きは4人になり、いまは騎士候補生のクレインがマリアのお相手のようだ。
これでクレインに付き纏われずにすむので、個人的には大歓迎。
呆れの方が大きいけど。
彼らはどうしてそこまでマリアにハマってしまったのだろう。
クレインがマリアとの結婚を望んで、家から追い出されたら、マリアの相手は玉突きのようにまた変わるのだろうか。
そんな彼女の、どこがいいんだろう。
もやもやとした気分は残るものの、このまま卒業を迎えると思っていたある日。
隣国から留学生がやってきた。
隣国の王子だ。
彼に、マリアが付き纏い始めたから大変。
国際問題になるからやめて!
いままで彼女を白い目で見ていた生徒達が、あの手この手で食い止めようとしたが、マリアは隣国の王子の居場所が分かるのか、警戒をすり抜けて何度も会いにいった。
そんな学院生の胃が擦り切れそうな日々は、唐突に終わりを迎えた。
「マリアは処刑される事になったよ」
「え」
「罪状は、国益を著しく損なったため。具体的には、隣国の王子への暗殺未遂」
学院だけでなく、学院の外でもマリアは警備をすり抜けて隣国の王子に会いにいったらしい。
騎士に静止されたにも関わらず、隣国の王子に接触したという事で、暗殺未遂に問われてしまった。
彼女は否定したらしいけど、尋問の結果自白した。
という事になった。
後味の悪い終わり方だけれど、仕方ない。
マリアとは結局話した事もないけれど、なにが彼女をそこまでさせたのだろう。
この話には、後日談があった。
マリアの処刑前日、クレインがマリアを連れて逃げた。
二人は当然指名手配。
クレインは勘当され、貴族籍も抜かれた後の犯行だったため、伯爵家にはお咎めなし。
二人は二度と陽の目をみない生活を送る事になった。
マリアの脱獄は、クレインの独断だったみたいで、他の取り巻きは取り残された。
けれどクレインのようにマリアと接触する可能性を恐れ、それぞれ家から勘当され貴族籍を抜かれ、学院を退学した。
こうして、学院は平穏を取り戻した。
「マリアは、高位貴族狙いだったみたいなのに、どうしてフィリップ様は大丈夫だったんですか?」
あれ以来、時々裏庭でお弁当を一緒に食べているフィリップ様に聞いてみた。
「逃げてたからじゃないかな? いつも女子から逃げてたから、人が来ないところは頭に入ってるんだ」
騎士の警戒網さえ潜り抜けたマリアを出し抜いたフィリップ様ってすごい。
「フィリップ様がマリアの取り巻きにならなくてすんで、良かったです」
「僕も、好みはあるから」
「フィリップ様は、結婚した人を愛せるんじゃないんですか?」
よく知ってるね、とフィリップ様は目を丸くした。
「それと好みは別だよ」
お昼寝する豹みたいな目で微笑んで、フィリップ様は私の膝枕で寝転んだ。
「もうあんな騒ぎはごめんだな」
「そうですね」
あの騒ぎで私が得たものと失ったものはなんだろう。
婚約者? のクレインは正直要らなかったし。
友情と、フィリップ様とのちょっとの時間かな。
フィリップ様は、憧れの人だけど、こうして一緒にいる時は、やっぱり親戚のお兄さんみたいな気持ちになる。
願わくば。
一緒に日向ぼっこ出来る時間が、少しでも長く続きますように。
いつか、彼に婚約者が出来たとしても。
私はもう婚約者は要らないな。
そう、思った。
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