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番外編・寝起きのキス
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「まったく……相変わらず朝弱いわね」
陽葵がすっかり朝の支度を終えても紗希はまだ目を覚ます気配がなかった。
紗希は朝が弱い。朝食の時間の紗希を見てアンニュイだと喜ぶ人たちは多いが、実際のところだいたい寝起きでボーッとしているだけだ。弓道部で朝練があるときはしゃっきりとしているが、そうでないときはどれだけうるさく目覚まし時計を鳴らしても起きない。
今日は土曜日なので多少はゆっくりでいいのだが、早く行かなければ食堂が閉まってしまう。陽葵は紗希に声をかけたがやはり起きる様子はなかった。
「ねぼすけの王子様にはこっちからキスしちゃうわよ?」
冗談で言ったところで反応はない。業を煮やした陽葵は先程自分で言ったことを実行することにした。
形のいい唇に自分のそれを合わせる。御伽話の王子と姫ならここで姫が目覚めるロマンチックなシーンだが、そうは問屋が卸さない。紗希は目を閉じたまま陽葵を引き寄せた。
「ん……ちゅ、んん……」
紗希は陽葵を自分の上にのせて、そのまま舌を入れてきた。
「ちょ、ちょっと紗希……んっ」
紗希は陽葵の抵抗をものともせず、さらに深く口づける。いつもは陽葵が紗希を翻弄する側なのに、たまに紗希はこんなことをする。しかもほとんど無意識なので質が悪い。紗希はしばらく陽葵とのキスを堪能した後で唇を離した。
「おやすみ……」
「流れるように二度寝モードに入らないでよ」
「んー……」
どうやらほとんど寝ているようだ。陽葵は紗希の上にのしかかって笑みを浮かべた。
「そっちがその気なら――」
陽葵は紗希の唇に自分のものを重ねる。先程は不覚を取ったが、普段主導権を握ることが多いのは陽葵だ。そもそもあまりにそういったことに疎い紗希に色々教えたのも陽葵なのだ。
「昔はキスも下手だったのに、あんなに上手になっちゃって」
紗希の耳を手で塞ぎ、水音を響かせるようにしてキスをする。舌を絡め、口蓋を舌でなぞった。歌を歌うときは軟口蓋に声を当てるといいと教わった。他は何があるだろうか。陽葵は紗希の口の中をその舌で探索した。
「ちょっと体ビクってしたけど、キスだけで感じちゃったのかしら?」
答えはない。まだ意識は覚醒していないのだろう。陽葵は手を下ろして、柔らかな胸を服の上から揉んだ。服の上からかりかりと乳首を刺激すると、紗希が吐息を漏らす。
「早く起きないととんでもないことになっちゃうわよ?」
「まだ寝る……んんっ」
「いつまでそうやって寝ていられるかしらね?」
服の下に手を入れて直接肌に触れる。下着をずらして胸に触れると、その頂にある蕾はすでに膨れていた。
(声も聞きたいけど……今日はキスしてたい気分ね)
陽葵は紗希に再びキスをしながら、指で引っ掻くように紗希の胸の飾りを刺激した。甘い声は合わせた唇の間からわずかに漏れるだけで、ほとんどが閉じ込められる。寝ぼけているのにしっかり反応して、陽葵の舌の動きに応えようとしている紗希があまりに可愛くて、陽葵は夢中になってしまった。
しかしそのとき、部屋の電話が鳴った。時計を見ると八時五十分。もうすぐ朝の食堂が閉まる時間だ。
『もう朝食に来ていないのはあなたたちだけですよ。全く、もう少しこの学園の生徒である自覚を持って――』
厳しい寮母の小言を全部聞き流して陽葵は電話を切った。紗希はようやく上半身を起こしていたが、まだ半分寝ている。
「ほら、早くご飯行かないと怒られるわよ」
「もうちょっと寝たい……」
「全くもう……」
陽葵は紗希の唇に自分のそれを合わせた。それからちゅ、とわざと音をさせて唇を離す。
「今日は休みなんだし、ご飯が終わったらいくらでも寝られるわよ。どういう意味かわかるわね?」
「陽葵ってたまに変態みたいなこと言うね……」
「そんなこと言ってるとまた泣かすわよ? ほら、早く着替えて」
紗希は渋々布団から出て着替えを始める。それを待ちながら、陽葵はこの後の予定についてあれこれと考えるのであった。
陽葵がすっかり朝の支度を終えても紗希はまだ目を覚ます気配がなかった。
紗希は朝が弱い。朝食の時間の紗希を見てアンニュイだと喜ぶ人たちは多いが、実際のところだいたい寝起きでボーッとしているだけだ。弓道部で朝練があるときはしゃっきりとしているが、そうでないときはどれだけうるさく目覚まし時計を鳴らしても起きない。
今日は土曜日なので多少はゆっくりでいいのだが、早く行かなければ食堂が閉まってしまう。陽葵は紗希に声をかけたがやはり起きる様子はなかった。
「ねぼすけの王子様にはこっちからキスしちゃうわよ?」
冗談で言ったところで反応はない。業を煮やした陽葵は先程自分で言ったことを実行することにした。
形のいい唇に自分のそれを合わせる。御伽話の王子と姫ならここで姫が目覚めるロマンチックなシーンだが、そうは問屋が卸さない。紗希は目を閉じたまま陽葵を引き寄せた。
「ん……ちゅ、んん……」
紗希は陽葵を自分の上にのせて、そのまま舌を入れてきた。
「ちょ、ちょっと紗希……んっ」
紗希は陽葵の抵抗をものともせず、さらに深く口づける。いつもは陽葵が紗希を翻弄する側なのに、たまに紗希はこんなことをする。しかもほとんど無意識なので質が悪い。紗希はしばらく陽葵とのキスを堪能した後で唇を離した。
「おやすみ……」
「流れるように二度寝モードに入らないでよ」
「んー……」
どうやらほとんど寝ているようだ。陽葵は紗希の上にのしかかって笑みを浮かべた。
「そっちがその気なら――」
陽葵は紗希の唇に自分のものを重ねる。先程は不覚を取ったが、普段主導権を握ることが多いのは陽葵だ。そもそもあまりにそういったことに疎い紗希に色々教えたのも陽葵なのだ。
「昔はキスも下手だったのに、あんなに上手になっちゃって」
紗希の耳を手で塞ぎ、水音を響かせるようにしてキスをする。舌を絡め、口蓋を舌でなぞった。歌を歌うときは軟口蓋に声を当てるといいと教わった。他は何があるだろうか。陽葵は紗希の口の中をその舌で探索した。
「ちょっと体ビクってしたけど、キスだけで感じちゃったのかしら?」
答えはない。まだ意識は覚醒していないのだろう。陽葵は手を下ろして、柔らかな胸を服の上から揉んだ。服の上からかりかりと乳首を刺激すると、紗希が吐息を漏らす。
「早く起きないととんでもないことになっちゃうわよ?」
「まだ寝る……んんっ」
「いつまでそうやって寝ていられるかしらね?」
服の下に手を入れて直接肌に触れる。下着をずらして胸に触れると、その頂にある蕾はすでに膨れていた。
(声も聞きたいけど……今日はキスしてたい気分ね)
陽葵は紗希に再びキスをしながら、指で引っ掻くように紗希の胸の飾りを刺激した。甘い声は合わせた唇の間からわずかに漏れるだけで、ほとんどが閉じ込められる。寝ぼけているのにしっかり反応して、陽葵の舌の動きに応えようとしている紗希があまりに可愛くて、陽葵は夢中になってしまった。
しかしそのとき、部屋の電話が鳴った。時計を見ると八時五十分。もうすぐ朝の食堂が閉まる時間だ。
『もう朝食に来ていないのはあなたたちだけですよ。全く、もう少しこの学園の生徒である自覚を持って――』
厳しい寮母の小言を全部聞き流して陽葵は電話を切った。紗希はようやく上半身を起こしていたが、まだ半分寝ている。
「ほら、早くご飯行かないと怒られるわよ」
「もうちょっと寝たい……」
「全くもう……」
陽葵は紗希の唇に自分のそれを合わせた。それからちゅ、とわざと音をさせて唇を離す。
「今日は休みなんだし、ご飯が終わったらいくらでも寝られるわよ。どういう意味かわかるわね?」
「陽葵ってたまに変態みたいなこと言うね……」
「そんなこと言ってるとまた泣かすわよ? ほら、早く着替えて」
紗希は渋々布団から出て着替えを始める。それを待ちながら、陽葵はこの後の予定についてあれこれと考えるのであった。
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